17歳の瞳に映る世界のレビュー・感想・評価
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これからはノーと言える人生を送るのだ
性犯罪は加害の対象が財産ではなく身体であることから、被害者の心を深く傷つける。同じく身体を攻撃する傷害は被害が医学的に明らかであるのに対し、性犯罪は被害を物証によって証明することが難しい。加害者側や冷酷な裁判官がそこを追及すると、被害者の心はさらに傷つくことになる。性犯罪は、被害者の身体だけでなく、人間としての尊厳を傷つけるのだ。
人工妊娠中絶を肯定するか否定するかは、宗教も絡んで複雑な議論となっている。しかし性犯罪の被害者が人工妊娠中絶を望むのは不自然ではない。動物や昆虫の雌が雄を選ぶように人間の女性も、もし子供を望むとしたら、自分で選んだ男性との子供を望むのではないだろうか。
本作品のハイライトは、多くの人が同意見だと思うが、原題でもある4択の回答例を出してカウンセラーが主人公オータムに質問する場面である。性行為についての質問をするのだが、初体験の年齢や相手の人数を聞く。場合によってはノーマル、アナル、オーラルなどの際どい質問もするが、オータムは淡々と答えていく。しかし相手との関係性を4択で質問するあたりから、オータムは答えられなくなる。それはオータムの人格が傷つけられた体験であるからだ。
物語の中では明かされないが、赤ん坊の父親は誰なのか。オータムの母親はオータムのことを気遣っている。そういう場合、娘と母親の関係は良好である。しかしオータムは妊娠のことを母親に相談できない。オータムには幼い弟妹がいて、母親は弟妹の世話で手一杯である。オータムの父親と夜の相手をするのも大変だ。父親がオータムを見る目は怪しさで溢れている。ということで本命は父親。対抗は学園祭で下品な掛け声をかけたアホ男子だ。相手の人格が低劣なだけに、尚更オータムの心は傷つく。だから4択の質問に答えられず泣いてしまう。
オータムを演じたシドニー・フラナガンはまだ無名の女優だが、17歳のオータムの幼さと勇気の両方を上手に演じていた。相手役の従姉妹スカイラーを演じたタリア・ライダーが素晴らしい。2002年生まれで撮影時は17歳か18歳であったが、幼さの残るオータムよりもずっと世の中を知っていて、感情に流されることなく現実的に行動するスカイラーをリアルに演じる。ときには現金を盗み、時には嘘を吐き、時には唇を与えて現金を得る。大人でも舌を巻く強かさだ。
ニューヨークは、行ったことのない当方から見ると、相当危険な街だという印象だ。ワルがそこら中にいるだろうし、拳銃を持っているかもしれない。若い女性は格好の獲物だ。しかしスカイラーの判断力と夜の下町に近づかない賢明さによって、なんとかニューヨークの夜をやり過ごす。これは本作品のコンセプトに従ったストーリーだと思う。主人公をこれ以上酷い目に遭わせると、物語のテーマがずれてしまうのだ。それにしても、二晩も寝ないでいられるとは、さすがに17歳の体力である。
幼い精神性の残るオータムだが、スカイラーの助けもあって勇気を出して行動した。彼女にとっては4日間の大冒険だった。この体験はオータムを生涯にわたって勇気づけるだろう。これからはノーと言える人生を送るのだ。
とても良い映画
邦題タイトルが良くない。
原題は、心理試験などに良く用いられる質問紙にある選択回答項目から。
そして、この作品の最大の見所となる場面に出て来ます。つまり、この質問に答える場面で、主人公がなぜ妊娠したのか?…望まない妊娠であったこと…レイプされた事実が明らかになります。
映画は、終始淡々としています。
初めて訪れたニューヨークは華やかでもなんでも無く、この作品の映像のようにどこかざらついた感じです。
まるでバックパッカーが一人旅でもしているような、淋しさや不安感に満ちた作品でした。
地味な内容の作品ですが、なかなかの秀作だと思います。色んな映画賞を受賞しているからと、特別オススメはしませんが…お暇ならどうぞ…心に刺さるかも知れません(笑)
笑ってる場合じゃないんだよ
