滑走路のレビュー・感想・評価
全63件中、1~20件目を表示
2020年の社会を捉えた素晴らしい作品
コロナウイルス感染拡大による経済不安の中、自殺者が急増したというニュースが報じられている。社会の貧しさは弱い人の生活を蝕み、そうした人々は声を上げることもないままにいなくなってしまう。萩原慎一郎の残した歌は、そんな声を届けられなかった人たちの声を代弁していた。
非正規雇用者の自殺、無茶な要求につぶされそうになる若手官僚、中学生のいじめ、夫との関係と将来のキャリアに不安を抱える女性。どの物語も現代社会にはあふれている。それらが別々に紡がれ、最終的には一つの物語として集約されていく。現代社会の抱える諸問題は、根っこの部分で深くつながっているのだということを説得力ある構成で描き出している。ひとつの事象の善と悪を見つめるのではなく、背後にある構造的な問題に触れようとしているのが本作の素晴らしさ。2020年に本作が公開されたのは、偶然とは思えないほどに今を捉えている作品だ。
厚労省の若手官僚を演じる浅香航大が素晴らしい。状況と感情に引き裂かれた苦悩を見事に体現していた。
歌詠みに死を選ばせた理不尽を赦しの映画に仕立てた功罪
いじめ被害、非正規雇用といった体験を短歌に詠み、初の歌集の出版を前に世を去った萩原慎一郎。その歌集を映画化する企画のコンペで、大庭功睦監督の案が採用され、桑村さや香の脚本でドラマタイズしたのが本作だ。
上司からのパワハラに苦しみながらも、資料で目にした自殺者を調べ始める厚労省の若手官僚。優柔不断な夫に違和感を募らせる切り絵作家。幼馴染を助けたためいじめの標的になった中学生男子。映画は三者のパートを並行して描き、一見群像劇のように進行するが、後半で関係性を明かす構成が鮮やか(ミステリの謎解きのよう)。逆境に苦しみつつ生きる望みを短歌に託した萩原の遺志を継ぐように、希望を伝えるヒューマンドラマに昇華させた。
赦しと癒し、ミステリ味まで添えた娯楽作に仕立てたのは、商業映画として間口を広げる良策ではある。だがいじめ、格差など世の理不尽に真正面から向き合うのを避けるようで、やるせなさも残る。
☆☆☆★★ 歌集「滑走路」は読了済み。 僅か30分あれば読めてしま...
☆☆☆★★
歌集「滑走路」は読了済み。
僅か30分あれば読めてしまいます。
ほんの少しだけの感想で。
エンディングにて画面に出る一句をきっかけに、映画オリジナルのストーリーを作り上げた様だ。
歌集自体は凡そ3っに分かれていただろうか。
・孤独な青年の叫び
・好きな異性の存在
・少しずつ前を向いて生きる
それだけに、歌集そのものを知っていたので。映画自体のそのストーリー展開の違いには、大いに戸惑ってしまったのが本音。
それでも、中学生の淡い恋愛模様には胸がキュンとしてしまいましたが💦
エンディングは、今年の実写日本映画の中で1番のベストエンディングと言えるかも知れない。
2020年11月21日 MOV IX三郷/スクリーン3
社会問題の一つ イジメ 人生が狂う
感想が浮かばない。
3人のストーリーが絡むかと思いきや、そこまで描かれない。
中学時代
25歳、官僚となった主人公
その主人公を助けた友人の彼女の12年後
友人をイジメから助けた。
毅然とした態度から何故彼がイジメられる側になるのか。
あれだけガンを飛ばし相手の3人が退散するならイジメ返される事はないだろうと思ってしまった。
翠。
イジメ対象の彼に近づくだろうか。
火の粉がかかってもいけないと思うのが普通じゃないのかと思ってしまった。
テーマがテーマだけに終始重苦しく覚悟して鑑賞すべし。
自殺…
