空白のレビュー・感想・評価
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責任の取り方
色々観たい作品がありましたが、評価の高かった「空白」を観ました。
時計を見ていなかったのでわかりませんが、上映時間の半分くらい(前半部分)はぐったりしました。
悲惨な事故が起きて、それによって傷ついた人たちを、それぞれの視点と色んな角度から痛ましさをずっと表現しています。「もうなにが言いたいんだよ…」と、テーマが見つけられずにぐったりしました。
古田さん演じる父親…ああいう偏屈で頑固で、自分の考えが正しくほかの意見が耳に入らない人っています。「そういう人になっちゃいけないよ、ということが言いたい作品?いや、でもそういう人は聴く耳を持たないから作品を見ても理解はしないだろうし(毒)、そうなってしまう人は自分の事は棚上げだから忠告は耳に入らないだろうし(毒)」と思いながら観ていました。
が、しかし、
事故の車の運転手のお葬式の、母親の言葉にハッとさせられました。
「背負いきれずに逃げてしまった娘…、そんな弱い娘に育てた親の責任です」(うろ)
もちろん娘本人の問題だと思うし、親の責任がすべてではないでしょう、と思いますが、
娘の尻拭いというか、娘と一丸となって罪を償おうという姿勢に、
「問題から逃げずに、本質をしっかり見つめ向き合い、取り組んでいくことの重要性」が、見えました。
やっと、この作品をどうやって観たらいいのか見方が見えてきました。
父親は、娘と向き合えていなかった。寺島さん演じるスーパー店員の草加部さんも、自分は正しいと押し付け気味。
一方通行なんですよね。
ラスト、画を通して娘と会話ができたような父親は、どこか救われたかのような顔。
一方、誰とも意思疎通を通わせることができなく終わった草加部さんは、寂しそうでいて、だけど「だれも理解してくれない」と言いたげな顔。
問題に向き合えた者と、向き合えなかった者の末路に感じました。
難しいですよね。
草加部さんは、問題に気づくことが出来ずに向き合えていないのだと思います。
「問題」と気づくことができれば、向き合うのか向き合わないのか考えることも出来るかもしれないけれど、問題を「たいしたことない」と問題として扱わなかったり、「どうしようもないこと」と片付けてしまう人っていると思います。草加部さんの場合、そういう訳ではなくて、「自分が正しい」になっているから問題だなんて思わないだろうし。
人の顔色を伺って生きたり、だれかに気を遣って生きるのはおかしな事ですけど、
自分の言動で他人に迷惑をかけないように生きるのは、じつは難しいことなのかなと少し思いました。迷惑をかけていないつもりでも、真実は相手本人にしか分かりようがないですしね。
みなさん演技はすごかったですが、寺島さんがピカイチでしたね。気持ち悪いしうざいし嫌な気持ちになりました(賞賛です)。
評価通りの良い邦画が観れました。個人的感想ですが、良い邦画は重い…。
エンタメ作品が好きなことに改めて気づかされました(^-^;
複雑な機微を、複雑なままに
娘を交通事故で亡くした父親がモンスタークレーマーと化すくだりはインパクトがあるが、その恐ろしさを描くための作品ではない。
怖い怖いクレーマーのホラーのような話かと思いびくびくしながら観始めて、実際前半は色々恐ろしかった。娘の交通事故シーンのリアルさにおののいたし、古田新太の何をしでかすか分からない雰囲気にすっかり呑まれた。
しかし、中盤以降はそんな恐怖がはるか遠景に見えてしまうような人間描写が展開される。
娘を亡くした父親の添田、万引きをした娘を追ったスーパーの店長青柳、店員の草加部の3人の、多面的な描かれ方が印象的だ。
添田の偏屈さと、時間の経過とともに変容する心。
青柳の卑屈さと不器用な立ち回り。気持ちが追い詰められるにつれ、言動が不安定になる様がリアルだ。
草加部の絶妙な薄っぺらさ。ボランティアをやったり理不尽なことに怒って見せたりしているが、相手の立場で考えることが出来ない狭量さが節々に表れる。
それぞれの描写の匙加減が善人または悪人一辺倒にならず、こんな人いるよねと思わせる生々しさがある。だから、主要な登場人物が全面的には共感できない人間達で展開も息苦しいのに、引き付けられる。
添田の傍若無人な足掻きが、我が子についての無知に気付き自分の中の空白を埋めるための彷徨だったということが、後半で徐々に分かる。作品全体の印象がちょっと変わる。
エキセントリックな添田の迫力が際立つが、物語の中で一番恐ろしいのは添田や青柳に加害をする野次馬とマスコミだろう。
添田もかなり理不尽で不愉快だが、当事者であるという大義名分が一応ある。マスコミの行き過ぎたゴシップや切り取り報道、姿を見せない野次馬たちの卑怯な犯罪は、何の正当性もない。
本来事故とは無関係な彼らがあそこまでやるのは、視聴率や自分の日常の鬱憤の捌け口のため、それだけが理由だ。彼らは飽きたら自分たちの所業を都合よく忘れ、一生消えない傷を負った当事者だけが残される。