映画を評価するポイントって人それぞれだと思うが、個人的には話の展開があまりない映画は評価が低くなりがちだ。でも、そんな映画でもたまにすごく印象に残ったり考えさせられたりすることがある。そうなるとどう評価していいのか迷ってしまう。この映画がそうだった。
妊娠が発覚した女子高校生がいとこと一緒に中絶手術をしに旅をするロードムービーだから楽しい内容ではないと思っていたが、ここまでシリアスで暗い感じだとは思わなかった。
州によると思うが、アメリカで中絶することの大変さを感じたし、17歳の女性が男からどんな目で見られて、どんな扱いを受けているのかという現実を突きつけられた。バイト上がりでレジのお金を戻すときに上司の男が彼女たちの手のひらを舐め回すシーンはなかなか衝撃的だった。
映画としての山場は、ソーシャルワーカーがオータムに質問するくだり(原題の回答例)なんじゃないか。あそこは緊迫感があっていいシーンだった。結局誰に何をされたのかはぼかしたままだが、性被害にあっているということだけは伝わった。妊娠した子どもの父親はオータムの父親なんじゃないかと思ってしまう(高校の男子生徒の態度からすると違う可能性は高いけど)。つまり、中絶手術は成功したけれど、彼女たちの抱える問題は何ひとつ解決しないまま日常に帰っていくわけだ。これは考えさせられた。彼女たちの手を舐められるシーンで少し笑いが起きていたが、笑っている場合じゃない。
それでも映画としての評価は高くできなかった。悩ましい。
女性向け 男は微妙な感じ
全く予備知識なくレビューの高評価のみで見てきました。この作品は見る性別や立場で評価がかなり別れそうです。
ぺンシルベニアに住む17歳の主人公が親友の従妹とバスを乗り継ぎ都会のニューヨークで親の許諾書の不要な中絶手術をしに行くのがメインストーリー。
当然ながらお金の工面や精神的な不安、男からのナンパ。体調不良とトラブルが続きます。
誰の子供かとか中絶へのためらいとかは全く描かずこの従妹との二人の微妙なやりとりや会話が延々と続きます。
ドキュメンタリー調でドラマチックな展開はあまりないですが最後まで飽きないで見れるロードムービーになってます。
ニューヨークで友人がナンパ男から金を借りる代償でキスをされるシーンがあるのですが女性からはかなり批判がありそう。
中絶の行う病院でのカウンセラーと主人公のやり取りがリアルで凄く為になり印象的。
主役二人は魅力はありますが男性にはお勧めしにくい作品。
わかってくれる事の偉大さ
はち切れそうな切なさが画面から溢れ出し、グレーな思春期の想いに、物語は始まっていないのに胸がいっぱいになっていた。
そんな事になった原因が直接的には描かれていないが、心がヒリヒリする程伝わってくるその瞳と画面の暗さが美しいと思ってしまう。
思春期っていろいろあるんだよね、決して優しい訳じゃないけど、不意をつく様に心に入り込んでくる3つの選択肢に張り詰めた心は砕ける。
断片的でもわかってくれる、それだけで立ち直れる気がする。
Never Rarely Sometimes Always
わたしは妊娠した経験がない。
ないから分からない、とまでは言わないけど、この映画を見ても当事者感は薄いかもしれない。ただ、望まない妊娠をしたかもしれない、という不安感はよく分かるし、その先も想像はつく。特に自分の行為に責任を負わせるほどにはまだ大人になりきれていない少女にとって、それがいかに大変なことかと考えた時、男という生き物の無責任さと併せて、空恐ろしくなる。
『17歳の瞳に映る世界』この邦題は、この映画が描き出す現実に対してあまりにも詩的すぎはしないか。原題の"Never Rarely Sometimes Always"が突きつける現実性に対して、やや逃げのような、と言って悪ければ斜に構えたカッコつけ感がある。
映画はいつの時代もそれほど違いはない、10代のセックスに対するリアルを嫌というほど描き出している。男はいつだってヤリたいだっけの生き物だし、なお悪いことに「女も同じはず」という共犯者めいた幻想を抱いている。女はともすればそれではすまない、場合によっては不可逆的に人生が変わってしまうかもしれないリスクと隣合わせだというのに。
願わくば、望まない妊娠という過酷な現実の中で、この映画のように少しでも救いがあらんことを。
【自分、友だち、《社会》、《家族》】
