空白のレビュー・感想・評価
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今年、観るべき作品
一般試写会にて鑑賞
凄い作品を観た
Filmarks9月公開作 期待度1位の前評判以上に衝撃だった
最初の事故のシーンから
目を覆いたくなるほどにテーマはあまりにも重く
不幸な事故が新たな不幸へ向かい
被害者なのに加害者に仕立てられてしまう
メディア報道の残酷さ
世の中が敵になる恐怖
正しさとは何か
赦しとは
向き合わなかった後悔
誰の立場に立っても辛い
古田新太さんじゃなきゃここまで心揺さぶられないだろうという
鬼気迫る充さんの心の叫びが突き刺さり
青柳店長:松坂桃李さんの
何もかもが見えなくなって
人間が壊れて行く様
助ける!といいながら
正しさをふりかざして迫ってくる
草加部:寺嶋しのぶさん
これは、現実にも起こっていることだと現代社会の恐さすら感じた
いったい、どう仕舞いをつけるのかと不安になる中
海の男 藤原季節くん(←役名が分からなかった💦)のモナリザに笑わされたシーンからは怒涛の展開
あの海で見せてくれた笑顔から涙が止まらなくなり
充さんの側にいてくれるのが藤原季節くんで良かったと
彼にしか出来ない役どころ
また世の中に彼の魅力が伝わったはず
松坂桃李だとは誰も思わないんじゃないかと思うほどに壊れ切った
青柳店長に生きる希望を与え
充さんが
亡くなった娘、花音の残したものと向き合っていく中で
心が解けていく姿
会場にいた全員が息を飲んだ
衝撃のラストまで持って行く展開に脱帽
最後はおいおい、嗚咽を上げて泣いていた
これから観る方は
大きなタオルとティッシュを準備し
アイメイクにはご注意を
本当に世の中、いつどこで
何が起こり、何に巻き込まれるか分からない
今の時代、もはや巻き込まれたら自分1人の力では抜け出せなくなってしまう
だからこそ、日々を大事に、
家族や大切な人のサインは見逃さないように
どんなカタチでもいいから、向き合っていくことを忘れずに生きること。
一生懸命に真摯にやっていることは、必ず誰かが見てくれているから。
そう思うことが出来て、やっと座席から立ち上がって歩き出せた。
これは今年、観るべき映画です!
深く突き刺さる
試写会鑑賞
何本も刃物を突きつけられているかのような負の連鎖。
一人一人の描き方がとても丁寧で、どの人の気持ちも入ってくる。
それでいて誰かに寄るわけでなく、俯瞰で見せるのがうまいです。
ここら辺は脚本の妙なのでしょう。
また演じる役者陣もすごい。
皆キャラが立っており、とりわけ古田新太の圧が強い。
最初は観ていてしんどい位でした。
あとこの作品は、子をもつ親が観るとかなり深く入ってきます。
もし自分だったらどうなるんだろうと、ずっと考えさせられました。
折り合いの付け方、みつかる気がしなかった…。
そして観賞後に伝わってくるタイトルの持つ意味。
深く突き刺さる、ものすごい作品でした。
匠な脚本、演技を堪能出来る作品
映画.comさんの当選で試写会を見て来ました。吉田監督の脚本のうまさ、空やカモメ、人物の配置の匠さ、何よりキャストの演技の深さを堪能出来る素晴らしい作品でした。中でも受けの芝居の松坂桃李さんの普通の人の演技。
普通の人が歯車の掛け違いで追い詰められていく、そして最後にわずかなわすかな光。また、この光を与えてくれる存在が桃李さん作品を見ている方にはたまらないシーンでした。
『空』と『白』。
『愛しのアイリーン』に続き、ものすごい映画でした。
さすがはスターサンズ。さすがは吉田恵輔監督。
とにかく見て欲しい!
もう、レビューなんかを書くのは野暮でしかないと感じます(^-^;
『空白』のタイトル通り、誰しもが多かれ少なかれ心に空白を持っている。
それを埋める為に何かに依存したり、何かに八つ当たりしてしまったり。
人によっては承認欲求としてあらわれたりするのかも?
激しく行き過ぎた行動の裏には、大きな空白と一方的な主観しかなく、周りが見えない状況は自分自身をも見えなくしてしまい…
いや、むしろ自分自身を見つめたくないから、盲目的な怒りやストレスの吐口となって攻撃性がエスカレートするのか。
主観だけでは見えていなかったことが、相手の立場になって初めて見えてくることがある。
キーとなるエピソードしかり。
自分とは異なる主観に触れた時、逆に自分を見つめ直すキッカケになるのではないでしょうか?
