「自分の中の正しさと他者への押し付け」空白 ヒロヤさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の中の正しさと他者への押し付け
一つの事件を中心に、背景の異なる複数人の登場人物の複雑な感情を丁寧に表現している。
個人的にこの作品を分かりやすく象徴している登場人物はパートのおばちゃん。自分の中に確固たる「正しさ」を持っており、それが絶対だと信じ他者へ押し付ける言動や行動が多々見受けられる。
事故死した娘の父は序盤では、会話の中で自分にとって都合の悪い話になると電話をぶつ切りしたりと自己の主張が激しく、自分の中の正しさと異なる考え方は受け入れないような振る舞いをしていた。終盤では他者への想像力を獲得していき、自分の中の正しさを柔軟に変化させる事ができるような精神に成長していたように見える。
登場人物はそれぞれ、自分の中で「正しさ」を持っている。他者との関わり合いの中で正しさをどのように振りかざす必要があるのか、どのようにしたら人を傷つけないのか、そんな事を考えさせてくれる作品であった。
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