劇場公開日 2021年11月12日

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「今年きっての偏愛枠、SF的要素で純愛を描く清涼感が見事」恋する寄生虫 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今年きっての偏愛枠、SF的要素で純愛を描く清涼感が見事

2021年11月24日
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鑑賞方法:映画館

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小松菜奈の出演する作品は『糸』に『さくら』、『ムーンライト・シャドウ』とハマらず3連敗。だったけど、今作は久々に偏愛的な感情も芽生えて久々の白星。凄く気分が良い。笑

潔癖症と視線恐怖症のボーイ・ミーツ・ガールに入り込む、寄生虫というSFじみた設定の今作。正直そこに関しては思うところがあるのだけど、凄く清涼感を覚えるような世界で、何だか気持ち良かった。序盤は生理的に受け入れられない現状をグラフィック豊かに表現。SPECっぽさを覚える。そこはCMやってました感がプンプンしてダメかと思った。しかし、少ない登場人物による立ち回りが奏功し、変化を多彩に描く鮮やかなカットに慣れると、2人の関係に酔えてくる。そうして行き着くところに不思議と安堵を覚えるというか、その状況に煌めきを覚える。

そんな連敗を止めた立役者は、林遣都もそうだが、小松菜奈自身であることは間違いない。たぶん2人の設定は実年齢マイナス7くらいだと思う。それによる違和感を独特な世界観と混じり合うことで打ち消しているから、画にうっとりとする。林遣都の柔軟性ある演技と、空想的なヒロインがリアルに感じられる彼女だからこそ為せる空気なのだ。キスも小洒落たものでなく、死生観をテーマとした本作の隠喩ともとれる美しさも感じる。そうして彩られた2人の世界は、独特の柔い画に寄生している。

これは余談だが、既になくなったとしまえんと、これから無くなるヴィーナスフォートがロケ地に使われている1つ惹かれた点。瞬間的な記録と、子孫を残す本能的な部分がマッチしているのが印象的だった。大切な人の温もりを感じながらリビングでぬくぬくと観れたらまた美しいんだろうな…なんて思ったり。偏愛的な作品なったので、また観ると思う。

たいよーさん。