透明人間のレビュー・感想・評価
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考え抜かれたエッセンス
素人なりの感覚で、例証や包括的なことを言ったりすることがある。
たとえばアメリカのホラー映画でもっともHotな新鋭はAとBとCの三人の監督です。とか。
Dは、もっとも嘱望されている映画監督のひとりである。とか。
そういった発言は、じぶんの僅かな映画体験と、僅かなニュースの切れ端が根拠である。
あんがい、知られているようなことしか言わないので、そう大きくハズすことはないが、素人の知る範囲内だから、正確性や網羅性はない。
むろん素人だし、原稿料が出ている映画情報じゃないので、それでもいい。
ただ、後になって、じぶんの言ったことの遺漏にけっこう気づく。
AとBとCと言ったけれど、E監督を取りこぼしていた──とか。
D監督を挙げたけれど、F監督のほうが、上だった──とか。
持っている情報の欠損や、たんなる思い込みに、あとになって気づくわけである。
ただ、それが素人が得る情報量の寡なさに由縁していると思う一方、アメリカの底知れなさに由縁してもいる、と思うことがある。
つくづくアメリカは一枚岩じゃない。
2015年にインシディアスの続き物を監督したリーワネルは、そのときは、俳優兼脚本家の監督業進出おつかれでした──くらいにしか思われなかったが、Upgrade(2018)で、頭角をあらわした。
俳優、ライター、撮影、スタントなど、アメリカは何らかの映画関係者が監督業へ回ったとき、かんぜんに化ける可能性が、非常に高い。
この層の厚みが、分るだろうか?
たとえば日本では、監督業でないひとが、監督へ回ったとき、それがいい映画になる可能性は約0パーセントである。そもそも彼/彼女がまっとうな映画監督になりえる根拠は何もない。
知らないことなので憶測だが、たぶん現場のノリ→「監督やってみない?」「え、いんですか?」という感じだろう。
ところが、アメリカ(ハリウッド)には、基本的に、映画をつくりたいと思っている人間が集まってくる。
彼/彼女は、ライターか俳優かカメラマンか、あるいはもっと下位の衣装や小道具や大道具のデパートメントの一員だったとしても、いずれ段階的に上って監督をやろうと思っている人間の集まりと言っていい。
だからアメリカは一枚岩じゃない。
ずっとソウシリーズ等の俳優兼ライターをやっていたリーワネルがUpgrade(2018)をつくれば、なるほどと思える。そして、そのたび、アメリカで嘱望される新鋭監督の地図は、書き換えられる。
そういう日進月歩の勢力図を、素人が補足できるわけがない。
戦後から無風状態の日本映画界とはわけが違うのである。
それでも素人は、旧弊をブラッシュアップした映画を見た感銘に寄せて、包括的なことが言いたくなってしまう。
かんたんに言えば「すげえ映画だな」と思ったついでに「リーワネルはもっとも期待される新進監督のひとりである」みたいな大上段発言をしてしまうことが、個人的には多い。
言い換えると、確信めいて大上段な発言ほど、その監督や映画に、感銘を受けた──わけである。
透明人間──これをモチーフに映像作品をつくりたい、と言ったら、どんなアイデアが集まるだろう?
日本映画の鬼才や重鎮ならば、女風呂に闖入させたい──と言いだすかもしれないが、そういうのは放っておいて、冗談抜きで、透明人間を完全にブラッシュアップさせようとしたら、どうなるだろう?
