「(原作既読)主要キャスト(特に堤真一と清原果耶)の好演で泣かせてもらった。但し映画としては、演出にうま味がないので、原作を映像化しただけで映画独自の魅力で成立しているような作品には仕上がっていない。」望み もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
(原作既読)主要キャスト(特に堤真一と清原果耶)の好演で泣かせてもらった。但し映画としては、演出にうま味がないので、原作を映像化しただけで映画独自の魅力で成立しているような作品には仕上がっていない。
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①自分の書評のところでも書いたが、原作はリアリティを追及するりも幾分読者の心に実験を仕掛けるような小説である。それをそのまま映像化しているだけなので深みがない。②堤真一の演技が圧巻である。自分の息子が加害者(今回の場合は殺人者)か被害者(今回の場合は死んでいる)か、究極の選択の前で、あくまでも息子の中の善を信じようとする父親を熱演して、その熱演がこの映画を支えていると言っても過言ではない。③一方、母親の方だが、自分の血肉を分けた存在だけに息子が生きていることを望むのは無条件に納得だが、その母性の業みたいなものが感じられない。原作も同じで私が実験的な小説と思うところもそれ故である。作者が男であるからかも知れない。この母親がもっと生の母性を感じさせれば原作とはまた違った味わいの映画になったかもしれない。しかし母親像が原作をなぞっているだけなのと、石田ゆり子の演技もそれ以上のものを出せていない。④その物足りなさを補っているのが清原果耶の存在である。もしかしたらこの映画でもっともリアリティ溢れる演技をしているかもしれない。母と娘とが対峙するシーンではその演技で石田ゆり子を凌駕している。いま最も期待できる若手女優と言って良いだろう。
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