「【”友人の心に負った傷に気付いたら、眼を逸らさずにそっと寄り添う大切さ”を社会人になる直前の不安定な気持ちと共に描く。現代社会に蔓延るネグレクト、児童誘拐に対し、激しい怒りを示した作品でもある。】」君は永遠にそいつらより若い NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”友人の心に負った傷に気付いたら、眼を逸らさずにそっと寄り添う大切さ”を社会人になる直前の不安定な気持ちと共に描く。現代社会に蔓延るネグレクト、児童誘拐に対し、激しい怒りを示した作品でもある。】
ー 序盤は、就職先も児童福祉職に決まり、後は卒業論文提出だけの、どこか覇気のない堀貝(佐久間由衣)が、ヒョンなことから猪乃木(奈緒)と出会う所から始まる。ー
◆感想
・大学の飲み会で酒癖の悪い男子学生に”お前なんかに、児童福祉職が務まるかよ!”と絡まれるシーン。
ー ここが、最後半、効いてくるのである。
だが、彼女はTVで偶々見た、数年前に行方不明になってしまった男の子の事を調べていたのだ。それが、きっかけで児童福祉職を選んだのだ。
又、彼女が選んだ卒業論文のテーマも、その事に影響していると思う。ー
・バイト先で一緒になった男の子の、真剣な悩みに、正面から向き合わない(向き合えない)堀貝の姿。
ー が、ここから、彼女はイロイロな経験をして、人間として成長していくのである。>
・自宅の下の階に住んでいたネグレクトされていた男の子を自宅で預かっていたホミネが、突然死んでしまう。ホミネの親友が、鳥取の葬儀に出席した時に知った真実。
ー ホミネは、自分が男の子を救えなかった事が、心のどこかに鬱々とした思いとして、抱えていたのではないかな・・。
ホミネが遺した、堀貝が卒論作成のために頼んだ、アンケート用紙の裏に書いてあった、明るい感じのキャラクターが、却って彼の苦しみを表している気がした。
そして、その絵に、カラフルな彩色を施した猪乃木。彼女も又、心に深い傷を負っていた事が中盤分かる。きっと、あのカラフルな彩色は、彼女のホミネに対する”想い”ではなかったか・・。ー
・堀貝と猪乃木の間は、徐々に縮まり、猪乃木が言った衝撃の過去。誰にも見せなかった耳の傷。
ー あのような事件は、日本でどれくらい起きているのだろうか・・。、猪乃木が、大学を休学して、お婆ちゃんと住んでいた小豆島に戻ったのも、未だ傷が癒えていないからではないか。ー
・堀貝が、ホミネの家で、彼の親友から形見分けを貰うシーン。彼女は、突然ベランダから身を乗り出し、ホミネが助けようとした男の子の家に”命懸けで“降りる。
そこで、見たネグレクトの酷い実態。
<赤く染めていた髪を黒髪に戻し、堀貝が猪乃木に会いに行くシーン。
”暫しの沈黙の後、猪乃木が、か細い声で言った言葉”良いよ、待ってる・・。”
大学生から社会人になる精神的に不安定な時期に、堀貝が経験した、世の闇。
だが、あのラストシーンを見て、磯貝は良い児童福祉職員になるだろうな・・、と思った作品。>
<2021年10月31日 刈谷日劇にて鑑賞>