終盤にはちょっといい話っぽい雰囲気が醸し出されるが、添田の行動が引き起こした事の顛末は個人的には許せず、また添田のような人間が実在したら前半の地獄が続くだけだろうとも思いもやもやとした。とはいえ物語としては適切な落とし所だったので複雑な気持ちになった。
この、見た側が思いを引きずるような複雑な後味こそ監督の狙いだろう。不快指数は高いが、メインキャスト3人の演技や人物描写の説得力は一見の価値がある。
いい人間と悪い人間の境目がはっきりしていて、よかれと思ってやったことが必ず報われるなんて、現実はそんなに単純なわけがないのだ。
入れ替わる被害者と加害者
ある女子中学生の交通事故死の本当の加害者は誰なのかを問う作品だ。
万引きをした女子中学生を、万引きされたスーパーの店長が追いかけた。女子は逃げる時に道路を飛び出し車に轢かれて死んだ。万引きの被害者は店側だが、事故に視点を変えると店側は加害者に見える。女子は学校でいじめられていた。学校側はそれを隠そうとする。では、真の加害者は学校だろうか。女子の父親は、娘につらく当たる駄目な父親だった。しかも、自分の駄目さを自覚できていない。では、彼は加害者なのだろうか。しかし、最愛の娘を失ったという点では、被害者ともいえる。
事故を起こした女性運転手が父親に謝罪に来る。自責の念から彼女は自殺する。この自殺の加害者と被害者は誰だろうか。スーパーの店長はワイドショーで女子中学生の死の責任を問われ、スーパーには人が寄り付かなくなり、スーパーを閉店させることになった。ここの件については、彼は被害者となる。こんな風に、被害者と加害者が入れ替わり続ける。
理不尽な死の責任が本当に誰にあるのか、それはわからない。誰かを悪く言えば、だれかを加害者に仕立て上げれば解決できるほどにこの世界は単純にできていない。その複雑を真正面から見据える勇敢な作品だ。
脇役を侮るなかれ!細部に神経が行き届いた1級の作品
スーパーで化粧品を万引きしたことを疑われ、発作的にその場から逃走した女子中学生が交通事故死。彼女を追い詰めた店長の責任を追求する父親は、さらに、娘が通っていた学校側の型通りの対応を批判。一方、メディアは店長を殺人者のように追い回し、客足が遠のいたスーパーは閉店に追い込まれる。偽善と悪意が渦巻くうんざりするような世の中で、父親は、1人、猛獣のように吠え続ける。しかし、彼は娘が生前発信していた"かすなSOS"を聞き逃していた。
吉田恵輔監督は日々のニュースで見聞きしてきたような、そう珍しくもない事柄をヒントにオリジナル脚本を完成させた。細部にまで神経が行き届いた本作の魅力は、怒りながらもやがて自分と向き合わざるを得なくなる父親を演じる古田新太を筆頭に、メインキャストは勿論、いかにも無責任そうな学校長や、地味だが人が良さそうなスーパーの男性店員、等々、脇役が絶妙な点が挙げられる。「確かにこういう人いる」と思わせる、実は定型に陥らない素朴でリアルな脇役たちの演技によって初めて、物語はリアリティを持ち得たのだと思う。
脇役を侮るなかれ!
そういう意味で、これは限られた予算内でディテールに時間をかけた1級の作品。そんな細かな積み重ねの上に、感動的なラストが訪れる。
吉田恵輔監督がまた傑作を撮った
吉田恵輔監督の作品はほぼ全て観ているが、どれもこれも何を伝えたいのか、何を訴えたいのかが明確に伝わり、ガッカリさせられた記憶というものが殆どない。
そんな中で、スターサンズの河村光庸氏と2度目のタッグを組み、世に放とうとしているのが今作。メインビジュアルで古田新太の姿を見た方々は、娘を失った父親がどんどんモンスター化していく様を思い浮かべるかもしれないが、それだと既視感のあるものになってしまう。
吉田監督はそんな安直な人ではない。古田の魅力を最大限に引き出すための“生贄”として、いまの日本映画界にとって欠かすことのできない松坂桃李を差し出すというキャスティングの妙にうならされる。
言葉が汚いけど周りがクズでした
言葉が汚くなりますが
自分の感想は
世の中あちこちにある
決めつけて騒ぎ立てる
周りがクズです
親目線、大荒れ 直関わった者達に怒り
店長 お父さんのお店を守る
(お父さんの最後をみとれなかった
自分への償い)
追いかけなかったら良かった
盗まれたまんまにすればよかった
跳ねた本人 飛び出してきて被害者
だとしても、亡くなったことに
苦しみ
トラック 前で止まったくるまを
追い越したら、、、泣
学校 厳しくしたから自殺したのか
厳しくした人
反省した人もいれば
仕方ないで済ます人
話しなかったから
感情が薄く 普通に笑ってる
マスコミ 視聴率だけ
パートのおばさん お店のため=店長のため
人のため
私は 面白がって、書き込みしたり
文句言ったり、写メ撮ったり
何もわからないのに文句言ってる
周りがクズ
だと、思いました。
怒りは、日が経つとともに
いろんなことがみえて
考え方がかわるし
はじめは冷静になれないから
辛いです
めちゃくちゃひとごとじゃない
と、最後まで観て 泣いてました!