これはひとつの現実的な回答だと思う。
映画は、透明人間をモチーフにした映画というより、ドメスティックバイオレンスから逃げる女性を描いたサスペンス映画の肌感をしている。
最初の命題は透明人間をモチーフにして映画をつくる──だったわけである。
前述したとおり、おそらく男ならば、冗談を交えて、透明を利用して裸体を覗く──ことを考えるはずだ。
ところがこの映画は、女風呂に闖入もさせず、Hollow manにもせず、むしろDVからトラウマに怯える女性を具現し、フェミニズム的啓発へ進展させている。のである。
つまり透明人間から連想する、ありふれた発想とは逆のことをやって、女性が理不尽と戦う映画に仕上げている──わけである。
見えない敵をあいてに、どうやって戦うのか、その驚心動魄のサスペンスに加えてMeTooにさえ寄せる同時代性。じょうずで大人なモスが価値を上げ、個人的にラストは痛快だった。
このブラッシュアップの凄み。間違いなく頭のいいひとがつくっていて、それが伝わってきた。
「この手があったか!」と膝を打つ
アマプラレンタルで鑑賞。
評判は聞いていたから期待しながら観たけど、期待を上回る面白さに引き込まれた。
日本の(僕を含めた)特定の年齢層には「ちょっとエッチなコメディー」の題材として使われる事が多かったため、何が怖いのかいまいちピンと来なかった透明人間だけど、本作では徹底的に物語を被害者(主人公)の一人称視点で描くことで透明人間の怖さを浮き立たせているし、それが同時に男女間の今日的なテーマ性に直結しつつ、ジャンル映画として超一流の面白さにも繋がっているという見事な構成に、「その手があったか!」と思わず膝を打ってしまった。
ただまぁ、映画終盤では透明人間そのものより、主演のエリザベス・モスの顔芸の方が怖かったけどw
現実とも妄想ともつかないヒロインの焦燥をじっくり見せる古典中の古典
天才科学者エイドリアンと海辺の邸宅に暮らすセシリアは実は異常なまでに自分を束縛するエイドリアンとの生活に疲弊し切っていた。そんな毎日に耐え切れなくなったセシリアはある夜睡眠薬でエイドリアンを眠らせた隙に逃亡。友人宅に身を寄せ静かに暮らしていたセシリアの元に届いたのはエイドリアンの訃報。絶望したエイドリアンは自殺し、莫大な遺産が遺したことを知らされるが、セシリアは彼の自殺に確信が持てない。そして彼女の身辺に奇妙な現象が忍び寄ってくる。
昨年公開のリー・ワネル監督脚本作品『アップグレード』は世間的にはさっぱり話題にならないB級SFアクションでしたが、オフビートな笑いとさりげなくエゲツナイグロ描写をばら撒きながら『600万ドルの男』へのオマージュを滲ませたドラマにほっこりしていたら最後のどんでん返しに軽快に足元を掬われるなかなかの痛快作。本作もベースにあるのはマッドサイエンティストに人生を翻弄される話ですが、『アップグレード』とは異なる展開でこちらの勝手な予想をシレッと裏切ってくれます。本作ではギャグ要素は皆無、ひたすらヒロインが姿の見えない相手に翻弄される様を冷たくスリリングに描写、全てがヒロインの被害妄想かも知れないと匂わせるような煽りもしっかり効いていてヒロインの孤独感を際立たせてからの畳み掛けるような終盤の展開には唸らされました。
古典中の古典を現実的なスリラーに仕立て上げたのはしっかりとしたSF考証とそして海辺に建つ邸宅のスタイリッシュな内装。正気なのか妄想に取り憑かれているのか判然としないヒロインを体現したエリザベス・モスの演技は『ガール・オン・ザ・トレイン』のエミリー・ブラントを彷彿とさせる怪演でした。
エンタメ映画として年末年始には最適
誰もが知る透明人間をモチーフに
エンタメに必要な、「こうなってほしい」と「こうなるか!?」
がどっちも気持ちいいほど詰め込まれた
正統派エンタメ映画。
特に、ココがダメ!なんてパートがほとんどなく
面白いように物語が進んでいく。
この映画のこの部分に感じた面白い感情だ!