これは、多くの人に観て欲しいと思う。
行き場のない思いを、どのように抱え、思い悩み、どう行動するのか、妊娠に気がついたアメリカの女子高校生の視点で描かれる。
タイトルにある「自分」「友だち」は、多くの場合、悩み、相談をする順番だと思う。
そして、《》で括った《社会》と《家族》は、これにどう対処すべきか、実は、非常に重要であるのに対して、こうした若者のカテゴリーの位置付けは定まっていないし、入っていない可能性だってあるのだ。
それは、そうした解決の社会システムがあることを知らないこともあるだろうし、家族の場合は、親子関係が不安定だったり、家庭内暴力がある場合は、選択肢に入れることすら危ういことだったりするかもしれない。
「まん延防止等重点措置」は覚えられないくせに、「自助、共助、公助」を念仏のように唱える国のトップがいるが、本来、個人や社会の関係は有機的であり、時代時代の価値観の変化によって、順番付けより、ケースバイケースで、柔軟に変化する社会システムの構築の方がもっと大切なだということを考えることができないのか、呆れてしまう。
日本の場合も、こうした映画で描かれていたようなことはあるに違いない。
河瀬直美さんの「朝が来る」に取り上げられたテーマも、一部、これを含んでいたではないか。
家庭が不安定な場合をリスクと考えて、性教育、相談窓口の開設と周知、更に、アフターピルの機動的な利用規定やカウンセリング・システムの構築など、社会として出来ることは沢山あると考える。
この作品は、ストーリーをそのまま受け取るというより、どうしたら良いのか考える機会を投げかけた映画だ時思う。
男目線 75
好対照な2人の旅を特にドラマもカタルシスもなく淡々と見せて行くが、行間から滲み出る2人の感情、関係性が地味ながら痛切に伝わる
男目線で語ると、友人(従姉妹)のスカイラーが体を張りながら主人公のオータムを支えていく行動、仕草が愛おしい(唯一の見せ場、柱のシーンは切なくも美しい)
こういう映画は一見退屈に感じる人もいるだろうが、見るほどに発見があり味が出てくるのだと思う
蛇足だが、これ17歳男2人旅にしたら完全にお笑い珍道中になっちゃう(設定は包茎手術)
このようにこの世の中、まだまだ女性には行きづらいので、男共はこのような映画を観ては肝に命じるべき!!
17歳の少女にとって、世界は過酷だ
セリフは少ない。
場面の説明も少ない。
プロライフ派vsプロチョイス派の政治的対立も描かない。
だからこそ、主人公たちの表情の変化が映える。
特に、原題の意味が分かるシーン。
何があったか、直接は語られないが、表情が物語る。
それはイトコの子も同様。
バスで知り合ったオトコから帰りのバス代を借りるために男と過ごす。
何があったかは語られない。
でも、主人公と握った手が全てを物語る。
先日、ロー&ウェイド判決が近々見直され、全米で中絶が違法化される可能性がある旨のニュースを見た。
何年かすれば、
「他の州なら中絶できたなんて…」
って言われるかも。
その頃には、NYでなく、少女たちはカナダかメキシコを目指すことになるだろう。
今でも十分過酷なのに、もっと過酷になるなんて。
しかも、この過酷さは女性だけが負う。
共感を拒絶する程のリアリズム
「スワロウ」('19)同様のセンシティブな題材を別の視点、アプローチで描く
極限まで抑えた情動が堪えきれずに表出する時もあるけれど一貫して劇的なものは極力排除している
"感動ポルノ"の対極に位置する凪の世界
タリアライダーの美しさを(内面も)目撃
私小説的ドキュメンタリー映画
親に内緒で妊娠中絶手術を受けるために、田舎から大都会へ親友と2人で出かける女子高校生の旅を描く。妊娠中絶を1人で決断したといっても、そこは十七歳の高校生。孤独な心情や不安感がよく描かれていて、観ている私たちも辛くなる。ベルリン国際映画祭で、受賞したもの当然か。
但し、私はこの手の映画が嫌いなのだ。練られた脚本や作り込んだ画面構成や音楽が好きなのだ。虚構なのに、ドキュメンタリータッチは嫌いだ。
また、この邦題は誰がつけたのか。瞳に映るではなくその心情を描いた作品なのに、視点が逆転している。まだ、原題の方がよかった。よって、三つ半。
