レイニーデイ・イン・ニューヨークのレビュー・感想・評価
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もはやオッサンになど見向きもしない若い女性の痛快さ
ウディ・アレンという映画作家に「ロリコン」「若い女性に惹かれるオッサンばかり描く」というイメージが固定化したのはいつ頃からか。複雑怪奇な性的虐待疑惑とも繋がって、「キモい」という身も蓋もない意見を見ることも増えた。
確かにアレンの映画は若い女性に懸想する中年男性がよく登場するし、アレンが描く若い女性がバカっぽくて不愉快という見方もわからなくはない。ただ自分なりに弁護をしたいのは、アレンがバカっぽく描くのは女性に限ったことではないし、ほとんどの場合、年寄りは結局若い女性から見切りを付けられる。つまりオッサンは、性懲りもなく若い女に惹かれては、結局捨てられるのがアレンの恋愛観とも言える。
ただ、本作はちょっと違う。エル・ファニング演じるアシュリーは年配の男たちを(無自覚に)利用はしても、性的に惹かれるのはイケメンの映画スターのみという、オッサン側からすれば実に辛辣なキャラなのだ。そして、アシュリーの軽薄さ以上にオッサンどもは情けなく、ティモシー・シャラメ扮するもうひとりの主人公ギャツビーも薄っぺらい。薄っぺらくでバカばかりなのがアレンの描く世界であり、不思議とそこに安心を感じてしまうのだ。
これはウディ・アレンのNYへのレクイエムなのか?
近年、ロンドン、バルセロナ、パリ、ローマとヨーロッパ各地を旅してきたウディ・アレンが、久々に故郷ニューヨークに戻って撮った最新作には、以前のようにコアなニューヨークはなぜか登場しない。近隣の大学に通う男子学生が、ガールフレンドを連れて案内する(予定だった)故郷ニューヨークは、ホテル・ピエールにセントラルパークにホテル・カーライルにメトロポリタン美術館と、NYビギナー用にベタなのだ。それは、話の流れに沿っているから妥当なのだが、生粋のニューヨーカーであるアレンが、あえて誰もが思い描くスポットをカメラで追うのは、彼なりの決別の気持ちがあったのではないかと想像する。つまり、養女に対する性的虐待疑惑によって、自由に映画を作れなくなった自分自身へのレクイエムを、馴染みの風景に重ね合わせたトリックなのではないかと。結果論かもしれないが、そう思う。しかしながら、単純な話を寸分の隙もなく展開させ、いつものように、最後には人間の本能がもたらす情景をさらりと見せるその手法は、朽ちてなお、粋。まだまだそれを味わいたいのだが、さて、どうなるか?
これは、良く出来た方のウディ・アレン監督作品! 安心して劇場でご覧ください。
クリント・イーストウッド監督作品のように毎年の単位で作品が公開されるウディ・アレン監督作品ですが、ウディ・アレン作品を大きく分けると、「出来の良いウディ・アレン作品」と「出来の悪いウディ・アレン作品」に分かれます。
これは、ウディ・アレン監督作品の幅の広さとも関係していますが、基本的な作風は安定しているものの、実験的に作風をガラッと変えたりもします。しかも、それがまた名作であったり、そうでなかったりと、なかなか目の離せない監督なのです。なので、多くのウディ・アレン監督ファンが事前に知りたいのは、前者か後者かでしょう。本作については明らかに「出来の良いウディ・アレン作品」なので、安心して劇場でご覧ください。
本作の大きな特徴には、キャストがあります。ウディ・アレン監督は、本当に旬のキャストを見抜く力があり、本作でもまた大きくキャストが変わっています。まずは何と言っても、今をときめくティモシー・シャラメと、(ダコタ・ファニングの妹の)エル・ファニングがメインで登場します。そして、その脇をジュード・ロウなどベテラン勢が支えています。中でも脇役過ぎて資料には紹介がなかったレベッカ・ホールの名前をオープニングで見つけた時は嬉しくなりました。ちなみに、レベッカ・ホールはゴールデングローブ賞で作品賞を受賞したウディ・アレン監督作「それでも恋するバルセロナ」(ペネロペ・クルスがアカデミー助演女優賞受賞)でスカーレット・ヨハンソンの親友役で主演し注目された女優です。本作ではジュード・ロウの奥さん役で出演していました。