が、10分ごとに訪れるような
いろんな映画の感情が沸き起こる「映画好き」には
楽しめるものだと思う。
が、新鮮味には欠けた。
悲しみのダークユニバース
透明人間なんて誰もが知るキャラクターに再びスポットを当てるなんて、かなりの賭けだったのではないか。元々本作は第1弾で中止となった「ダークユニバース」の関連作となるはずだった作品だ。正直手垢の付きまくったテーマ故、目新しい発見は無かったが、元凶とも言える「ザ・マミー」よりも質の高い作品ではないかと思う。
本作とどうしても比べてしまうのが、ポール・ヴァーホーベン監督の「インビジブル」だが、
SF色濃いめだったそれと比べて、ホラー色が強いのが注目ポイントだ。ブラムハウスプロダクション、リー・ワネル監督であればそれもそのはずか。
透明人間で怖がらせるのはよく考えれば難しいと思う。なぜなら恐怖の存在が見えないのだから。だが本作は「いない」と思っていても、「いる」様に演出するのが非常に上手い。
キャッチコピーの「姿は見えずとも、殺意は見える」がまさに当てはまる。
また、本作は透明になれる体を得たのではなく、技術としてその力を得ている。誰でも透明人間になれるという事だ。色々と考えさせてくれるではないか。
ラストは、今後の展開を勘ぐってしまう様な展開だった。あの主人公の薄い笑みは何だったのか。
続編が出た際は、しっかりと回収して欲しい。
被害者側からみる透明人間の怖さたるや…
のっけから緊張感が凄い。
そしてそれが最後まで続くので、息つく暇もない。
透明人間といえば昔「インビジブル」という映画化があったね。あれは透明になる側が主人公で、透明人間になってしまう苦悩から徐々に精神が壊れていってヒロインか誰かを襲い始めるんじゃなかったっけ。
え、もっと昔の映画をリブートさせてるって?それは知らん。
今回は被害者側からの物語。そしてサスペンス色に振り切ってる。
誰もいないシーンをじっと映す。
何もないんだけど、意味深に映すので、そこにきっといるのだろうという怖さ。
だけでなく、驚かせるシーンもきっちりある。
話の展開でもヒヤッとさせられるから、飽きさせない。
個人的には、妹のあのシーンと、脚立のあのシーンがまじでゾッとした。
それにしても、予告のとあるシーンが本編にない。
特典映像の未公開シーンを見たらそこにあったから気付いたけど、そういうのってアリなん?
怖さより気持ち悪さが勝った。
トムクルーズ主演の『ザ・マミー』から始まるダークユニバースの映画になる予定だった本作。独立して作られたということで気になっていたので観ました。
感想
ホラー映画と思って観ていましたが、サスペンス映画でした。見えない透明人間のエイドリアンの存在をどう証明するのか、セシリアがエイドリアンに追い詰められながら模索していくという内容でしたが、ホラー要素があまり感じられませんでした。怖くはなかったです。気持ちが悪い陰湿な場面は多々ありそういった要素は楽しめました。また、海外ホラー映画では定番と突然の出現で驚かせる展開は今回もあり、一度声を上げて驚いてしまいました。
見えない存在の攻撃をどう表現しているのだろうと、撮影方法が気になってしまいました。演出が素晴らしかったです。
内容についてですが、正直終盤の展開は読めませんでした。
そういった部分でサスペンス作品だなと感じました。
また、セシリアが透明人間と直接対決する場合は頑張れ!って応援してました。セシリア役の人の演技が自然で物語に入り込んで観れました。
不満点
かなり荒唐無稽でツッコミどころがあるように思いました。観客を振り回す見事な脚本の作品だったので、その部分が残念だなと思ってしまいました。
総評
面白いと心から思える近年稀な映画だった。予想以上に楽しめたので満足です。
昔ながらの怪物をどう怪演させようと試行錯誤は分かりますが、、
彼女に固執する富豪の天才科学者と束縛生活でノイローゼ気味な主人公女性の「透明人間」ネタを絡ませた物語。
大袈裟チックで主役2人以外の役立たず人間を気にしてしまうと映画に興味が持てなくなる。
「まずは気長に観てよ」作品です。
単純な退治ネタでは無くサイコサスペンス風に仕上げた所は褒めたい。
しかし、透明人間と言うキャラクターの面白さはいかに?と言われてしまうと「インビジブル」と言う別映画には勝てないかな?と思ってしまうし、もう少しスパイスが欲しかった所。
小道具も使って貰いたかったし。
主人公であるエリザベス・モスの情緒不安定さは素晴らしいが、「固執する程の女性か?」と言われてしまうとう〜ん😓
コロナ禍で無く、他の作品もいっぱいある中であればこの作品はどう映ったであろうか?