男性の気持ち悪さと女子の友情
不快なだけ、疲れた。
(一度もない めったにない 時々 いつも)
やるせなくなる。柱越しに顔も見ず手を、指先をつなぐシーンがやばかった。互いのことを想うからこそ黙ってそうしていて、グッときた。世界のリアルに敗れた風に見えても、それを利用する。人の振り見て我が振り直せ、ものすごくやるせない気持ちになってしまった。ただ、それでも主人公二人の、イトコという親戚関係ではあるものの、友情やシスターフッドに少し救われた。この中絶の旅で何かを学び感じ取り、危機を乗り越えてまた強くなってほしい。勉強にもなる。
好奇の目に晒されては都合よく搾取される十代の女性性と、NOと言えない女性の心理や状況シチュエーション。声にならない叫びや表面化しない心の傷跡。絶えず胃のキリキリ締め付けられるような感覚、居心地の悪さだけど、その分グイグイと引き込まれてしまう自分がいた。しかも、本作に出てくる男性描写は皆、何も特別ものすごく邪悪な描き方をされているというわけでなく、あくまで語弊を恐れずに言えば日常の延長線上にあるようなもの。だから余計にふとしたときにゾッとしてしまう。
どうしても早熟な印象のあるアメリカのフィラデルフィアとNYが舞台ではあるものの、日本人的な印象を受ける粘着質な気持ち悪さで虫唾が走った。何気ない一挙手一投足に滲み出る下心は、向こうでも同じこと。ややもすれば他人事じゃない。真摯に好きな気持ちなんて微塵もない性欲むき出しの成人男性が、ティーンの女子をクドき、手を伸ばし、抵抗されないのをいいことに欲望の捌け口のようにぞんざいに扱うさまは非常につらくなる。どのカットにもしっかりと意味を感じて、引き込まれた。その時々の気持ちや居心地悪さなんかも伝わってくるよう。
その時々瞬間に感じることを大切にする。日本では同じ週公開『プロミシング・ヤング・ウーマン』同様、男嫌い・男性恐怖症になってもおかしくないくらい強烈な表現の可能性と責務がガツンとくらう。女性の社会進出・平等が進んできたとか、ハラスメントへの意識が高まってきた等とは言っても、現状はまだまだこのようなもの。世の中はまだまだ生きやすくなど無い、むしろ生きにくくすらなっている気もする。そうしたヘビーな役どころを演じた主演二人の演技と関係性が、本作のエリザ・ヒットマンによる演出脚本をさらに高める。克明かつ繊細に描いては浮き彫りにし、肉薄するような挑戦。真に価値のある作品。この映画を見なかったことになんてできない。
今年映画館鑑賞40本目?
最低限のセリフと最低限の音楽、最低限の解説で進む“望まない妊娠をした女性”のための映画。
なお、自分の中では上半期に観た映画No.1です。ファーザーより良かった。
主人公のオータムはペンシルベニアに住む17歳の女性。
母親や一緒のスーパーに勤める従妹にも言っていないが、妊娠をしている。
子どもをどうにかしたいと思いながら、近所の産婦人科に行くも、
自分でもやれるような妊娠検査薬程度の検査で「10週目」であると告げられる。
子どもを産み、養子に出すよう産婦人科から強いられるオータム。
“産む行為”自体を迷う彼女は、
彼女の状態を察知した従妹のスカイラーと共に、両親に何も言えないままNYへと旅立つ。
このオータムとスカイラーの出生地であるペンシルベニアについて、
映画内ではかなり閉鎖的な田舎町として描かれています。
この初っ端から表情筋が死んでる主人公のオータムの特技が歌なのですが、
(ちょっとラナ・デル・レイっぽい歌声、The ExcitersのHe's Got The Powerという曲のようです)
歌う彼女に「メス犬!」と囃し立てる奴がいる。
勤務先のスーパーでも男性上司に手を握られる等のセクハラが横行しており、
女性にとっては非常に暮らしにくい場所のようです。
なお、このペンシルベニアの産婦人科。
どう見てもおばあちゃんなDr.がオータムの検査を請け負うのですが、
なんかめっちゃテキトーです。
オータムの意見も聞かずに養子縁組の案内と、中絶禁止ビデオみたいなのを見せてきます。
そりゃ逃げるわ。
一方、オータムが無事に辿り着いたNYの産婦人科ですが、
まず保険の説明から入り、カウンセラーによるカウンセリングの実施、