本作は、ウディ・アレン作品の特徴の1つでもあるドタバタ劇でもありますが、セレーナ・ゴメスも加わり、先の読めない面白い展開をしていきます。タイトルにも登場するように、ウディ・アレン監督ほど「雨」が好きで、作品に自然と効果的に使える監督はいないのかもしれませんね。
さて、1966年から監督をしているウディ・アレン監督は間違いなく、最も多くの名作を生み出していると思いますが、現時点で84歳なので、これからはカウントダウンに入りつつあります。
これまでは当たり前のようにあったウディ・アレン監督作品ですが、もう当たり前ではなくなっていくので、これからは1本、1本を劇場で噛みしめながら味わっていきたいですね。
本作は、それにキチンと応えてくれる作品だと思います。
最高に酷くて最高に面白い話!
ティモシー・シャラメ目当てで観ました。「DUNE2」が最高すぎた直後、本作のリバイバル上映を知ったのですがスケジュールが合わず断念。今更サブスクで鑑賞。
普段ゾンビだのグロだの、B級全開の映画ばかり観ている私がレビューしても的外れになりそうなので簡潔に。監督さんのことも全く知らんしね。
ずっと笑って観てました(笑)雪だるま式に悪化していくストーリーがめちゃくちゃ面白かったです。そしてロクな人間が出てこない。みんな馬鹿ばっかりで最高。映像が綺麗なのとストーリーのテンポが良いので全く飽きることなく、最後まで夢中で観ちゃいました。終盤の展開は意外でしたし、ラストも…うん…まぁ、そうよね(笑)
ゾンビ村の私にはちょっとおしゃれ過ぎたかな?でもたまにはこういう映画もいいですね。すごく面白かったです!
雨とピアノのハーモニーを添えて
めっちゃ変な映画だったけど、めっちゃ好きだこの映画笑笑笑
浮気ものなのになぜか可愛らしい作りで、結構エグいことしてるのにパッと明るくて、難しいこと一切考えなくていいから何度でも見たくなる、全てにおいてちょうどいいラブストーリー。呑んでないのに、酔っ払った気分になれるのもまた不思議。
ニューヨークが舞台で、かつこんなに美形で素直な2人が主人公だからこそ成り立つ話だよな〜笑笑 始まってすぐ分かる、圧倒的なテンポの良さ。会話の量が多いのも、何度だって見たくなる秘訣。あー、チーズとワインを嗜みたいな🙃
ニューヨークの街並みと、ジャズなピアノに酔いしれる。来年には90歳を迎えるウッディ・アレン監督だが、ロケーションや音楽、役者の見せ方、カメラワークからセリフの細かなニュアンスまで、ちょっぴりふざけた映画なのにセンスは衰えず光っていて、ひとつひとつにものすごくこだわりを感じた。監督の映画は全く見た事ないけど、こりゃハマりそう。
まあ、いくらなんでも登場人物みんな恋に、欲に翻弄されすぎだろ!そして、流されすぎだろ!と思っちゃうし、娼婦があれっきりだったのはどことなく勿体なさを感じたけど、この映画以上に雨も案外いいじゃんって思えることないだろうし、大俳優になったティモシー・シャラメの意外な一面が見れて満足度は相当高い。ウォンカとかポールもいいけど、個人的にはこんな役が大好きだな。君は太陽の下で輝き、僕は雨の中で生きる。ん〜、タイトルからなにまで秀逸だな〜🥰
「雨が好きウディ・アレン」
今年151本目。
2020年7月3日公開の映画。
「RRR」外して今年1番。
ウディ・アレンは雨が好きな監督。
雨の日は出掛けるのが楽しいと思うようにしています。ティモシー・シャラメとエル・ファニングがどうなるのとニューヨークで出会う人が絡んで、ワインのように熟成した作品。こう言うセリフ一つ一つがおしゃれな映画ってずっと見てられます。
待ってましたリバイバル上映
2019年上映を見逃して悔やんでいましたがようやく劇場で観ることができました。
エル・ファニングとティモシー・シャラメの共演のラブコメ❤️ウッディアレン監督らしさ溢れる名作でした。