苦しい。何でこんな良い青年が。。幼馴染みであるいじめられっ子を助けたばかりに逆にいじめられる。そして、それがトラウマとなり、やがて自殺してしまう。いじめのことを片親である母親に心配かけまいと告げることもなく。何て心優しい青年なんだろう。やるせない。片や、助けてもらったいじめられっ子は猛勉強し、その後、エリート官僚となる。深夜残業は当たり前の激務であるが、仕事にやり甲斐を見いだせない。そんな中で知ってしまった幼馴染みの自殺。原因が自分にあるのではないかと、苦しみ、彼の母親に会いにいくが、逆に励まされる。この場面が重い。普通なら社会的に成功している幼馴染みを裏切り者、人殺しと罵りたい感情が出てもおかしくないないが、一生掛けて、忘れず精一杯生きてほしいと、中々言えない。官僚もいじめられ、本当に辛かったと思う。だからこそ、必死に状況を変えたくて勉強したのだろう。心に止めて、一生生きていかなければならないが、本当の悪はいじめっ子、それを許す社会。死んだ青年が唯一、心を許した同級生、翠も、夫との関係に悩んでいた。子供を産むか、産まないか、妻に好きな方に任せる夫って、あり得ない。優しさ、理解あるという問題ではなく、あまりに自分の意志、他者への気持ちがなさ過ぎる。別れて正解だし、不安な世の中はいつの世も当たり前。それをどう一緒に生きていくか、考えるのが家族。ラスト、堕ろさず良かったと思えた。映画で一番心に思ったのはいじめはいけない。しかし、いつの世もいじめはなくならない。でも死んでしまったら、何も始まらない。原作者も自殺したという。これが残念。
時間軸の使い方が絶妙
心に染みるストーリーだった。
3人の一見、別々の登場人物の日常を丁寧に描き、悩みは今の時代に多くの人が抱えていると思われる事。苦しみながら前に進んでいく。
それぞれのストーリーは時間軸を入れ替えて描かれていく中で徐々に重なりあって、見ている側があーそうなんだなぁと知る頃にはなんとも切ない気持ちになっていた。
最後は前を向いて歩き始めるところも救われた。
少ししか出ないが、坂井真紀の演技がこの映画に深みを添えたと思った。
普通、分析の寝椅子は背後に医者がくるものだし、あんなふうに手を合...
普通、分析の寝椅子は背後に医者がくるものだし、あんなふうに手を合わせたりしない。泣いてもいいんですよとか言わない。監督の決定的無知。
カップルの青春と恋は本当に美しくて爽やかで、俳優もいい。特に男の子。
なんで死んだのか結局わからない。お母さんも良かったのに。
浅香はうまかった。難しい役だった。
勇斗とか、夫とか、屈折しすぎてて、あまり興味なかった。あの二人と比べて。
切り絵の意味は当然、あの事件にあるだろう。
ちょい役の染谷くんはさすが。
水川もなかなか良かった。
厚労省は最低でリアリティあり。
こんなにつまらない邦画を観たのは初めてだ
原作未読
萩原朔太郎は知っているが萩原慎一郎は全く知らない
『マチネの終わりに』『ヒキタさん、ご懐妊ですよ』で助監督だった大庭功睦がこの作品の監督を務めた
2作品はそこそこ良かったのだが
桑村さや香脚本作品を観るのはこれが初めて
自殺を自死に言い換えようという言葉狩りのような流れは大嫌いだ
配慮しすぎて人間全体が弱くなる
どうしても配慮するなら俺にも少しは配慮しろ
いかにもミニシアター系
夫婦関係に悩む切り絵画家翠役に水川あさみ
虐められっ子を助けたために虐められる男子中学生役に寄川歌太
非正規雇用の自殺について取り組む厚生労働省の若手官僚役に浅香航大
群像劇は基本的に嫌いだ
時系列が行ったり来たりする作品は苦手だ
ただただ暗い3種類の話が交代交代で淡々と流れていく
笑える要素は微塵もない
それでいてとても不親切だ
お約束として完全にバラバラな話ではなく繋がりが出てくるのだが
自分が好きな映画に求めるものとは全く違う最悪の代物
どのサイトのレビューも全体的に評価は高いが残念ながらそれらのほとんどは共感できない
ドMなのかサヨクなのか僕にはよくわかない
だからこそ自分は自分のために映画comにレビューを書くのだろう
好きな役者たちの芝居ではとてもカバーできないほど退屈な作品だった
人間ならそうあるべきなはずだがどういうわけか涙は出ないし感動すらしなかった
仙台でも上映していたので映画館で観ようと思ったがあっという間に公開時期が終わってしまった
いま思うと1400円も払って観なくて良かった
