望みのレビュー・感想・評価
全98件中、21~40件目を表示
望み。いいタイトル。
望み
石田さんの途中気が狂ったような
演技がとても良かったです。
最後、その心内が分かり、
この『望み』の意味の深さも少し、分かりました。
被害者か、加害者かのどちらかを望む、
ではなくて
被害者である事を分かりつつも
加害者であって欲しい。
それが望みということ。
父と、妹の『死んでれば良いのに』という感情
その後悔をずっと抱えて生きていかなきゃいけない。
被害者でも加害者でも
事件の前のように笑える日は
来ないのかもしれない。。。
加害者だったとしても、主犯に脅迫されたから、
とか自分や誰かを守るためにナイフを持った
相手が勝手によろけて当たりどころが悪かった、
というのもあると思う。
事件に関係のない部外者は
本来なら何も言ってはいけない。
憶測しちゃいけない。
ネットでの誹謗中傷やラクガキ、
許されない事なので。犯罪。
本当に無くなるように。
あと、マスコミもちょっといい加減にして欲しい。
あれは罪にならないの?
暗い気持ちになった。
この作品が問いかけるのは、家族が「有罪(加害者)だけど生きている」か「無罪(被害者)だけど死んでいる」かの二択だ。母親は、有罪でもいいから生きていて欲しいと願い、父親は、死んでいても仕方ないから無実でいて欲しいと願う。
しかし最後に、母親は後者で良かったのだと心情を吐露する。
視聴者は、何となくこの二択以外の結果を期待しながら観るのだが、結果云々より残された者の意見のぶつかり合いが、この映画のテーマである。あるはずなのに、結果がわかった後で家族は沈黙してしまう。そこをもう少ししつこく描いて欲しかった。何となく、母親が記者に話すことで観客を救われた気持ちに持っていったつもりか。
実際の、加害者家族も遺族も、もっと唐突で残酷なのだろうと思うと、胸糞悪い、何とも暗い気持ちになった。
悲しすぎる「望み」。
こういうストーリーで、望みというタイトルなのか。
深いなあ。そして、悲しいなあ。
殺人犯として生きている。被害者として殺されている。
親としてどちらを望むかということを、
問いかけられたら、という作品ですね。
でも親だったら、やってない。そして、
必ず生きているという望みを持ち続けるんじゃないかな。
そんな感じがしました。
家族への信頼、事件の周囲への影響
終始重たい内容ではあったが、108分と比較的短い映画に少年犯罪に関わった周囲の心境などを上手く表現できていたと思う。加害者であっても息子の無事を願う母と被害者であっても善人であることを願う父。息子が被害者と分かった時の安堵感と亡くなった絶望感がなんとも複雑な気持ちになった。
テーマ性に欠ける
作中起こる事件はもう少し意味を持った事件でないといけないのでは?はぁって感じでした。
実際の事件はこんなもんだよと言われればそうなのかもしれないけどこれは映画のためのシナリオなんだからそれは演出する必要があったはず。
竜雷太さんの演技はわざとらし過ぎて辛かった。
刑事役に加藤雅也さんとか、新聞記者に松田さんとかありえない二枚目持ってくるなんて、監督自体がこの映画を作るにあたり思い入れがないとしか思えない。もっといやらしい役者を使い、この家族には味方などいないんだという外堀を作り孤立感を出す必要があった。
この家族には味方などいないと観客に印象をつけてお互い疑心暗鬼になりながらぶつかり合い心削りながら、そうじゃない俺は家族を守るんだという強い気持ちを持ちながら壊れていきそうな家族を繋ぎ止める強い父親像の映画だったら良かったのになぁ。
登場人物の人間像も薄い、起こる事件も薄い、誹謗中傷で家族がめちゃくちゃにされてしまうとかいう描写も薄く警察に対しての批判とかがあるわけでもない。噂で他者をアジっていく一般大衆へ憎悪の像を映画として訴えたいとかでもなく、なんとも無味乾燥とした何が作りたかったのだろう?と思いました。
僕は昔の映画で 普通の人々という映画が好きだ。
