彼女はひとりのレビュー・感想・評価
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微笑みひとつ浮かべない福永朱梨に魅入られる。
新人監督が大学院の修了課題として作った一時間の小品で、確かに粗い部分もあるとは思うのだが、芦澤明子撮影監督が参加しているのも納得の、確実に才能の輝きが感じられる。監督は最初はホラー・サスペンスを撮ろうとして構想を練ったそうだが、孤独をこじらせた高校生が見る殺伐とした景色と、主演の福永朱梨の孤高の佇まいがみごとにシンクロしていて、冷え冷えとした感触に魅入られてしまう。それでいてラストのほのかに見える希望にまんまとハマってしまった。いや、言い方が良くないが、まんまとと表現するほかないくらい、感動させられてしまった。安易な家族愛や友情に頼ることなく、差し出された希望があまりにもか細いからこそ、この映画を信じたいと思える。
死してなお生きる
監督と脚本は『投影』『夜の外』『犬』の中川奈月
立教大学文学部→立教大学大学院現代心理学研究科→東京藝術大学大学院映像研究科
中川奈月作品初鑑賞
粗筋
澄子の父は高校教師
教え子の聡子と付き合っていた
澄子の幼馴染秀明がバラしてしまった
秀明は聡子が好きだった
聡子は橋から飛び降りて自殺した
澄子の母は精神的におかしくなり自殺した
澄子は当時中1で秀明は小6だった
高三になった澄子も橋から飛び降り自殺を図ったが生き残った
秀明は担任の高校教師波多野と付き合っていた
それを目撃した澄子はスマホで写真を撮り秀明を恐喝し続けた
彷徨う聡子の亡霊が見えていた澄子は苦しみ続けた
聡子の存在を知ると澄子の印象がガラッと変わる
もうこの世の者ではないキャラを演じる際に特殊メイクや三角巾は必ずしも必要ではない
それを中川監督と演じた中村優里は示した
いろいろと理不尽な設定で痛々しい
とりあえず彼女の今後に期待したい
配役
自殺を図ったが生還した女子高生の戸田澄子に福永朱梨
澄子の幼馴染で牧子と交際している勝沼秀明に金井浩人
教え子の秀明と交際している教師の波多野牧子に美知枝
澄子の父で教え子と不倫を重ねた戸田隆に山中アラタ
澄子の母で精神的おかしくなり亡くなった戸田薫に三坂知絵子
秀明の友人の橋本隼人に櫻井保幸
澄子の後輩で秀明と交際していた菱川茜に榮林桃伽
澄子の卒業した先輩の矢野瑞樹に堀春菜
教師だった隆が交際していた女子高生で自殺した聡子に中村優里
波多野の同僚教師の浜口に田中一平
主人公を女子高生にしてる時点でだいぶセンス無い
大学生の卒業製作で映画作れちゃうのはすごいと思うんですが、主人公を女子高生にしてる時点でだいぶセンス無いですね
幽霊が見えるというスキルが乗っても、映画監督志望の若者100人ぐらい集めたら、似た話を考える人は何人もいそうだから、やっぱりセンス無いです
それに、世にも奇妙な物語だったらオチにドンデン返しまで加えてきっちり25分で描くような話なのに、60分もかけてドンデン返し抜きって……何なのかなって思います
オチのある話じゃなくて、人間ドラマが描きたかったのかもしれません
が、そもそものテーマだとか、作者が観客に伝えたいメッセージみたいなのが本当に読み取れなくて、性格の悪い女子高生が60分間ずっと周囲に当たり散らしているだけという……
主人公は一番罪が重い父親にまず当たるべきだし、幽霊はまず父親に見えるべきだし、最後、主人公を助けるのは絶対に女性教師じゃないです
ラストに5番手ぐらいの脇役の活躍なんて、マジどうでもいいです
そもそも、生徒と不純な関係を持っている女性教師が主人公に対しては至極真っ当に意見するのが解せないです
写真をばらまいた主人公を自殺に見せかけて逆に突き落とすぐらいやるなら分かります
でも、そうはならない
キャラクター造形が薄っぺらく、人物相関図の配置が曖昧なんじゃないかと
そういえば幼なじみの恋人役女子生徒も薄っぺらかったですね
生徒と教師が禁断の愛に手を染める理由が「優しかったから」とか、セリフも相当薄っぺらいです
あとシーンとシーンの繋がりに脈絡が無いところが多すぎる
ご都合であっちこっちにシーン展開しすぎです
……細かいところはもうキリがないので大きいところに戻りますが
主人公が幽霊見えることと幼なじみに嫌がらせすることの因果関係は無いですよね
関係ある前提で話を進められてますけど、無理矢理こじつけすぎです
チクった幼なじみが悪いわけではなく、父親が圧倒的に悪いです
それを幼なじみへの復讐話にするから主人公が小物になって話自体がちっぽけになるんです
設定も、6年前に死んだなら、なんで6年後の今が映画になってるの?
その6年間は一切何も無かったの? 幽霊は出なかったの?
主人公は幼なじみの弱みを握るまで待ってたの?
幽霊が見えても頭痛するときとしないときの違いは?
幽霊が見えるけど頭痛以外に呪われたり明らかな害が無いなら自殺する必要なくない?
6年間は幽霊に成仏してもらうような行動を起こさなかったの?
色々と設定がゆるゆる過ぎて、まず頭に入ってこないんですよ
設定が緩すぎますし、自主映画によくある露悪的で、テーマもメッセージもカタルシスも無い映画は本当にうんざりです……
と思っていたら、舞台挨拶の予定に黒沢清の名前があって、ちょっと驚きました
どうやら黒沢清のお弟子さんみたいですね
東京芸術大学出身なら映画界のスーパーエリートじゃないですか
……だったらなおのことうんざりですわ
黒沢清を東京芸術大学の教授に雇って、それで育てられたエリートによって作られた自主映画がこのレベルなら邦画はもう無理です
韓国から指導者を連れてきた方が絶対いいです
税金の無駄遣いですし、黒沢清には映画産業を背負って立てる後進を育てられるわけありません
闇を背にするポスターの意味が分かった。
主要な登場人物は皆、目が濁っている。怯えていたり、怒っていたり、虚ろだったり、眉間に皺を寄せて生きている。信じていた理想を壊された彼女の私怨がストーリー全体を覆っていた。
朝食のシーンは震えた。ラストカットで思い出したのは『哭声/コクソン』と『ペットセメタリー』だった。
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