「望みと信頼の狭間で」望み 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
望みと信頼の狭間で
雫井脩介さんの同名ベストセラー小説を堤幸彦監督と主演の堤真一さんの初タッグで映画化した本作では、瀟洒な住宅で平和に暮らしていた家族が凶悪犯罪に巻き込まれ、究極の二者択一を迫られるまでをサスペンスタッチでスリリングに描いていく。
長男の行方不明に始まったものが、やがて長男の同級生の殺害事件に結び付き、メディアをはじめとした喧噪や周囲の目が家族を徐々に追い詰めていく様は観ていて心痛むものがある。
果たして長男は事件の加害者なのか、それとも被害者なのか?
どちらにしても悲劇的な結果になってしまうのだが、家族は、彼に犯人だとしても生きていて欲しいという望みと、被害者になっていたとしても彼を信じたいという思いに千々に乱れていく。
殺人事件は主犯の逮捕と共に思わぬ〝真実〟を我々に解き明かしていく。
疑心暗鬼の中で揺れ動く望みと信頼の狭間で、本作は力強く家族の絆を打ち出して胸熱にします。
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