「人生において大切なもの」きっと、またあえる KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
人生において大切なもの
非常に見応えのある作品で直近で見た作品の中では1番心に響く大切な作品であった。
予告の段階では友情をテーマにした作品なのかなと思い鑑賞したのだが、友情以外にも人生において大切なものを改めて教えてくれる非常にハートフルな作品であった。
主人公のアニは有名工科大学出身で今も仕事で成功を収めている。アニの息子もまた父の姿に憧れ同じ大学に進む事を目指すのだが、入試で不合格となり自分の不甲斐なさを哀れと感じ自殺未遂を犯す。
アニの息子は毎日18時間勉強し、それでも不合格となった自分を負け犬と感じたことが自殺の原因なのだが、アニは決してプレッシャーをかけていたわけではない。むしろ一緒に過ごす時間をずっと待っていたのだがコミニュケーション不足からすれ違いを生じてしまっていた。
離婚した元妻のマヤにも責められ窮地に追い込まれたアニは昏睡状態の息子に学生時代の思い出を話す。
そこから息子は思い出話に興味を持ち生きる気力をとり戻し回復する。
その思い出話こそがもちろんこの作品の肝なる。現在は成功を収めている父親もかつては負け組だった。
ただ学生時代に友を作り、友情を育んだ。そして恋愛もした。時にはバカをしたり失敗もしたが全てが思い出となる。これが人生において大切なものの一つである。
その他にも学生行事の一つのスポーツ大会に本気で挑んだ。
結果として負けてはしまったがそこでまた人生に大切なものを得た。
負けることは決して恥ずべき事ではなく、そこまでの過程や努力が大切なのだ。その過程や努力こそが人生の一部となり、人生を豊かにする一つのアイテムでもある。
この作品はおそらく「負ける事は悪い事ではない」というのが主となる作品なのだろう。このメッセージがありきたりかもしれないかしれないがストレートに描かれていた為とても心に響いて感動した。
もちろん日本もそうだが、インドは優秀な人材も多く競争社会がより際立っている。
人は結果だけで人を勝った負けた、成功したしてないを判断する事は多々あるだろう。
もちろん技術を高めるには競争は必要であり、勝つ事、成功する事を強く願い取り組むことは何より大切である。ただそこで敗れたから、失敗したからそれは負けなのか。それは断じて違う。そこまでの過程や努力が大切であり人を成長し人生の一部となるわけだ。
世の中勝つ人、成功する人よりも負ける人、失敗する人の方が何倍もいるだろう。
負ける事、失敗する事を繰り返す事で人は成長したった一つの成功を掴むのかもしれない。
もちろん失敗や負ける事を前提に取り組む事は本来の意味を半減しかねない。だからこそ結果が出る前にアニは息子に失敗してもいいんだという言葉をかける事はできなかったのであろう。
浪人を繰り返した仲間の一人も言っていたが、本当の負けとは自分に負ける事である。
勝負から逃げ、言い訳を盾にして失敗を正当化する…おそらくこういった事が意味をなさない負けであったり、負け犬なのだろう。
もちろんこの負けても、失敗してもその過程が大切なんだという事は負けても失敗してもアニのように慰め合いそして励まし合う仲間や家族がいるからである。
中々一人じゃそういったことは難しい。仲間や家族がいるからそういった余裕が生まれる。だからこそ仲間や家族の存在は大切でありその存在、関係がまた人生を豊かにする一部となるわけだ。
この作品にはここに書かせてもらった事以外にもまだまだ大切な事は描かれていたかもしれない。
友情、愛、努力…小さな事の積み重なりが人生という一つの作品を築き上げるアイテムとなる。
だからこそ一瞬一瞬を大切にし、小さな幸せ積み重ね、人生を豊かにそして輝かしいものにしたいと改めて心から感じさせてもらった。
とても素晴らしい作品で充実した時間を過ごす事ができた。今日この作品を鑑賞した時間もまた人生を豊かにする一部と化したい。