『滑走路』のレンタルDVDは少なくとも地元のTSUTAYAではおすすめの作品だった
苦痛に耐えつつラストのクライマックスやオチに期待したのだが最後の最後まで自分の好みからかけ離れていた
ストレスを抱えてさらにストレスを抱え込む意味はあるのだろうか
撮影中の地震はたまたまかな
このままいっちゃえいっちゃえって
まさかね
せめて劇中でトランスアジア航空235便みたいに飛行機が墜落すれば良いのになどと不謹慎な思いまで込み上げてきた
くだらないコメディーより何度も欠伸が出る「社会派」が高く評価される世の中は病的で息苦しく甚だ悲しい
中学2年から現在まで
中学2年、友人がいじめにあい、助けるが今度は自分がターゲットに。
厚生官僚が非正規雇用者の自殺を調べる。
切り絵作家として注目され始めた主婦は、美術教師の夫に違和感を覚える。
ラストは賛否両論かな。
あなたの子供だからおろしたの
映画「滑走路」(大庭功睦監督)から。
いろいろな場面で、生きづらい世の中、ってフレーズが
使われているけれど、それを変えようと行動しない限り、
誰かが変えてくれるのをまっているだけでは、だめなんだ。
そんなことを思いながら、観終わった。
イジメだったり、差別だったり、パワハラだったり、
本当にこんな世界があるの?と思う反面、もしかしたら、
もっとすごい世界が存在しているのかもしれない、とも思う。
衝撃的な台詞は、切り絵作家・翠(みどり)を演じた
「水川あさみ」さんの口から飛び出した。
そのシーンの前にこんな夫婦の会話がある。
「私ね、妊娠したみたい」と夫に告白した妻。
「翠はどうしたい?。俺はどっちでもいいから」と夫。
そして、悩んで悩んだ挙句、産婦人科へ。
病院から帰ってきて、夫にボソッと告げる。
「私、赤ちゃんおろしたの」
「そうか、残念だけど仕方ないよ。こんな世の中だし」
「あなたの子供だから。あなたの子供だからおろしたの」
この台詞を夫は、どんな気持ちで聴いたのだろうか。
「滑走路」というタイトル、物語とうまく繋がらなかった。
時折、発生する地震のような揺れも・・。(汗)
群像劇の見事な重なり合い。生きる苦悩と、一縷の希望。
【賛否両論チェック】
賛:群像劇の見事なリンクを通して、生きていく大変さや、その中で垣間見えるわずかな希望を感じさせてくれるよう。
否:過激なラブシーンや、暴力によるいじめのシーンがあるので、苦手な人には向かない。
本作で圧巻なのは、群像劇同士の見事な重なり合いです。あまり言うとネタバレになってしまうので、詳しくは是非実際にご覧になっていただきたいのですが、生きていくことの大変さは勿論、それでも生きていかなければならないことの大変さと、その中で見える一縷の光を感じさせるような、そんな展開になっています。
そして人間はみんな、人それぞれ決して小さくない傷を抱えながら、それでもその傷と向き合って生きているんだということも、改めて教えられるような気がします。
ラブシーンや、目を背けたくなるようないじめのシーンがあるので、軽い気持ちでは観られないような内容ではありますが、世知辛い今の世の中を必死で生きる全ての人に、ご覧になっていただきたい作品です。
アンビバレントな印象を爽やかに残す
個人的な好みで言うと、思っていた以上に好きな作品で
定期的に観返したいなと思えた。
エンディング~エンドロールの橋で二人が別々の方向に歩いて離れるところで
グーっとカメラが引いて(おそらくドローン撮影)、タイトルが出る、
終わり方として絶妙にいいと感じた。
アンビバレントな感想を言うと
良かったところが、
・「滑走路」という詩集に寄り過ぎなかったところ
・変にエモーショナルにまとめようとしなかったところ
・単純なトラブル→解決という結論にしなかったところ
ここはもう少しだったなというところが、
・「滑走路」という詩集を元にしたので、
モチーフとなる詩を書く人を出すか、「詩」自体を関連付けて欲しかった
・いじめられていた学級委員長の卒業後の様子がもう少し欲しかった
・翠(水川あさみ)について、学級委員長と繋がる部分がもう少し欲しかった
