劇場公開日 2020年8月7日

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「alternativeのようで実はmainstreamだった、彼らの米国音楽史を紐解く」ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0alternativeのようで実はmainstreamだった、彼らの米国音楽史を紐解く

2020年8月12日
iPhoneアプリから投稿

まるでアカデミックな米国音楽史の本のページをめくるような感覚。その本はとてつもなく分厚く中身も濃い。そして施政者が闇に葬ってきた黒い歴史を明らかにしていく。自分のような薄っぺらの表面的な米国の歴史しか知らない人間には驚く事実ばかり。

大陸の新たな征服者である、WASPはNative-Americanの土地や財産だけでなく、文化までも抹殺し封印しようとしてきた。今の中国共産党政府がチベット自治区や新疆ウイグル自治区でおこなってきたように。

しかし為政者の思惑に反して、彼らの音楽はAfrican-Americanと交流しながら豊かな文化を継承していく。bluesやjazz、 rockに多大で基盤にもなるような貢献をしてきたのは驚きであり、Charley PattonやJimi HendrixがNative-Americanにルーツを持っていたとは更に驚きだった。

映画のタイトルになっている「Rumble」を聴いて思い出すのは、Pulp Fictionでの挿入歌(John TravoltaとUma Thurmanがバニラシェークを飲む、あのシーン!)。
米国のロック史に軌跡を遺した偉大なロックアーティストたちに影響を与えてきた超絶演奏。インスト曲にも関わらず放送禁止になったというくらい、発表当時大きなインパクトを持って受け止められた証拠。
Pulp Fictionでこの曲をはじめて聴いて、「めっちゃカッコいい!」と震えたことを思い出す。

atsushi