この映画の最後母親が出て行って庭に父親と息子きり話すシーンで
父親が
俺に期待してるとがっかりするぞ。というと
息子が
がっかりしたりしないよ。父さんを愛してるから。
と言う所がある。
被害者だろうが加害者とかどうでも良いことで話が進む。そんなことどうでもいいだろ。家族を相対的な価値観でやってきた家族が絶対的な価値観を内なる長男の記憶と向き合い、どうであっても構わない。俺は被害、加害でも家族も守るという強いアティチュードを確立してドラマが進むとかいうのだったら良かったのにな。原作沿ってるのかもしれないけど読んでないから何とも言えないが、原作もそんな事が家族の岐路だというならそれはそれでお粗末だ。
書きながら思ったのだが、この映画は思いっきり家族間の無味乾燥さを全面に出した方が面白かったかもしれないなぁと思った。
立派な家
一般的に見ればハイクラスの父親
自慢の息子、娘 きれいな奥さん
だけど一皮むけば自分第一で家族の絆とかは希薄。愛情があるように自己陶酔して涙も流す。殴られもするけど、本当の息子の何にも通じ合ってないし、わかったふりで実はわかってない。立派な上物だけで実は魂なんてすっかり抜け落ちてるみたいな映画だったらそれはそれで面白かっただろうな。今の日本がまさにそんな感じだから周りの体裁とか受けを考えてばかりで物事の本質を見ようとしない。
そういうアイロニーが効いた映画にして欲しかったなぁ。
序盤は良いが
だんだんしぼんで行く感じ、、
ハートウォーミングみたいな展開は好みでないので
高校生らのいさかいの内容も
何だかなというか。
なんだか都合よく浄化されてしまった。
竜雷太さんの手のひら返しみたいの、
人間不信になる。
岡田健史くんが棺に入れられていたのは
嫌だったな、、
こんな若い人が棺に入っているのを
見るのが辛かった。
余計な事を考えてしまった。
見た後も涙が止まりませんでした。
事件に巻き込まれ、マスコミに追われ、ネットでは言われ放題。現代で事件に巻き込まれたら、リアルにこんな感じなのだろうかと見ていました。
私は母親であるため、母側(石田ゆり子さん)の望みと同じでした。加害者であっても、生きていてほしい。
亡くなれば一生会えない方が辛いです。
生きていてほしいと望んでいた末が、想定外の結果に絶句でした。後半は、ショックと衝撃とで、涙が止まりませんでした。映画が終わってからも。父親の気持ち、妹の気持ち、同級生の気持ち、さまざまな視点から考えると、どの気持ちでもつらくて悲しかったです。ただ、息子の行動はとても勇敢でした。
この映画でハッピーエンドはないのだろうと思いますが、自分がどんな状況かで見方、感想が違うのかと思います。とても面白い、今年1の映画でした。
家族と無責任なマスコミ
1つの殺人事件に対し、当事者となってしまったかもしれない家族とその事件を面白おかしく見せて大衆の目を引こうとするマスコミ、その報道より踊らされる周囲の人々。
自らの力ではどうすることも出来ない家族が追い込まれてゆく物語。
非常にシリアスな内容で観ていて苦しくなる。
息子は犯人なのか?被害者なのか?
マスコミは、話題性を重視し犯人じゃないか?という偏った報道を繰り返す。家族には、どうするとこも出来きず全ての日常生活が失われて行く。その中で両親と妹は、それぞれ異なる「望み」を持ち衝突する様子がリアルに表現されている。3人の演技力に圧倒的される。特に霊安室のシーンには引き込まれた。
悲劇の真実が判明した瞬間に、手のひらを返したように戻ってくる日常、しかし殺されていた息子は帰って来ない。。。
堤真一さん、石田ゆり子さんは安定の演技。清原果耶さん、素晴らしい。岡田健史さん、いい役者になったと思います。
自分だったら何を望むだろう。
家をでて行ったっきり、帰ってこない息子。
ニュースでは、同じ高校の子が殺害されたと報道。なにかの事件に巻き込まれた様子。
加害者なのか、被害者なのか。
親の立場だったら、どんな結果を望むだろう。
加害者だったら?