この映画で特筆すべきは、ほんのチョイ役の主観まで非常に丁寧に描き出しているところ。
ばあちゃん、バスの中の少年たち、同僚の教師や、弁当屋の客、ボランティア仲間に、もちろん警備員仲間も。
主人公の物語を動かす為だけに存在する人物が一人もいない。
『愛しのアイリーン』が三つ巴の主観だったとしたら、『空白』は何十人もの主観が入り混じっている。
最初は隅々まで行き届いた人物描写に興奮していましたが、ただそれだけではないことに気づきました。
今の風潮では、一つのテーマに対して一つの見解を示すことは、それだけで「多様性に配慮がない」と誤解されやすい。
私が見たいのは作家性の強いブッ飛んだ作品なのだけれど、そういった作品は偏った主義主張だと捉えられかねないので、なかなか作りづらくなっているのではないかと危惧していました。(回りくどい表現ですみません)
そんななか本作は、全ての登場人物の主観をきちんと描くことで、一つの事件に対する様々な人の見解を盛り込み物語に多面性を与えている。
更にそれだけではなく、デリカシーの無い言動の裏にあるのは個々の埋められない空白であることも浮き彫りにしている。
お弁当屋のエピソードが大好きなのですが、ラストの独り言が最高に響きました。
一つの見解だけにとどまらず、良くも悪くもいろんな立場の人物を描き、しっかりテーマに着地させている。私なんぞの危惧を吹っ飛ばす文句なしの映画でした。
正義を振りかざす暴力はSNSでもよくあるけれど、そこに切り込むのは、かなりリスキー。
さすがはスターサンズ。
正義感が強すぎる人を描くのも、一歩間違えば、かなりリスキーだけれども、あくまでも一人の人間の満たされない空白を描いている。
さすがは吉田監督。
さすがは寺島しのぶ。
ずっと撮影監督は志田貴之さんなのですね。
花音の登場シーンの素晴らしさ。
前髪を撫でつける仕草に、垢抜けない中学生に芽生え始めた大人の色気があって、後のマニュキュア万引き疑惑に繋がる揺らぎが感じられます。
鮎子ちゃんも、大きくなったなぁ。
そして、キモとなる片岡礼子さんの演技の素晴らしさ。
もちろん娘さんの役者さんも素晴らしかった!
パートの女性は『アイリーン』のお見合い相手でしたね。(桜まゆみさん)
あの演技が大好きなので嬉しかったです。
実はあまり役者さんの顔を覚えられないのですが、不思議なユーモアと色気のある役者さんなので珍しくピンときました。( ̄∀ ̄)(←ちょっと得意げ)
そして、田畑智子さん。
チャーミングだけど、狂気や修羅場を乗り越えた肝の据わった役が最高にハマりますね。
大好きな役者さんです。
『空』と『白』。
ラストに感じる親子の繋がりに号泣でした。
#映画空白
空白は埋まるものなのか
古田新太がモンスター化して松坂桃李を追い詰める話でしょ・・・なんて軽いものではなかった、今年一番(個人的)の衝撃作
悲しい事故の被害者、加害者、それを取り巻く人々がそれぞれの正義感を暴走させる、「やり場のない怒り」ならぬ「行き場のない正義感」が当事者の頭上を越えて迷走する
迷走の果てに心の空白は埋まるのか、ぜひ鑑賞して確かめていただきたい
圧巻なのは古田新太の演技、誰しもが経験したことのある「一緒の空間にいるのがとにかく辛い」空気が劇場内を嫌な雰囲気で包み込む、最高だ
自分と他人の間、善と悪の間、思い込みと思い込みの間
松坂桃李がすごい。古田新太がすごい。片岡礼子がすごい。寺島しのぶがすごい。登場する俳優さんたちが実世界で多分こんな感じの人だろうなといちいち納得の、皆すごいリアリティを放っていて、リアル過ぎて映画になってないんじゃないかと不安になる前半だった。どの役柄も景色も場所もすごいリアリズム。そして荒れ狂う古田新太の怒り、気持ちが事実に追いつけず戸惑う松坂桃李、徐々にパワーが増してコントロール不能となる寺島しのぶ、と前半は描写もしつこいくらい丁寧過ぎてリアル過ぎて少し引くぐらいだった。片岡礼子の、娘の葬儀の、ひとりの親としてひとりの人としてぶれずに素直な気持ちを表明する素晴らしいシーンで泣いた。そのあたりから、本作品は変な言い方だが、本当に映画らしくなり、人物たちは、さらに、大きく小さく感情や存在の仕方、哲学を無意識にまた意識的に表してきて違うリアリティの出現。リアリティの超えた。
みな自分ができる最善のことはなにか、を自分の主観で考え言動している。古田新太のように暴力とか暴言とか証拠隠滅とか、悪いこともあるが彼なりに死んだ子どものために、なにができるかと思う、まあ、実は自分のためになのだが自分の思う正義と善を彼なりのやり方で実行する。寺島しのぶの勧善懲悪型ボランティアおばさんも滑稽で痛いし不快だが善意を最大限に体現しみんなに善意の強要をしている、しかしあくまで本人は良いことをしているつもりだが不幸な自分を誤魔化してるだけ。校長ともうひとりの男性教師、それにインタビューを恣意的に切り取るテレビ局以外は、それでも、自分が思う、主観的善にもとづき自分が思う良い生き方や良い行動をしている、
