「UFO」砕け散るところを見せてあげる ABCDさんの映画レビュー(感想・評価)
UFO
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高校生活でのテンポの良い会話が良い。印象的なフレーズがちらほら。
ハリの抱えた秘密が明らかになっていく過程は鮮やか。
それが明らかになればなるほど堤真一演じる父親の怖さを感じてくる。
物語の前半は、いじめのシーンこそあれどそこまでしんどい展開はなく、どちらかと言うとけっこう平和。だからこそ後半の暴力シーンに衝撃。
主人公が最後、川に溺れた女の子を助けるシーン。
彼はあの赤い部屋で眠ったままのハリを助け出そうとした。それは彼が昔見たあの笑顔をする彼女のことが好きだったことを表す。
自分が死んでもなお自分の息子を通して、彼女と共にいる。
最後の大人になったハリのあの笑顔から、ハリのUFOが砕け散ったことがよく分かる。
青春物でもあり、サスペンス物でもあり、奥が深い文学的作品でもある、稀有な映画だった。
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