「【ヒーロー × ヒロイン】」砕け散るところを見せてあげる ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【ヒーロー × ヒロイン】
前半のちょっとくどいように感じる演出や展開から、後半は一気に加速していく感じだ。
だが、作品としては、どうしても、ありがちな不快感が残る。
(以下ネタバレ)
映画だけの印象だが、校内暴力と家庭内暴力を合わせてドラマティックな物語を模索していると思うが、人物設定など、もっと緻密じゃないと、シチュエーションのピースを都合よく組み合わせただけのように感じて、特に後半は興醒めしてしまう。
校内暴力は憎むべきものだし、その中で育まれる友情は重要だ。
家庭内暴力も、幼い子供にとっては、蔵本玻璃のように逃げ場のない切迫感と、その中で親を悪者にしていては生きられない大きな切迫感は実際にあることだと思う。
クリーニング屋のおばちゃんが、濡れた制服を乾かすときに、身体のあちこちに傷があったと話すが、その前に玻璃が学校で暴力を受けたことはないと話しているところから、家庭内暴力があることは想像させるところだし、清澄の母親の言葉は、玻璃の父親をわざと苛立たせるように設定されたように感じられて、もっと工夫が出来なかったのかと思ってしまう。
原作が元々そうなのかもしれないが、プロローグとエピローグ、校内暴力とドメスティックバイオレンス、無理やりてんこ盛りにした感じがする。
なんか、LDHは作品制作の選定も含めて、イマイチに感じることが多い。
あと余談だけれども、僕が小学生の時、病気で長期に休んでいた同級生が久しぶりに登校すると、病気を理由にイジメが始まったことがあった。
止めに入った僕は、そいつらにボコボコにされて、ビービー泣いて家に帰ったことがあった。
理由は祖母にも両親にも言えなかった。
祖母も両親もそっとしておいてくれたが、きっとケンカでもしたんだろうと思っていたに違いない。
バッサバッサといじめっ子を退治できなかった言い訳かもしれないが、ヒーローは必ずしもカッコ良くなくて良いのだと思う。
申し訳ないが、この作品は、そもそも好みではない。