巧妙な会話劇とテンポの良い展開
この機会に是非映画館で🎦
78
女性の最古の職業
ニューヨークのスノッブな人々のああでもないこうでもないなオシャレでさり気なくゴージャスなウディ・アレン映画って、画はいいけどもう飽きた、登場人物全員を小馬鹿にしているのも鼻についてうんざり。。。と思っていたら
母親の告白で一転。
最終的に「面白かった」という印象になりました。
当たりの方のウディ・アレン。
エル・ファニングがかわいい。
社会の荒波をまだ知らない(ちょっと馬鹿っぽい)初々しい女子大生が陳腐な(かなり馬鹿っぽい)「業界」のおじさんたちのミューズのように描かれているパターンをよく見るけど、ウディ・アレンの嗜好なんでしょうね。
あの人もしかしてジュード・ロウ!?と途中で気づいて、エンドタイトルでやっぱそうだったことを確認しました。
☆☆☆☆ 《世界中の誰1人として、ガンジーの誘いは断れない!》(笑...
☆☆☆☆
《世界中の誰1人として、ガンジーの誘いは断れない!》(笑)
観客3名。簡単に。
いや〜!何から何までウディ・アレンだったなあ〜。
おそらく、ラストの展開に納得いかない人が多く居ると思います。
その走りとして、映画が始まっていきなり、2人の会話による長回しのシーンから始まるのですが。アレンの長回し自体、これまでにあまり使った事は無いとは思いますが。この時の会話が、微妙〜に噛み合って無い様に見えるのが。その後の2人の運命を決めていたのかも知れない。
そんな2人の、不穏な関係性を暗示させるが如く。ここまで徹底的に作品の中で雨を降らせたのは、アレン映画史上最大だったかも?
でもですね。何となく、古くからアレン映画を観て来た人だったなら、或る程度は納得出来た…のかも。
『スターダスト・メモリー』でのシャーロット・ランブリングや。『マンハッタン』でのマリエム・ヘミングウェイ等。
アレン映画黄金期に於ける、映画中での雨の中のキスは、アレン映画の《女神》(ミューズ)の証。
それだけに、太陽の州から来た彼女よりも。雨で出会い・再会する女性こそが、アレン映画に於ける【ミューズ】なのだ!
主人公のティモシー・シャラメのモデルは、勿論アレン本人。
おい!アレン。あんたそんなにイケメンじゃ〜無えだろ
(`・∀・´)
アレンの喋り口調を知っていると。歩きながらシャラメの声で聞こえて来る独白が、まさにアレン節の口調なので、ついつい楽しくなってしまう。
リーブ・シュライバー演じる世界的映画監督は。『スターダスト・メモリー』での、自分は芸術家として映画を製作しながらも。古くからのフアンには、「コメディーを作れ!」と言われ、思い悩む(アレン自身の葛藤)姿そのものを。
ジュード・ロウには、『ハンナとその姉妹』でのマイケル・ケインの姿を思い浮かべる事が出来る。
ヒロイン役と言えるエル・ファニングには。『アニーホール』から、『それでも恋するバルセロナ』辺りの、アレン映画にて脈々と続く《ミューズの系譜》を感じました。
特に嬉しかったのは、エル・ファニングのセクシーシーンが有り。実に眼福でしたぞ〜(//∇//)
他にも「愛と死はコインの裏表」との台詞が有り、なんとなく『マッチポイント』でのラストシーンを想起させたり。フランス・イギリスを始め、欧州で撮影した作品の匂いを、数多く観客へと向けて振りまく。
「あ?コレはあの作品かな?さっきのはアレかな?」…と。アレンの過去作を思い浮かべながら観れると、更に面白く観れると思います。
(知らなくても大丈夫です)
映画はラスト近くに至たり。シャラメは、母親からの一言で一気に心を谷底へと突き落とされてしまう。
この時に並行して描く2つのパーティ。
これこそが、アレンが長年に渡って描き続けて来た、スノッブな人種に対する批判の様でも有り。
最近の作品で言うと、『カフェ・ソサエティ』で鮮やかに描いた、《虚構》と《実像》の(アレンによると)おぞましい世界観と言えるでしょうか。
まだまだ若えなあ〜アレンは( ´Д`)
♬ ス ワンダフル
素敵! 素晴らしいわ!
