劇場公開日 2021年9月23日

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「HUMAN」空白 ゴンベッザさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0HUMAN

2021年9月24日
iPhoneアプリから投稿

僕にとって、1番心に刺さる映画を撮るのが吉田恵輔監督です。

見終わった感想は、2014年公開のアクトオブキリングと、2018年公開のスリービルボードを足して2で割らなかったらこんな映画になるのかあ、、、でした。笑
照れ隠しです。

本当は分かってる。
誰しもが、騙し騙し生きている、
自分を騙して、諭して、隠して。
そんな感情すら形骸化してる。

この街で生きていかなければならない。
この地域で、この家族で、この親と共に。

学生の頃はキラキラしてた筈の世界がいつの間にかザラついている。
テレビや雑誌、映画の世界に答えを求める事にも飽きたし、テレビの中で巻き起こりまくってる奇跡みたいな出来事が、本当は起きない事もそれとなく気付いている。

いつか…と願う人がいる。
人に優しくしていればいつか…
これだけ苦労してるからいつか神様が…
この想いはいつか必ず届く。
だから、、だから、いつか俺に振り向いてくれ!!

届かないのに。

人生に不満がある人、認められたい人、赦しを乞う人、赦されない人、疲れた人、好きな人に振り向いて欲しい人、諦めた人、辞めちゃった人、それでも光を信じる人、毎日のお酒を楽しみにしてる人、繋がりたい人、死ねない人。

人と人に「間」と書いて人間。
この映画のタイトル「空白」にも通ずる部分があるなあ、と僕は想像しました。

ラスト、ほんの少しだけ光が差し込むシーンで慟哭してしまいました。
救いでも赦しでも無い。
だけど「生きていれば必ず良い事がある」

かもしれない。

そんな予感を漂わせながら流れるエンドロールに暫く放心状態でした。

上映が終わるとまた日常に戻ってしまうけど、観る前と観た後で少しだけ変化がある気がしてます。

だって、その答えは「生活」にあるんだから。

ゴンベッザ