善も悪も見方次第だから、ギャップが生まれる。
親は親としてあるのではない、子どもが生まれたから親になるのではなく子どもと関わりを持ち子どもを知ろうとすることで親になるのだ。松坂桃李の父親との関係、漁師のお兄さんの父親との関係、そこからの古田新太との関係、片岡礼子と娘の関係、子を失い子を手に入れた田畑智子夫婦の関係、担任の先生も自分は教員になったから先生なのではなく生徒と向き合っていくことで先生になっていこうとしている。利己に走る美術部の教員と校長はクソだ、そこには善もなく関わりもなく保身しかない。テレビのリポーターの女性は丁寧にインタビューし、そこには関わりが存在していたが、番組編集サイドは自己都合しかない。現場、個人の関わりがあり顔を合わせ目を合わせる現場的距離が遠くなるほどに自己都合、無責任、システム追従なことになっていく。ここにもギャップができる。
後半、スーパーの焼き鳥弁当を褒めてくれたトラック運転手、この人もまた、母親がよくごはんに買ってくれたことが焼き鳥弁当の美味い所以であった。小さな善悪判断はすべてミラーになっていて主観的で絶対はない。
無意識に積み重ねてしまう小さな善悪判断は、自分自分を生きている私たちには日々避けられない。そしてそういうことから面白い関係も悲劇もギャップも空白も空白を埋める関係性も生まれる。善悪ジャッジなんて誰にもできない。
図らずも同じイルカ雲をそれぞれ見ていた悲しい親子。悲しみ憎しみが愛と慈しみに変わる。空白って、空に白い雲なのかな、て、この暗い展開でもところどころ笑いを誘う本作のタイトルを思う、
これまでの空白、埋まった空白、埋まらない空白、発見する空白、そしてこれからの空白、見つけ埋めていく空白。
父は娘をどれだけ理解している?
娘を交通事故で失った父親添田の役を古田新太にふさわしく演じていました。
娘を愛していたとしても理解していたのか
万引きをしたのか
スーパーの店長青柳との関係も・・・
マスコミの理不尽に憤慨
店長かわいそう
凄い演技!
試写会にて。
振り上げた拳をどうして良いのか、怒りの矛先を何処に向けて良いか、加害者も被害者ももうどうして良いか分からない苛立ちがヒリヒリ伝わって来て辛かったです。登場人物全てに「私だったら?」と自分を重ね合わせて考えさせられました。こんな辛い物語の末に「救いは何処にあるのか」は、終盤でちゃんと回収されていて見事でした!古田新太さんの雰囲気が少しずつ変わっていく繊細な演技が素晴らしかったです!
善悪にカテゴライズできない不寛容〈イントレランス〉
想像を遥かに超える途轍もない大傑作。
万引きを犯した少女の不慮の死により乱れる秩序。善と悪をカテゴライズせず、登場人物が持つ正義や信条が狂気のままに衝突するため、常に息苦しい。そのカオスの先…混沌たる空白の世界を彩る温かい視点のあまりの素晴らしさに言葉を失った。
膨れ上がる被害の妄想…無闇矢鱈に他人を責める者、声を押し殺して自分を極限まで追い詰める者、そして誰かに赦しを請う者など、当事者すべてが折り合いのつけられない虚無や怒りを抱えている。さらに、安全地帯から偏向的に報道するマスコミ、それを信じ込んだ人びとの醜悪さ。それらすべての視点を誰か1人に肩入れすることなく、俯瞰的に魅せているため、最大限に映画へ没入することができる。
また、キャスト陣の演技がリアリティに対する説得力を上げる。天地を揺るがす毒親の古田新太の傍若無人っぷりと表情や所作だけで感情の僅かな機微を伝える演技は別格。
『孤狼の血 LEVEL2』とは打って変わって、常に冴えない雰囲気を醸し出す松坂桃李はもはやカメレオン俳優というべき引き出しの多さ。
脇を固める藤原季節と趣里のさりげない演技、善意押し付け寺島しのぶの演技。
そして、片岡礼子の立ち位置は劇中で最も重要であり、凄まじい演技に涙腺やられました。
どの人の演技をとっても深く胸に刻まれるものでした。すべての俳優の演技が印象に残るという稀有な作品。
今年ベスト入り確定の大傑作です。
皆が辛い
万引きから始まる物語。関わった人たちの人生が音を立てて崩れていくようで観ていてとても辛かったです。唯一救われたのは最後に絵を通して娘さんとの繋がりを感じとれたことです。きっとあの風景はいつか二人で並んでみた共通の思い出だと私は思います。
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