「何も考えずにリアルタイムで身を任せられる喜び」ライブリポート ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
何も考えずにリアルタイムで身を任せられる喜び
本作を良作という人もいれば、いろんな場面に既視感のあふれる凡作とみなす人もいるだろう。私も普段ならこの映画の凡庸な点を一つや二つあげつらって批評したかもしれないが、コロナ禍でメンタルがすり減る中で観たせいか、これが自分にとって「ちょうどいい」映画だったことに驚いた。飛び抜けて際立ったポイントはないし、多くの描写や展開も平均点レベル。なのにその平均点が堅実に更新されていくことによって、逆にそこから激しく転げ落ちることのない安心感や信頼感が増していった。取り立てて厚みの感じられないキャラクターたちが、逆に重すぎず、後腐れなく、ちょうどよく思えた。さらにほぼリアルタイムで事件が進行していく点、アーロン・エッカートとコートニー・イートンの全く噛み合う要素がないのに噛み合っていくバディぶりも微笑ましい。何も考えずに観れる、映画が終わると細かい設定は何も覚えちゃいない。が、こんな映画もたまには楽しい。
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