貴方が、私の事を好きだなんて!
凄く嬉しくて、天にも昇る心地よ!
2020年7月6日 MOVIX柏の葉キャンパス/スクリーン10
やっぱりそうなるの
ティモシーの魅力をもっと引き出せたらなあ。へなちょこのダメ男に撮れたはず。でもお母さんのエピソードは良かったです。最後はやっぱりそうなるのかあ。
ウディ・アレンの一時の勢いは感じられませんでした。キャンセルされましたしね。真相はどうなんでしょうか?
観たかった度○鑑賞後の満足度◎ “これは現実で映画とは違うよ”“現実は夢を忘れた人達の世界よ”(この映画で一番好きなライン)。そう、映画の中では雨の1日で人生や運命が変わる事もある。
①ウディ・アレンの演出はもはや匠の領域。初期の頃や最盛期の頃の才気や鋭さ、繊細さは無くなったけれども円熟味は一級の職人技。
②この頃は『カフェ・ソサイアティ』『女と男の観覧車』そして本作と、再びニューヨークが舞台の映画が続いたが、『アニー・ホール』『マンハッタン』等のニューヨークが舞台の最盛期の映画とはまるで違う。
個人的には、自意識過剰でコンプレックスの塊でそれでもスノッブなインテリの主人公が喋りまくりながら女性を見つめる頃のウディ・アレン映画が好きなのだが、いつの頃からか様々な男女が繰り広げるドラマを俯瞰的に描くようになったウディ・アレン映画も悪くはない。
③あの頃のようなキャラクターは現代の21世紀の世界や映画界では歓迎されないのかもしれない。
この映画でティモシー・シャラメが演じるギャッビーも、経済的には親に頼りながら親に反発し、将来を決められずにフラフラしている青年像の方が現代的なのかもしれない(オッサンの視点だから思いっきり偏見に満ちているのかもしれない)。
④そのギャッビーが苦手の、ハイソ志向・スノッブ志向の母親の過去と何故そういう志向になったのか、を知るシーンがハイライト。
⑤ウディ・アレン映画定番の映画のトリビアを散りばめながら、自分の出自を知ってニューヨークでやり直そうとする青年を描いて、ウディ・アレンは次の世代にニューヨークへの愛を引き継ごうとしているかもしれない。
⑥蛇足:ジュード・ロウの額の禿げ上がり具合にはビックリした(人の事は言えないですが)。
ギャッビーの兄のフィアンセの笑い声には確かに萎えるかも。
雨のラストシーン
皮肉とユーモアを織り交ぜたドタバタ劇の中で、出会いと別れ、そして大人の世界を垣間見ることで心の成長あり、という、言ってみればありがちな話なのに、細かいところで面白く、洒落た感じにまとまってるところがさすが!という感じ。
また母親の過去話はなかなかのものだった。
雨のラストシーンがとてもよくて、しとしと雨が大好きな私としてはこのシーンはとても印象的。一気にテンションアップ。人生の哀愁を感じさせ胸にグッとくる。
自身の若い頃の苦い経験が折り込まれているのかな。
自分らしく個性を大切に生きようとする若い人へのエール、というような暖かさを感じる。
軽い気持ちで見れる映画
2022/06/14@アマプラ
気軽に見れる
コントやショートムービーみたいにテンポよく場面が切り替わるのもよい
アシュレーがおじさんより彼氏に愛情が向いているのがいいね、と思ったらイケメン俳優のまえでは服脱ぐんかい!となった
どのおじさんも好きです
最後主人子が元カノの妹とくっつくのはなんか好きじゃない
ラストシーンでどうぶつの森みたいなチャイム流れるの笑える
「君は太陽の下で輝く、僕は曇り空の下で息づく」
好きなセリフ
良き学生映画のお手本
ウッディ・アレンの作品の良さはひとえに巨匠巨匠してない点である。しかしその作品は常に瑞々しさを失うことなく、良くも悪くも若々しい🎵この作品は2つのパースペクティブから成り立っていて最後に驚きの展開となる‼️アクセントになる主人公の母親のキャリアに息子の世界観が大きく変わる様が描かれる。この辺が実にウッディ・アレンなのだ。軽やかながらなかなか素人には描けない世界観を持つ監督、これこそがウッディ・アレンのウッディ・アレンたる所以である‼️
