劇場公開日 2021年4月9日

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「こういう映画もアリ。時間も短く感じる程だが。ややバッドエンドと堤真一のキャラは抵抗あり。」砕け散るところを見せてあげる 満塁本塁打さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0こういう映画もアリ。時間も短く感じる程だが。ややバッドエンドと堤真一のキャラは抵抗あり。

2021年5月3日
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悲しい

散々書かれているだろうから詳細は省くとして、面白いことは面白い映画に相違ない。

高校生の中川大志の正義感はジジイの私から見ても、あっぱれだ。
ただ最後の最後に何も自己犠牲してまで、最後の水中車中の少女救う義理はない。

しかも身重の妻が待ってて、三浦綾子の小説「塩狩峠」じゃないんだから、逆に悪行ですらある。妻のこと考えて最後の一人は諦めるのが本当の正義。キリストやモーゼではないのだから殉教者はいらない。厳しい味方だけど、最後の少女は見捨てるのが現実的正義。

それとこういうのもアリではあるが、堤真一演ずるヒロインの父親。シリアルキラーだが、日本の犯罪の歴史上、こんな人はいたことはない。そもそもこんな人格だったらとっくのとうに本性出して崩壊している。あんまりなキャラ。空前絶後のキャラ。堤真一も演じてて気分悪かったのではと想像する。

それと主人公の正義と「好きになる」のは普通結びつかない、受験控えてる時期にそこまで深入りはありえないなぁ。この好都合な展開が唯一のこの映画のユルさではあるねぇ。
石井杏奈はいじめられっ子にしては素顔かわゆ過ぎ、過激な傷のメークとだらりとだらしなく下がった「貞子」風ヘアで確かにかなりこ汚く不気味に見えるが、思春期に、普通は自分の容姿のポジショニング把握して、オシャレするのが自然の摂理。まあ凄惨ないじめられっ子の演技はうまかったけどどうだろう。
最後に希望持たせたラストにはなっているし、見ているものを惹きつける秀作ではある。

ただ繰り返ししつこいが最後の犠牲の溺死は余計だった気がする。当初のいじめられっ子を救う正義感が、最後にオーバーラン行き過ぎで、すっかりかすんでしまったよ。

満塁本塁打