建築会社は倒産。娘の高校受験もパーになり、
これから壮絶な人生が待っている。
でも、息子は生きている。
被害者だったら?
亡くなっているかも…
世間からバッシングされることはない。
まだ犯人なのか、被害者なのかもわからない状態でマスコミはグイグイ家族を追い込む。
家族に何を望むか
『人魚の眠る家』『友罪』『楽園』『影裏』…時に残酷なテーマを突き付ける邦画のヒューマン・ミステリー。
本作も然り。もし、自分や家族がこの立場だったら?…と、胸抉られるほど。
石川家。
父・一登は一級建築デザイナー。
母・貴代美は出版関係の在宅ワーク。
高校生の長男・規士はサッカー部の花形選手。
中学生の長女・雅は名門校受験控え。
郊外の洒落た一軒家は自慢のモデルルームにも。
何不自由無く、誰もが憧れ、羨む、裕福で平和な暮らし。
が、ある日を境に一家に暗い影が落ち始める…。
規士が怪我でサッカーを辞めて以来、塞ぎがちになる。家族との会話も減り…。
そんな規士に一登は「何もしなければ何も出来ない大人になる」と声を掛けるのだが…。
そして、事態は起きた。
同級生との夜遊びが続いていた規士。
ある日、家を出たきり帰って来ない。
その直後、同級生が何者かに殺害された事を知る。
警察から詳細が抑えられている中、もう一人、被害者が居る事が判明。
息子はその被害者なのか、それとも加害者なのか…?
家族が事件に何かしら関与していて、被害者なのか犯人なのか。
あると言えばあるテーマ。
しかしそういう場合、家族は身内の無実を信じる。
が、本作は違う。そこがある意味、エグい。
一登は息子が被害者だとしても、無実であって欲しいと思っている。
妻は息子が加害者だとしても、無事で帰って来て欲しいと願っている。
つまりこれ、分かり易く言うと、もう息子が死んでてもいいか、犯人でもいいか?…で、意見が真っ向対立。
本当にゾッとするほどだった。自分の家族だったら…?
一登の思いも分かる。息子は元々優しい性格。そんな人を殺める行いなんて絶対しない。
…しかしそれは同時に、今の暮らしを手放したくない本音もあった。実際すでにマスコミにあれこれ報道され、仕事もキャンセル相次ぎ、昵懇あった得意先からも酷い仕打ちを受け、崩壊しつつあった。妻の鋭い指摘は痛かった…。
貴代美の気持ちも分かる。人様や世間に罪を犯した息子。謝っても許して貰えないかもしれない。でも、それでも。生きていて欲しい。母親が子を想う気持ちは強い。
…そう、強いのだ。もし息子が加害者だったとすれば、もう今の暮らしには戻れない。その覚悟すら出来ている。息子が生きてさえいれば。
どっちがいい悪いなんて、答えは出ない。絶対に。
憔悴していく一登。
精神不安定になっていく妻。
次第にすれ違っていく…。
悩み苦しんでいるのは両親だけではない。娘も。思春期なら特に。
彼女の意見は…? 戦慄すらした。
「被害者であって欲しい。加害者だったら、困る」
ある時一登は、息子から取り上げたナイフが無くなっている事に気付く。
被害者だと思っていたが、加害者なのか…?
貴代美は同級生から、犯人じゃないと信じてますと声を掛けられる。
加害者でもいいから無事でいて欲しいに固執し過ぎていた。どうして信じてやれなかったのだろう。そうなのだ。息子は、加害者ではなく無事なのだ。
そんな時遂に、事件が急変する。
果たして、息子は…?
『悼む人』では天童荒太、『人魚の眠る家』では東野圭吾、本作は雫井脩介のベストセラー小説を映画化。
すっかり濃密で重厚な心理ドラマに手腕を発揮するようになった堤幸彦。
家族間の葛藤、少年犯罪に切り込み、考えさせられる。
堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶の“家族”の熱演!
