劇場公開日 2021年4月9日

  • 予告編を見る

「瑠璃も玻璃も照らせば光る」砕け散るところを見せてあげる kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5瑠璃も玻璃も照らせば光る

2021年4月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 なんてことない平凡な高校3年生の濱田清澄がイジメの現場に遭遇。その被害者である1年生の蔵本玻璃が徐々に心を開いていく・・・といったメインの展開。お母さんの名前は瑠璃?というウンチクがあったため、こんな風に使えるならことわざ辞典が欲しくなった・・・。意味を調べてみると、瑠璃が青い宝玉、玻璃が無色透明の水晶、もしくはガラスということで、終盤に怒涛の展開を見せることにも意味があったのかと感じる。もちろんイジメに遭っていたネクラ少女が光り輝くことにも。

 単なるヒーローものなのか?と思わせておいて、立派な純愛もの。家族の秘密を一人抱え込んでいたためにネクラになったともとれるし、玻璃には重くのしかかっていたUFOのような存在。「自分のためには戦わない」という信念をも持つ高校生にとっては得体の知れない、現代の病巣ともとれるUFOというメタファーが格好のオブジェクトだった。決して自分を守るためではなく、他人のために戦うという理想的なヒーローになるチャンスが到来したのだった。

 この純愛は永遠に続くことを北村匠海の演技で表現し、まさかの出演である原田知世がしっかりと掴み取る。映画を観た方はスペシャル・トレーラー第5弾をチェックすればその愛を一層感じられるはず!ついでにメイキング映像もご覧になれば、中川大志と石井杏奈の体当たり演技も確認できよう。

 観終わってからもじわじわと胸をつかまれるほど、人によっては自分の初恋を思い出したり、けな気な杏奈ちゃんに恋してしまいそうになる(石橋杏奈との区別もつかないおっさんがつぶやいております)・・・と自分勝手な感想。その思いをさらに高めるのが琉衣による主題歌「Day dream~白昼夢~」。サビでの転調は『バヅダッド・カフェ』の名曲「Calling You」をも思い出させます(てか、そっくり?)。

 SABU監督の『DRIVE』や『弾丸ランナー』などの疾走感あふれる作風は封印気味だけど、現代社会の闇に焦点を充てるような『疾走』や『蟹工船』の路線も好きだ。終盤に怒涛の展開を見せてくれるところは大好き。

kossy
bloodtrailさんのコメント
2021年4月16日

kossyさんへ
音楽には気が回らなくて気づきませんでした!
石井杏奈はホムンクルスに続いて、異端のマッドネス作品に出演ですねー。しかも演技力が要求される役w

bloodtrail