護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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犯人探しの物語ではない。
あの震災で一体誰の何が護られなかったのか。命か。物質的な何かか。人権か。それとも生きるという本質か。大切な場所、そして大切な人をたった1日で失った多くの人達。時には知らない誰かと助け合い、寄り添い背中を擦り合いながら1日を終える。そうやってほんの少しずつ進んでゆく。
究極の状況下にあっても人は食べなくては生きていけない。食べるためにはお金がいる。生活困窮者に対して当然与えられるべき支援、生活保護。一方で国の世話になりたくない。恥ずかしいと思わせてしまう日本社会の構図。その最前線に立つ職員と受給希望者。青天井ではない。限られた中で誰が本当に支援を受けるべきなのか。後を絶たない不正受給。決してうまく機能しているとは言い難い。その不条理に斬り込んだ作品。
ただ、震災後のある死をきっかけにした生活保護の問題と、そこに絡んだ9年後に起こる連続殺人事件となかなか忙しい内容。結局犯人探しのサスペンスみたいになってしまっていてそこは残念。重要なのはそこじゃないでしょう。配役は非常に豪華でした。清原果耶素晴らしいですけど、個人的におかえりモネの最終回の日に観に行ったのは完全に失敗でした。
やや重い社会派サスペンス
東日本大震災が原因の事件になっているがコロナ過で護もられなかった人がいるのではないか?
東日本震災で離れ離れになった人たちが、疑似家族のように支えあった姿が生きる力になったのは間違いない。倍賞美津子の家が佐藤と清原がただいまと帰る所だった。生活保護の問題で子供だった2人は倍賞が生活保護を断った理由が分からなくて生活保護課の職員を殺害していくミステリーになっていて、犯人を捜す刑事を阿部寛がなり犯人と思われる佐藤を追い詰めていく。佐藤の汚れ役は(ひとよ)で見ているが、今回は迫真の演技で凄いと思いました。役人のあるべき姿たと現実は難しいと思いますが、寄り添ってくれる人もいるが問題提起していると思います。清原の演技の凄さも再認識しました。涙する場面も多々ありましたが、震災で阿部さんの子供が流されて行くのを目撃したのが佐藤だったと告白する場面も納得でした。
心が痛い
良い映画でも嫌な気持ちにさせる映画
行き場の無い感情
理不尽に争う
自分的にはイマイチ腑に落ちなかったかな
震災被災者と格差社会が映し出す日本の衰退、そんな事は分かっているけど、あの時冷静ではいられなかった
もうあれから10年。既にありふれた東日本大震災の被害、毎日報道されているそして失われた30年により衰退する日本の中で切り捨てられていく弱者。
そんな、とても重いことなのに、皆ありふれてしまったように感じるテーマを実力派の俳優陣が重厚に肉付けして演じていて引き込まれていく。
確かに映画で描かれるほど日本の公的サービスは冷たくはないのかもしれないし、殺人に至る動機も弱く感じる人も多いかもしれない。
でも、僕も失業した時に助けを求めた役所に笑いながら門前払いを喰らったことがある。役所だって組織の論理があり、予算があり、出来ないことはあるだろう。それは十分に分かっているし、努力している職員だって多いはず。
それに、大切な人が見殺しにされたとしても、佐藤健のセリフじゃないが「死んでいい命なんてない」ことも分かってる。
だけど、あの震災の時、みんな普通じゃなかった。異常な状況に置かれ、それぞれに受けた傷は様々だった。
被災者は何をして良いか分からず、無気力になって、毎日パチンコ屋だけが大繁盛だった。
被災地に来たボランティアの中には「ボランティアに行くと単位がもらえるんっすよ、ラッキー!」と言い放った大学生がいた。
ボランティアを顎で使って怒鳴り散らし、何もしない被災者もいた。
東京の会社の上司は無関心で「震災で売上減りましたなんて理由になんねーんだよ、いいから仕事しろよ!」と怒鳴り散らしていた。
そして僕は、故郷が壊滅的な被害が出ているのに、母を助けにいくこともできず、土日のボランティアで傷つき、何も出来ない自分に呆然となって絶望していた。
あの震災の時、みんな普通じゃなかった。そして多分いまも普通じゃない。心の傷はいまも癒えない。形を変えた被災者が、あるいは社会的弱者があの頃より増えている様な気がする。
この映画には不自然な内容もあったかもしれない。傑作なのかどうかなんてわからない。
だけど、僕は最初の遺体安置所のシーンから涙が溢れ出して止まらなかった。泣き続けた2時間になった。多分そうなることが分かってたから、妻を誘わず一人でこの映画を見に行った。
あー、僕の心はあの時に壊れたままだったんだと気付いた映画だった。
映画の批評もいいけど、震災の被害者はまだ苦しんでる。震災に関係なく弱い人たちがどんどん増えて苦しんでいる。
そんな人達に寄り添いたい人が少しでも増えて欲しい、そんな風に思った2時間だった
映画のレビューじゃなくなったかもしれないけど、被災者の心は僕が想像もできないくらいに傷付いた、そのことを、どうか覚えていて欲しい、そして震災に関係するかしないかに関わらず、どうか少しでも弱者に手を差し伸べて欲しい。
お願いします。
余計な演出が多いなぁ
3.11をベースにするのは、ちょっと嫌な感じ。
いろいろ思い出してしまった。
地震の間、間もなくして雪降ってたこと。
夜、停電で真っ暗で星が綺麗だったこと。
翌朝、うっすら雪が積もってて、朝日が綺麗だったこと。
ボランティアだらけだけど、あまり役に立つ働きができる人は少ない。
でも、みんな一生懸命に頑張ってた。
他人の優しさを身にしみて感じたこと。
途中で誰が犯人かはわかった。
けど、無理があるよね。
ラストの海を見ながらの阿部さんと佐藤くんの二人の会話と無言の表情で感情を語る演技が凄かった。
二人とも素晴らしい役者さんだなぁと思った。
コロナ禍の今のほうがこのストーリーは書きやすいかも。
いきなりバレエしてたり、なんか、ところどころに不自然さがあって、ちょっとイラッとした。
3.11.殺人、生活保護、孤独。
ちょっと、盛り沢山すぎた。
おかえりモネ外伝?
正義の反対は正義である
ただの殺人サスペンスでも、単純に社会問題を伝える映画でもない。現代の居た堪れない社会をリアルに描いている。
誰も悪いわけではなく、みんな誰かのためになりたいと思っていても、歯車が噛み合わず理想通りにいかない世の中。とても難しい問題だ。
それでも、行き場のない想いも押し殺さず声を上げることが大事だというメッセージが込められている。
みんなつらい過去を背負っていたり、苦しい現実を抱えている。それでも寄り添って生きていくしかない。
死んでいい人なんて誰もいない。
でもきっとどこかで誰かが見ていてくれる。世の中捨てたもんじゃない。
みんながそう信じて助け合えばきっとうまくいく。変わっていける。
そんな理想論でも夢物語でもない、現実的な希望を描く。
それぞれが誰を護り、誰を護れなかったか。殺人の真実を知ったとき胸が締め付けられる。
登場人物の誰に感情移入するだろうか。誰が正義で、誰が悪か。それは表裏一体。
その答えのない問いかけに考えさせられる作品。
阿部寛の堪える表情に熱くなった。
護ることが出来なかった者たちの鎮魂歌
ラストがいい
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