上流社会趣味
アレンの養子だったディラン・ファローの告発によってA Rainy Day in New Yorkはお蔵入りしそうだった。
ハリウッドでは定石だが前妻のミア・ファローは養子を乱受するひとだった。アレンからの性虐待を訴えたディランもそのひとり。アレンの現妻スン=イー・プレヴィンもかつては養子だった。
当時、MeToo運動(2017年~)の気勢にのって、多数の公人が告発された。もちろん今も続いている。MeToo運動とは、告発の連鎖のことではなく、公にさらけ出すことを常態化させた変革だった。
ディラン・ファローが養父ウッディ・アレンからされた過去の性的いたずらを告発したのは二度目。一回目は養母ミア・ファローが訴え、証拠不十分により不起訴となっていたが、二回目は成人した養女本人からで、テレビで大々的に報道された。
それをきっかけに多くの俳優が反アレンに回った。A Rainy Day in New Yorkのほとんどの出演者も出演を後悔したりアレンとは仕事をしないとの声明を発表している。
一方、ヨハンソンやダイアン・キートンなど彼を信頼しいつでも仕事すると公言した俳優らもいた。ケイト・ウィンスレットのように私生活は仕事と関係がないとのスタンスを表明する俳優もいた。
が、MeTooの世相である。
巷は向かい風だった。
マリオン・コティヤールはこの一件を──
『私生活についてはよく知らなかったけど、養女(スン=イー・プレヴィン)と結婚したと聞いて、正直ちょっと気持ち悪いと思ったのを覚えているわ。撮影現場でもどこかギクシャクしていて、私にとってはあまり良い体験ではなかったし、彼と仕事をすることはもうないでしょうね。今回の報道が事実か否かは、当事者じゃないから何とも言えないけれど、ディランさんが苦しむ姿を見て胸が痛くなったということだけは確かね』
──と語ったが、この発言は世間一般見解の代弁のようでもある。
結果、年1作ペースだったウッディ・アレンの仕事はガクンと細った。
思えばウッディ・アレンは半世紀以上一線を走ってきた。
アニーホール(1977)、ハンナとその姉妹(1987)、地球は女で回っている(1997)、マッチポイント(2005)・・・時代毎に多数のピークを持つ名匠であり、かつてはアレン映画の解釈をのたくる文化人や文化人もどきが大勢いた。アレン流のエスプリを解するのが映画通と見なされていた時代が確かにあった。
じっさいウッディ・アレンは長らく映画業界に貢献してきたのであり、突如としてはじまった逆風に不服を述べている。
曰く──
『そもそもこれは何年も前に決着している問題であるし、何十人もの女性から訴えられている奴(ワインスタインを指している)と、ひとりの義娘から一回だけのことを訴えられ、その他にいかなる告発の来歴もない私を一緒に語らないでくれ、ほんとに迷惑しているんだ』
MeToo運動もさることながら、本邦のガーシーもそうだがSNS時代とは、告発や暴露によって功績がおしゃかに帰する時代──とも言える。
A Rainy Day in New Yorkは2017年の10月には撮り終えているが、ごたごたの末、公開されたのは2019年。しかも本国アメリカでは公開されずメディアリリースに終わった。
──
映画は軽快なコメディ。撮り方もサクサクという感じ。まるでオーディションリールのように気取らず、構図も決めずに進んでいく。
話もオポチュニズムで主人公がニューヨークを歩いていると知人や有名人に出くわして話がこっちからあっちへとつながっていく。そのいい加減さは悪くないし、男女間の情が出てくるような場面になるとサッと場面転換してスピード感を損ねないのも巧かった。
ただし。上流社会趣味ほど今のじぶんの感情から遠いものはなかったw。
ビターでスイートなニューヨークの恋人たち!!