その事も踏まえて私的にこの評価。
普通のホラーより現実味のあるホラー
とってもおもしろかった!普段のホラー映画では悪魔だの妖怪だなのあまり現実味のないのをみますが、
これは実際に起こり得るかもしれないホラーであり
とても怖かったです。
現実にあるとおもうといつ死んでもおかしくないですねw
とても個人的ではありますがあのスーツ集合体でみれませんでした。集合体恐怖症の方は少し目を瞑ってw
もう一波乱欲しかった
透明人間の恐怖をサスペンスフルにエアに描いたサイコスリラー。前半は淡々とした展開で退屈感がありましたが、後半はたたみ掛けるような展開で一気に引き込まれた。ただラストはあっけない結末で不満が残る。終わったと思わせてもう一波乱欲しかった。
2020-161
想像と違う作品でした
タイトルから想像する内容とは大分違うと思います。かなり面白い。
今までの“透明人間”というタイトルだったら、こんな流れを想像しない?
①実験が成功して透明人間になれた!
②他人から見えないので悪さし放題
③エロティック😄な、いたずら、盗み、その他もろもろ
④だんだんエスカレートしていって重大な犯罪を犯し、看過できなくなる
⑤透明人間だからどこにいるかわからないので攻撃できない
⑥スプレーをかけたり、火をつけたりしながら可視化して攻撃
⑦透明人間をやっつけて、めでたしめでたし
この映画は、全く違う映画ですよ!
透明人間のなりかたや、人間関係、バイオレンスなど、少しサイコホラー的な展開です。とても面白かった。
透明人間の技術を他にいかせよ!
何気に他の透明人間系作品を観ていないことに気づいた。作品冒頭から緊張感全開。私の場合洋画は特にオープニングに緊張感がないと睡魔に襲われてしまうがここは軽くクリア。ただ主演女優のエリザベスモスが自分のタイプじゃなく主役に対しては感情移入ができなかった。しかし作品としてはかなり秀逸。二段階のオチも素晴らしいし、綿密に練られた復讐劇にもなっている。
サイコミステリーとして久々に引き込まれましたね。
何もない画面なのにめちゃくちゃ怖い
束縛の激しい彼氏から命からがら逃れたと思ったら、今度はそいつが透明人間になって襲ってくるというサイコスリラー。
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まぁ透明人間なんで基本目には見えないからホラーが苦手な私でも大丈夫だった。でも音響の効果で何の変哲もないただの空間がここまで怖くなるのはすごい。音なかったらめっちゃつまらない映画な気がする(笑).
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これは映画を沢山見てる人ほど疑ってしまうことだと思うんだけど、主人公が心神喪失して透明人間がいると思いこんでいるのか、本当に透明人間が存在しているのか、観客には判断がつかないんだよね。コーヒーの粉を人の家にばらまく所とか、頭おかしい人がやることだし(笑)
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でもこの主人公が心神喪失してるのではという疑いは、女性だと何か意見を主張しても頭がおかしいとかヒステリーになってるだけだとかまともに取り合って貰えないことを表してるらしい。
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私も頭がおかしいとまでは言われないけど、男の人と話してて考えすぎとか言われることは良くある。でもそれってこっちの立場をあんまり考えてくれてない気がするんだよね〜女同士だったら共感能力が高いからある程度分かってはくれるんだが。
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女が狂っているのか、男の共感能力が低すぎるのか、永遠の命題ですな。とまぁ、こんなように人間が怖い系のホラーです。
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