自分の中の正しさと他者への押し付け
一つの事件を中心に、背景の異なる複数人の登場人物の複雑な感情を丁寧に表現している。
個人的にこの作品を分かりやすく象徴している登場人物はパートのおばちゃん。自分の中に確固たる「正しさ」を持っており、それが絶対だと信じ他者へ押し付ける言動や行動が多々見受けられる。
事故死した娘の父は序盤では、会話の中で自分にとって都合の悪い話になると電話をぶつ切りしたりと自己の主張が激しく、自分の中の正しさと異なる考え方は受け入れないような振る舞いをしていた。終盤では他者への想像力を獲得していき、自分の中の正しさを柔軟に変化させる事ができるような精神に成長していたように見える。
登場人物はそれぞれ、自分の中で「正しさ」を持っている。他者との関わり合いの中で正しさをどのように振りかざす必要があるのか、どのようにしたら人を傷つけないのか、そんな事を考えさせてくれる作品であった。
負け犬の子は負け犬。
父の諦めの悪さ、母の切り替えの早さ。
娘の悲惨な最期は、特になんの手本にもならなかった親二人の悲劇を飾る舞台装置に過ぎない。
お前の為に、という思い上がり、自己愛の押し付けを見事に描写していると思う。
誰かを罰すればこの物語は終わるのか、どこかルーティン化していく様な怒りと謝罪の繰り返しに息が詰まる。
終わることがないなら、自ら終わらせるしかないと思う人間がいても仕方がない。どの時代も「面白がって」人を追い詰め過ぎるのだ。
悪魔か、獣か、罵詈雑言のループの空白を埋めた陽キャの一言に救われるオチ。
その言葉は、作中で初めて、被害者でも加害者でもない、そこに生きる人間に向けられたものだった。
心理描写が良すぎる
人にはそれぞれ空白がある。
序盤から後半までずっと重い展開が続くが、焼き鳥弁当のシーンで救われる映画でした。
登場人物それぞれの心理描写が細かく描かれていて分かりやすかった。
主演二人の演技が素晴らしすぎる。
父の愛
離婚して、元妻は新しいパートナーの子を妊娠。一人で、至らなく不器用でも誰よりも深く純粋に娘の事を愛して育てていた父。
娘の話をゆっくり聞いてあげる様な、理想の父親像からは遠くかけ離れているだけに、その深い愛情が娘に伝わっていたか不憫にも思えるけれど、実はこれこそが理想を超えた父親像なのではないだろうか。
人がどう言おうと最後まで娘を信じる事を諦めず、必死で心の空白を埋めようとしていた朴訥な父の愛を演じる古田さんの演技に心が締め付けられた。
もし、この物語が母親と息子だったら母親役は樹木希林さんにやって貰えたらと思いました、叶うならばの話ですが…。
意外な結末、再生の物語?
交通事故にあった娘も、その父親も、スーパーの店長も、教師も。
登場人物みんなそれぞれに、人には言えない負い目や境遇を持っていたり、罪を犯した立場であり、複雑に絡み合いながら全員がなにかの被害者にもなっています。
父親含め、登場人物全員に共感できる作品でした。
そう感じさせる、演技や脚本がいいのだと思います。
メインどころは有名俳優さんたちですが、脇の俳優さん方も素晴らしい演技でした。
意外や意外。
ラスト30分くらいからは、交通事故からの一連の出来事をきっかけにして、全員それぞれに変化があり、悲しい事故を乗り越えていく再生の物語になっていきました。
いやでも、一切救われるシーンがなかった、最初に中学生をひいてしまった女性と親御さん。
以外の登場人物に救いのシーンがあったので、その点だけちょっと引っかかりました。
少年→少女への変更はなぜ?
最後まで見て。
それぞれの価値観を認識させられる作品
ずっと気になっていたのですが見る機会を逃していました。そこでNetflixにある事がわかり今日鑑賞しました!
凄い!これはあらゆる登場人物の気持ちをそれぞれ汲み取って構成されている素敵な作品だと思いました。
全体的には暗い話なのですが最後まで飽きる事なく観ることが出来ました。
言えることはみんな前を向いて生きていかなければ行けないと言うことです。正しい事をしても誤った風に捉えられる。100人が100人同じ気持ちには決してならないと言うことが言いたいのかもしれないと感じました。
第三者は情報の波に泳がされて意見していると言う事です。
TVがこう言ってるからそうなんだ。あいつはイカれてる。気狂いだ。あんな店にはもう行けない。
全部メディアに泳がされている。
最後のお父さんの描いた絵と娘の絵が同じ物を描いてたシーン感動でしたね。全てが輪になった気がしました。
道を少しずつ取り戻していくあの背景が素晴らしかったです。スーパー閉店は悲しいけど弁当が美味しかったと伝えてくれる人もいた。
何が言いたいかというと100人が100人同じ気持ちにならないとは裏腹にその中でも味方はいて光をもたらしてくれる方がこの世にはいるんだなと感動した作品でした。皆さんも是非見てください!
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