滑走路のレビュー・感想・評価
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救ってくれるのも人間
モチーフの歌集未読、TIFF2020にて鑑賞。
なんだかわからないけど気になってた作品。
観て良かった。本当。より多くの方に届いて欲しい。
作品内セリフで
「生きていれば傷つくものだ」
というのがある。
心に傷。わだかまりなどの手枷足枷をつけて生きてる人は多いだろう。
それさえなければ人生を大きく羽ばたけるのに、、、。広い空を雄大に飛べるだろうに。
人生は様々なラインを描く。十人十色。
それが交わったり離れたり。
交わる時に何が起きるだろう?
何を選択、判断するのだろう?
どんな行動をとるのだろうか?
結果、心に手枷足枷ができるかも?
いや、痛みがやわらぐかも?
けど、交わる相手が全て人間だからなんだろな、
そーなるのは。
僕たちは人との関わりと言う名の
滑走路を走り続け、いつかいつか
自由に飛び立つことができるはず。
ときには、哀しい事実も乗り越えて。
それは誰にでも訪れるんじゃ?と信じたい。
だからこそ、大事にしたい。
僕の周りの人達を。
そして感謝したい。今までもこれからも。
なんて思いました。
温かい、哀しくも温かい、人の繋がりを
改めて信じたくなる作品です。
中学生役の方々、見事でした。
彼らが本作品のキーマンでした。
ヒトは無邪気に人を不幸に突き落とす動物なのか?
3人の物語が繋がって行く、という解説から、てっきり横に繋がると思って観てました。でも、暫くして時間軸がいくつもあることに気付き、縦の時間軸で一本に繋がることが分かってくる。
そう思って観ていなかったので不意をつかれた。
主人公の一人である中学生は原作者自身の実体験だ。
原作にも、ゴミ箱に捨てられた自分の鞄を詠んだ歌が残されているが、日本でも屈指の進学校の優等生だった原作者が長年虐められ続け、長年のイジメのトラウマにより進学に失敗、イジメの後遺症と戦いながら何とか大学を出るものの正規雇用に就けず、ようやく短歌が評価され始めたのに、イジメの後遺症により自死。
この原作者のエピソードは映画を見終わった後で知った事実だが、もし知ってから観ていたら、とても映画を直視できなかったかもしれない。
真面目で優秀な学級委員長の中学生らしい正義感が、自分を破滅に導いていき、心から信頼していた友人(初恋の相手?)をも裏切ることを強要され、自ら地獄に落ちていくことに目を背けたくなる。
虐めにより自死に至った主人公を含めた3人、それぞれの時間軸で進む物語と、それぞれの選択は、そうであって欲しいという脚本家や監督の優しさのような気がする。
そんな伏線の無かった、あるいはそれを知らずに自死を選ぶしか無かった原作者の人生を思うと、その心の痛みは想像を遥かに超えていく。
今回の映画も被害者側の未来を描く物語だけど、いつも思うのは、ヒトは無邪気に他人を平気で、しかも遊びで不幸に突き落とす残酷な動物なのだな、と言うこと。
自分も子供時代に無邪気に誰かを不幸にしていたのかもしれないと思うと恐ろしくなる。
劇中で、翠の優しい夫が、優しい言葉で翠をズタズタに傷付けているとしか思えないように描かれている、そして翠も最後にこれ以上もない酷い言葉を夫に投げかける、それは私達は大人になっても同じ過ちを続けていると非難されているのかもしれない。
そうしないと世界って回らないもんなのか。
そんなことないだろ?
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