堤と石田の両ベテランは言うまでもないが、ここは敢えて2人の子供を特筆したい。
岡田は行方不明になる役故出番はそんなに多くはないが、影とナイーブさを持った難しい役所を体現し、印象に残る。
序盤は明るい役柄の清原。話が進むにつれ、両親への反発、兄の犠牲になって受験を諦めたくないなど複雑な感情爆発。同世代ピカイチの演技力の評判に偽りナシ!
結末はこれで良かったのか…。
悲しい。
どっちに転んでも悲しいが、悲しい。
しかしそこに、ある思いが…。
自分の未来を変えようとしていた規士。
未来は変えられる。
でも、ただ言うだけじゃ変わらない。しなければ。そう、
“何もしなければ何も出来ない大人になる”
父の言葉はしっかり息子の心に届いていたのだ。
家族同士ってどうしても、面と向かってだと恥ずかしい。照れ臭い。
特に父親と息子なら。
でも実は、父親の事を尊敬している。
息子の事を信じ、誇りに思っている。
残酷なテーマの果てに…
家族の思い、愛。
望み。
何を望むか
かなり重い話でした
子供が生きているか死んでいるか・・・
どっちに転んでも苦しい結末になることが分かっているので、冒頭から胸が苦しかったです
加害者であることを決めつけたように押しかけてくるマスコミ、嫌がらせ、葬式での老人からの暴言にはイライラし、被害者であることを望みながら観ていましたが、最後のお葬式シーンで規士君の子供の頃の写真が出てきた時に大号泣。
自分の子供と重ねてしまって、加害者でもいいから生きていて欲しかったと思いました
しかし最後、規士君が被害者だったから家族は今まで通り綺麗な家に住んで、妹は志望していた高校に行けて両親も仕事が出来ている。表も堂々と歩ける。
加害者の息子と、加害者家族として生きていくか
息子を失い悲しみを抱えながらも今まで通りの生活を送るか
自分だったら何を望むだろうととても考えさせられる話でした。
ストーリーは素晴らしい
子供が加害者なのか、被害者なのか。
結末、映画の雰囲気、脚本、演出、全てが中島哲也監督の「渇き」と真逆な感じ。
テーマもストーリーも役者の演技も素晴らしく、テンポも良いので、すんなり最後まで観れました。その点はオススメできる映画なのですが、ところどころに下記に記した萎えるポイントがあり減点してしまいました。
1、記者の過剰な取材
→まだ加害者でも被害者でもなく、ごくごく一般的な少年犯罪であんなにしつこく記者って来るもんなのか?知らないけど。あんたらそんな暇なの?って思ってしまいました。
2、警察役の人たちの仏頂面
→なんであんな無表情で発言一つ一つが冷たく突き放すような話し方なんだろ?演出なのか知らないが、現実でもあんな警察官いないだろ、って感じで萎えた。
3、被害者家族の葬式シーン
→父親が息子を信じたくて被害者のお葬式場行くのもちょっと意味不明。父親だから分かる確信めいたものがあるとしても、周りの人にそれは伝わらないわけで、自分が行く事で被害者のお葬式場に迷惑かかるとか、あの父親なら考えられそうなのに、なんか映画だから派手なシーン入れたくて無理矢理入れた脚本に思えました。
個人的にはその辺りが気になりところどころ現実に引き戻されましたが、素晴らしい映画であるのは間違いないと思います。逆にそこさえなければ大好きな映画の一つになっていたので、星3にしました。
世間は勝手に憶測をし始めるんです
映画「望み」(堤幸彦監督)から。
息子の同級生が殺害され、息子が事件に関与している可能性が高い。
行方不明となっているのは3人、そのうち逃走中の少年は2人。
ということは、残りの1人は殺されている可能性もある。
自分の息子が犯人(加害者)なのか被害者なのかわからない中、