特に翠と学級委員長は中学時代、思春期にああやった交流と別れがあったのなら、
なんだかんだ思い出すか、仮に忘れていても自殺したという同級生からのLINEで、
もう少し思い出してきて、そこに何らかの形でリンクしていくのが
観ている側として腑に落ちるかなと思っていたけど、
あまりにもありきたりな話の流れや展開を避けようとした結果、
必要な分量の繋がりまで削ぎ落してしまったのかなという感じはあった。
ラストで別れた夫との間にできた(ひそかに産んでいた)子が
飛行機の絵を持ってくるところだけだと少し取ってつけた感じは否めないかなと。
それに何か繋がるものが少しでもあるとクドくなくいい感じだったように思えた。
いじめ描写も少し前に観た「許された子どもたち」程のえげつなさはないにしても、
十分なリアリティと深刻さは伝わってくるし、親との関係もとてもいい空気感だったし、
大人になった鷹野(浅香航大)と母親(坂井真紀)のやり取りは秀逸だった。
男として情けない翠の夫、拓己(水橋研二)もいい感じのクズさで良かった。
中学時代の翠役の木下渓は、さらにいい俳優になってほしいなと思った。
あとほんの少しのところで救われたかもしれないもどかしさ
本作に登場する主要キャストの隼介も鷹野も、翠のいずれも、多少の違いはあるものの、弱さと強さ、優しさとたくましさを併せ持つごく普通の人々。翠の夫や隼介母だってそうだ。弱さを曝け出すこともできない、かと言って自分を曝け出したままで、強く生きていくこともままならない。
あとほんの一言がだせれば、あともう少し自分の思いを吐露できれば上手くいくはずなのに、いじめや職場の圧力、非正規雇用という先の見えない不安感や疎外感がそれを妨げる。本当にあと少しのところなのに、それができない。
ここからはネタバレになるので、あまり多くのことは語れないが、翠が最悪の選択をしなくて、ホッとした。「あなたの子だから産まない」というセリフには本当にドキッとさせられた。
でも最後の隼介母が鷹野に贈った言葉は、本当の強さを持った人でなければ言えない。鷹野にあれほど厳しく優しい言葉をかけられるなんて。
鑑賞する前に萩原さんの歌集を是非一読してみてください
読んでなくてならないというわけではないですが、物語の殆どに歌集滑走路の歌を元にした風景や場面が出てきます、恐らく全く一緒というわけではないでしょうが萩原さんがどのような風景や場面を思い起こし歌よんだのか
そう考えながら映画を観るとより一層物語に入り込めます
いじめられた方は一生覚えてる、ってさっき般若さん言ってたよ
本日選んだ2作品、どちらもイジメが題材になってて
偶然でしたが、なんとも両極端な!!
こちらはそのトラウマが原因で悲しい結末を選んでしまう。
そのイジメがまた複雑に人の心が絡み合っていて、友達だった彼らの壊れてしまった心は·····
そして彼の拠り所になっていた彼女の話も。
優しい旦那さんに見えるけど、中身が無い。
才能溢れる彼女をそれも込みで愛せない旦那さん。
尊敬はしてるけど、愛ではない。のが分かったんだね。
子供に罪はない。
子供が出来たら、彼がより辛くなるから
あんな嘘付いたのかな?
あんなに心が弱い状態で父親にはなって欲しくない。
親になるにはお金より強い心が必要。
彼のお母さんの言葉が沁みてきます。
「あなたは生きて結婚して生まれてきた自分の子供を命懸けで守りなさい」
「忘れていいのよ」なんて言われるより素晴らしい叱咤。
生きる希望、目標が出来てホント救われた。
やはり母は強し!
体力では男性に勝てないけど
心の強さだけは男性に勝ちたいと思ってます。
滑走路を上滑り
現代軸と過去軸、複数の人物の視点で描かれる。ただそれぞれの話が若干ねじれの位置ぽく分かりずらいし、視聴側の共感所が散漫に。結局何を見せたいのかわからない。
良い点
・作品を作ろうとする努力
悪い点
・壊れたまま放置されていた
・謎をいくつか残したまま終了
・あまり滑走路と関係ない
全63件中、1~20件目を表示