その後、本人の意思を都度確認しながら、中絶するか産むかを聞きます。
これが都会か。
このカウンセリングの段階で、初めて、
“なぜ、オータムが妊娠してしまったのか”が発覚するわけです。
めっちゃきつい。
結果として、オータムはある選択をするのですが、この選択をした後、少しずつですがオータムの表情筋が生き返るのですよ。
最後の最後でちゃんと笑えるようになるんですよ。
もうその移り変わりを確認するだけでも、この映画を観る価値はあるってもんです。
オータム、お疲れ。
なお、このオータムにつかず離れずいる謎の従妹のスカイラー(販促写真だと頭乗っけられてる方の女子)ですが、
めっっっっっっっっっっっっちゃ美人です。
バイト先のスーパーで、客からも店員からも口説かれれば、高速バス内でも知らんお兄ちゃんに口説かれる。
ただし、彼女の関心事はオータムを守ることしかないっぽいです。
彼女がオータムと一緒にペンシルベニアからNYに脱走するために、ありとあらゆることをしでかすのですが、
どっちかと言えば仲の良い親族と言うよりも、頼りがいのあるアニキみたいな性格と行動をする方です。
強いです。
惚れます。
…こんな感じで。
個人的には言葉として語られる情報が非常に少量な分、却っていろいろ考えさせてくれる貴重な映画でした。素晴らしい。
苦しい気持ちになるが見る価値はある
最初にタイトル(原題)が
NEVER REARELY SOMETIMES ALWAYS
と順に表示されて、「?」となるのだが、この映画の最も重要なシーンでこの言葉が繰り返し出てくる。
病院のソーシャルワーカーが、中絶の処置にあたり主人公のオータムに多くの質問をする。そして、最も答えにくい、踏み込んだ質問の回答については、この4つの選択肢からどれが当てはまるか、回答させる。
質問の最初のほうの、質問には、Yes/No と躊躇なく即答していたオータムが、なぜ妊娠に至ったかを聞く質問については、言いよどみ、断言を避け、苦しい質問に初めて感情を表に出す。 感情が見て取れなかったそれまでの表情との対比で観ている側も苦しくなる。
ソーシャルワーカーに「手術には私も付き添ったほうがいい?」と聞かれて そうしてほしい、と即答するところにも、本当は不安で仕方がない子供らしさが垣間見えて切ない。
オータムが経験する病院でのやり取りや手術すべてが、17歳の女の子が体験するには残酷すぎる。
スカイラーの存在を救いとして、それらを淡々とした表情で描き、重苦しいだけの残酷話にしなかったのは監督の優れた感覚だろう。画面の抑えた色調の中でも、女の子2人のきれいな瞳の描写が印象的だ。
主演の2人は、ほとんどずっと感情を秘めた表情で難しい役どころだとおもうけれど、素晴らしい演技だと思う。
映画の中では何も語られないので、すべて観る側の想像に任せられるのだが、年の離れた妹たちと、オータムの父にしては年若そうに見え、オータムに対して父親として振舞わない父。逆に母親は、反抗期気味に見えるオータムにも真っ当に接する普通の母親のように見える。ここから、オータムは母の連れ子で父は継父なのだと予想できる。
オータムが母親に、どうして頑なに何も打ち明けられないのか?を考えると、やはりオータムを妊娠させたのは継父と想像できる。
きっとスカイラーはわかっている。だから 「手術ってどうだった?」は聞いても「なぜそうなった?」は聞かない。
あんまりちゃんと聞いていなかったのだが、冒頭のシーンでオータムが歌っていたへたくそな(失礼) オリジナルソングの歌詞も、今思えばそれを暗示するような内容だったような気がする。
この子たちが、こんな醒めた悲しい目をして、あの邪魔すぎるスーツケースみたいな重荷を抱えなければならないなんて、あまりにも悲しく苦しい。
最後のバスでオータムがバスでうたた寝をするのだが、家を出てからスカイラーが熟睡する場面はあるのだがオータムが眠る場面は一つもなかったなと気が付き、オータムの安らかな寝顔にも複雑な思いを抱きつつ、せめて束の間だけでもゆっくり休んでほしい、と思った。
痛々しくて見ていられないような気持ちになるのだけれど、見る価値ある映画だと思う。
賞を沢山取ってるから期待値は非常に高かったんだけど、シンプルな映画...