犯人であっても息子に生きていてほしいと「望む」のか、
被害者であっても息子の無実を信じたいと「望む」のか。
究極の選択とも言える「望み」かもしれない。
でも私が注目したのは、憶測で誹謗中傷する世間の動き。
マスコミをはじめ、今まで親しかった人たちまで・・。
警察に対して、わかっていることを公表するように求めたが、
捜査に支障が出るから・・と口をつぐむ。
両親は苛立って、警察に再度、こうお願いする。
「捜査で分かった事が表に出ないと」と前置きをして、
「世間は勝手に憶測をし始めるんです」
警察の人も、同じ環境に置かれないときっとわからない。
世間の誹謗中傷の凄さ、嫌らしさ・・を。
象徴的なのは、犯人じゃないわかった時の掌の返し方。
息子を犯人と決めつけ罵った人達が、彼のお通夜で謝る。
「すまなかった」「すまなかった先生、この通りだ許してくれ」
物語だから、このまま終わったけれど、私なら許さない。
私はこのシーンが一番嫌いだった。
憶測だけで判断し行動すると、こんな辛い目に遭うことを
もっと強調して欲しかったなぁ。
同じくらいの子供がいますが
とにかく観ている途中から
辛くなりました。
どっちの結果でも
キツいのがわかりましたから。
父親と母親の考え方が違うのは
自分の家庭でもそうなると思いながら
観ていました。
母親が子供を想う気持ちは
父親とちょっと違って特別なものが
あると思います。
石田ゆり子が最後に
私達家族はあの子に救われたんです
ってセリフが
色んな意味で印象的でした。
それぞれの『望み』が痛く、苦しい。
『息子が生きているならそれでいい』と想う母。
『息子は絶対に殺していない』と信じる父。
兄を想う気持ちと未来が霞む恐怖に苛まれる妹。
どの立場に立っても地獄。
それでもそれぞれが何かを望んだ。
親と子の間にあるリアルな気持ちの交差と
家族という立場でどう考えるのか正解なのか、
こちらも深く考えさせられました。
現代の日本で起こりうるメディアや社会からの罵声や圧迫が、酷い可哀想だと思いながらも、ニュースやネットを見ただけの自分であったら、おなじようにおもてるだろうかと、人間の誰かを想う気持ちの裏返しの醜さを感じた。
映画として見ている私達だからこそ、その事に気付かされる。
ここからネタバレ、、、
加害者かもしれないと悟った時の妹の想いが爆発した瞬間に、胸が締め付けられた。「どうしてお兄ちゃんの犠牲にならなきゃいけないの?」きっと自分もそう思ってしまうのだろうと感じた。
母親のシーンで印象的だったのは、息子かもしれない高校生が捕まったと聞き、弁当を作ろうとする部分。
「あの子の好きなものを食べさせたい」
これだけのセリフでいくつもの想いが乗せられている。
殺してなんかいないと信じた父親。小刀を見つけたあの時、なんと苦しかっただろう。「息子はやっていない」とメディアの前で泣く姿は、序盤で事件の事を受け入れられない父親とは全く違う、二重の地獄だったはず。
岡田健史くんは、シーンが他の人と比べ少ないのに、
存在感があり震えた。
皆さんの演技が素晴らしかった。
自分に子供ができた時、また見たいです。
何もしなければ何もできない大人になる
登場人物の感情の機微が丁寧に描かれていて、とてもよかった。小説の映画化だが、展開が早いということもなく2時間に綺麗に収まっていたように思う。
悪人が(少年以外は)出てこない作品で、各個人の望みや願いによって、"責めるべき人"が変わってくることで、非常に考えさせられた。ひたすらに息子の生存を願う母、心優しい息子であることを祈る父、平穏な暮らしを望む娘。この3人のどうしようもない感情が交錯し、さほど大きな動きがないストーリーだがかなり引き込まれた。