今回のウディ・アレン作品は、今一番輝いてる若手売れっ子スター、
ティモシー・シャラメとエル・ファニングが主役です。
おかげで、断然に若々しく瑞々しい。
映画界の内幕が、散りばめられている所も興味しんしん。
ニューヨークを知り尽くした男ウディ・アレンのニューヨーク愛と
名所が楽しめる点もgoodです。
雨に煙るニューヨーク・・・もう、たまらなく素敵です。
ウディ作品としてもかなり内容はよく出来ています。
田舎大学のほやほやカップルのギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークにバスで向かい、ロマンティックな週末を過ごそうとしていた。(もちろんホテル泊の予定です)
しかし、アシュレーのもう一つの目的は、大学新聞に載せる有名監督ローランド(リーブ・シュレイバー)にインタビューすることでした。
アリゾナ生まれのアシュレーに生粋のニューヨーカーのギャツビーがニューヨークを案内す計画は、アシュレーが監督、脚本家おまけにフェロモン俳優ヴェガ(ディエゴ・ルナ)に
猛アタックされたことで狂いに狂ってしまいます。
このあたり、尊敬する監督(スティーブン・スピルバーグとか?)
好きな映画の脚本家やブラッド・ピット(たとえばの話よ!!)から相談されたり、
デートに誘われたらどうします?
田舎大学のBFを忘れて、舞い上がりませんかしら?
・・・なんて話が、ニューヨークの素敵なロケーション・・・ホテル・ピエールに
ホテル・カーライルそしてメトロポリタン美術館にセントラルパークを舞台に繰り広げられます。
名所が初心者向けなのもラッキーです。
(ギャツビーは実は凄いギャンブラーだし、ピアノの弾き語りまで得意・・・という
おまけ付き!!)
それにしてもエルちゃん演じるアシュレーは、シャラメ君をことごとく後回し・・・
こりゃー男ならいくら辛抱強くても、落ち込みます。
恋模様はニューヨークの天気のように移り気でした。
実はこの映画。ウディ・アレン監督の過去(40年近く前のセクハラ事件が再燃して・・・)
★★なんとこの作品はアメリカで劇場公開をされませんでした。
日本では公開されたんですが、出演スターたちはどんなに悲しかったでしょうね。
エルちゃんは出演を後悔するコメント発表しましたし、
出演者の殆どが、ギャラの全てをボランティア団体に寄付する騒ぎとなりました。
★★ウディ監督は失業状態で、毎年恒例になっていた新作の発表は
今後難しい状況です。
★セクハラの真偽は本人と当事者のみぞ知る・・・ですが、
セクハラの代償は大きいですね。
★☆★最近の情報ではアレン監督の新作が計画されているそうです。
パリで撮影がはじまるとかなんとか!!
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