賞を沢山取ってるから期待値は非常に高かったんだけど、シンプルな映画に感じた。
主人公オータムが妊娠して苦悶するのかと思いきや早々に中絶を決断するから、若くして妊娠したら大変だって趣旨よりも、男には気をつけろって内容の映画に感じた。あと、中絶のリアル。
なぜ妊娠してたのかは分からなかった。オータムは17際だけど、既に経験人数は6人だ。中絶前の医師からのアンケートで涙を流していたので、無理矢理妊娠させられたのかなぁと思った。
映画の評価を3にしておくけど、中絶を知らない人(俺もそう)には、少し知ることが出来るから良いかなぁと思った。オータムの中絶治療は計2日掛かる。1日目は前準備で、2日目に治療する。治療は全身麻酔なので目が覚めたら終わってるわけだ。手術した後なのに、歩いて帰路に立ってるわけだから、中絶するのは体への負担が少ないように感じた。
あと、手術の前に医師がオータムに生年月日と名前を聞いていて、これって日本でもやってる本人確認だったので、世界共通なんだと感心した。
それにしてもスーパーのオーナー?は気持ち悪かった。オータムとスカイラーはこのスーパーでレジのアルバイトをしてるんだけど、レジの売上を渡す時に必ず手をペロペロ舐められてた。キモ過ぎ笑。こんな店で何故働いているんだろうか。
妊娠が発覚してから中絶することを決断した時に、オータムは鼻に安全ピンを刺してピアスを付けた。この気持ちがさっぱり分からなかった。多分、ピアスする人やタトゥーを入れる人は同じような心理なのかなぁと思った。
中絶前夜にオータムが母に電話したのは何故だろう?
オータムとスカイラーがニューヨークに行くとジャスパーと言う青年と出会う。ジャスパーはスカイラーに積極的で、最終的にはキスして良い感じになっていた。そこにオータムかまやって来てスカイラーと小指を交えるシーンがあったけど、それも何故か分からない。
分からないと言えば、オータムが冒頭で男性に水掛けたのもよく分からなかったな。オータムが歌を人前で歌った後の出来事。父がオータムを愛していなそうに感じたけど、公式サイトをみたら義父だというので何となくわかった。
ストーリーはシンプルだ。ペンシルベニア州では中絶に親の同意が必要だから、同意不要なニューヨークに旅して中絶するだけだ。
大きなどんでん返しもない。小さな事ならペンシルベニアでは妊娠10週目と診断されてたけど、ニューヨークでは18週目と診断されたことだ。だからと言って大きな影響はなかった。
全くつまらない訳では無いので、興味ある人は鑑賞したら良いと思う。
ん〜、少女達の勇敢な旅路…。
高校生である主人公のオータムが妊娠し、従姉妹のスカイラーがその異変に気付く。ペンシルベニアでは、妊娠中絶に親の許可が必要なため、二人は、お金をかき集め、親の許可の必要がないニューヨークへと夜行バスで向かい、妊娠中絶手術を受けるという話。
十七歳の少女の心の葛藤を描き出す感動作と言いたいところですが、中絶手術を受けて、話は終わりということになります。
愛に満たされない思春期の少女達の物語ではありますが、内容的には、短編小説ぐらいの内容しかないですね。
それでも、若い女性が共感できればいいのかな。共感するかなぁ。
アメリカでは、こういう問題が頻繁に起こっているということですかね。そのあたりが、わからないので、評価しづらい面はあります。
ベルリンで賞をもらいましたか…。
青春映画というより、リベラルや左翼的な匂いのする映画てはありますね。
タイトル通りの展開
17歳の瞳に映る世界
映画タイトル通り、青春真っ只中の多感な少女が誰にも言えない不安?な思いを抱えながら、その苦難を乗り越える為に勇気を持って突き進む物語がドキュメンタリータッチで描かれておりサスペンスでも無いのにどうなる?と緊迫シーンもある。そのきっかけはなんだったのか?
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