また、被害者遺族(倉橋くん関係者)や、マスコミなどのいわゆる野次馬との関係がかなり重要だと思った。自分が願うものや信じると都合の良いものを信じることで、事実とは異なる対象を攻撃してしまう。昨今のSNSの広がりやマスコミの報道など、憶測で起こる誹謗中傷などについて考えさせられるものだった。特に竜雷太さん演じる高山さんの謝罪シーンが非常に印象的だった。そして、事実がわかるまで、噂や憶測に呑まれ勝手な言動を起こすことは絶対にあってはならないと強く思った。
石田ゆり子さん演じる母の覚悟を決めた鋭い目つきや、堤真一さん演じる家族を愛する父の強く優しい目つきに感情移入し、何度か涙も溢れた。
一点気になるとすれば、少々演出がわざとらしく、「ここは印象的なシーンです」と言われたような気分になったことくらい。笑
それぞれの望み
自分の息子が人殺しかもしれない。
そんな家族の話です。
生きていて欲しい、でも生きていたら
それは息子が犯人ということ。
犯人じゃなくてほしい、でも犯人じゃなかったら
息子は死んでいるということ。
どちらを望んでも、犯人か、死んでいるかという
違う辛さがある中で、葛藤する家族をみていました。
ただしくんは、すごく良い息子さんだったんですね。
死んだ後知る、息子の想いや、周りから見られていた
息子の姿や、いろいろなことがバーってきます。
信じてあげられなかった時間と
信じ切ってから動く時間。
人の感情がたくさん見れる作品でした。
見てよかったです。
ただしくん、死んでしまって本当にかなしいです。
リハビリのサポートする仕事がしたいと願っていた。
お父さんにかけられた言葉を恨むのではなく
プラスに捉えていたこととか、知って余計かなしいです。
水風呂みたいな映画
3月21日
Amazonプライム特典で視聴。
前情報が1mm(堤真一が出てる!しか知らない)の状態で見たため、ドキドキしながら楽しめた。
感想を一言で述べれば、水風呂。
普通、温泉施設に行く時は温泉に入る。
サウナがあったり、水風呂があったりするが、温泉が1番の目的って人が多いと思う。
温泉の好みの温度や、内湯が良いか露天風呂が良いかは人それぞれだったとしても、やっぱりぬるま湯以上が一般的だ。
けれども、水風呂好きな人は水風呂好き。
じーっと入ってると冷たい水の中にいるはずなのに、身体がじわじわと暖かく感じる。
その感覚がたまらないって人もいる。
まさに水風呂って感じの映画。
いつも自分がぬるま湯に浸かってるのがよく分かる(もちろん比喩的な意味で)。
ストーリーは救いのない二者択一
自分の息子/兄は被害者なのか?加害者なのか?
その内実も極端で、
被害者だとすれば死んでいて
加害者だとすれば人殺し。
比較すれば前者を望む父
うちの息子は人殺しなんかじゃない。
比較するまでもなく後者を望む母
うちの息子は死んでなんかいない。生きててくれればそれでいい。
夫婦の異なる「望み」。
果たしてそこに「望み」はあるのか。
多分、セリフには「望み」って使われてなかったと思う。そこもオシャレポイントか。
この話の肝は二者択一。
どちらに転んでも望みなんかない。
さらに、映画とかフィクションにありがちなオルタナティブもない。
オルタナティブというのは、簡単に言えば第3の選択肢のこと。
たとえば、被害者でも加害者でもなく、犯人を追いかけてるんだ!とか。
普通にしてたらそういう発想も家族には出てくると思うんだけど。
〇映像が巧い
怪しい雰囲気
日付が出てくるのとか何かしらの事件感を彷彿とさせていた。
上手くいっていない家族像は、これまでもあった。
例えば、家族ゲームとか(懐!)、流星ワゴンとか(懐2!)
これらのファンタジー家族ドラマとは違くて
オルタナティブがない。
「もしこうだったら」「時間が戻せれば」
そういうタラレバじゃなくてあくまで現実的。
個人的には、こういう映画の構成好きなんだよなー。
逆の理由でLALALAND好きじゃなかったね
(音楽はサイコーでいまだにアラーム音だけど。)
内蔵が鉛になったような気持ち悪さが残る。
これはストーリーもあるけど、映像の巧さに支えられていたと思う。
〇豪華俳優陣がすごい
1人1人の感情の機微がよく現れていたと思う。それぞれに焦点をあてた考察も面白いんだろうけど、ここでは特に印象に残ったポイントを挙げておく。
堤真一がうまい
特に泣き崩れるところのタイミングと表情がうますぎて!こちらにまで悲しみが伝わってきた
石田ゆり子がかわいい。
いつまでかわいいんだ。このオバサン。
タダシくんが死んじゃって最悪な気持ちのところでメガネの石田ゆり子がめちゃくちゃ可愛くて癒された
〇疑問点
ちょっとよく分からなかったのが、堤真一が息子の刃物とリハビリの本を息子の部屋から見つけて、息子の無罪を確信するシーン。
いや、もっと早く息子の部屋確認しない??
疑いというよりも、心配で息子の部屋いろいろ見ると思うんだけど…。
あと、もう1つ疑問。
テーマは何だったんだろう?
家族?マスコミ?コミュニケーションの難しさ?
どれとも取れるし、どれとも取れない。
よく言えば、様々なテーマが二者択一という設定で一貫して描かれていた。
悪くいえば、二者択一という設定だけで通してた。
〇総評
映像と俳優陣のおかげで結構よく出来た映画になっていて、ストーリーもわかりやすいので☆3.65くらい。堤真一と石田ゆり子が好きなので☆4。
けど、見た方が良いか、見ない方がよいかという二者択一であれば
見ない方が良い。
普通の人はハッピーな話を見た方が良い。
水風呂好きな方(もちろん比喩的な意味)には良いかも。
そうじゃなくて、温泉に入りたい人は、この時間にトイストーリーを見た方が良い。
これは辛い。
岡田くん見たさに見ましたが、全然出てこない。
それはいいとして、内容が本当に辛い。
私は親になったばかりだから、親目線ですごく共感出来たので、こうなってしまったら辛い。
息子を加害者であっても生きていて欲しいと思えるかどうか、家にあんなに張り付いてたマスコミは被害者とわかった途端に居なくなるってどうゆう。
その今までの苦痛の損害賠償金は払われないものだろうかと、見ているながらにも少しイライラしました。
親になって子供が加害者だって疑われたら、息子を信じるか、信じないかの葛藤、仕事も家も存続できていかなくなってく様をリアルに描いた作品だと思う。
特に、母が息子の好きなものを食べさせてあげたいってところが感動しました。
内容がリアルでいい映画でした。
家族
もし我が子が事件を起こしたら?
母親は生きてさえ居てくれたらいいと願う。
父親は息子を信じたいと望む。
自分にも思春期の息子が居るので、もし自分の身に起こったら、やっぱり最悪の事態を覚悟するだろうと思う。
そうすることで、最悪な状況になった時のショックを和らげる癖のような思考。基本ネガティブ思考なので。
夫は『あいつはやってない。』と言うだろうか?
『まだわからない。わからないのに心配した所でしょうがない。そのうち帰ってくる。』と言いそう。超楽観的な夫なので。
物語の建築士の家が素晴らしく理想的な家で、リビングの一角に母の仕事スペースにアイランドキッチン。
絵に描いたような幸せな家庭。
お客さんを子供の部屋に、いつでも案内するというのはやはり、やりすぎだよなぁと思う。
前もって『今日は見せるからね。』と言ってくれていればいいけど、自分が子供なら、大人に愛想笑いなんてできない時もあるし。
ナイフが自室に置いてあるのがわかった時の安堵。
リハビリの本に父親に言われた言葉のメモが見つかった時の、やっぱり信じていた通りの息子だったという感情はよく見てとれた。
岡田健史くんは影のある役が良くお似合いです。
我が子がもし進路変更を余儀なくされた時、どんな言葉をかけたら良いだろう。
最後まで信じられる親になりたいものです。
全98件中、21~40件目を表示