17歳の瞳に映る世界のレビュー・感想・評価
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彼女たちが世界をどう見ているか、深く考えさせられる一作。
無表情を装った心の鎧が、一瞬綻びを見せる瞬間の儚さが印象的な作品です。
高校生のオータムとその従妹スカイラーの短い旅を追う、一種のロードムービーですが、彼女らの目指す先は重く、陰鬱で、それ故に二人の表情は終始曇ったままです。高校生のオータムは、自分の人生を決定しなければならない状況で余りにも無力です。しかし彼女の心の鎧をますます厚くしてしまうのは、単なる状況の過酷さだけでなく、周囲の、時におぞましい扱い、そして眼差しです。無遠慮に近づいてくる彼らにとってはひとときの、軽い振る舞いのつもりでも、その矛先となる女性たちにとってそれがどれほど嫌悪感を催し、恐怖をかき立てるか。多くの場面でオータムが無表情であるが故に、抑え込み、無視しないと対処し得ない苦しみがむしろ切実に伝わってきます。
決して楽しい物語ではないし、誰にでも勧めたくなる作品ではありませんが、深い余韻を残す映画と言えます。
一貫して10代女性の内面を描いてきたエリザ・ヒットマン監督は、本作が劇場長編作品としては三作目に当たります。第一作の『愛のように感じた』(2013)もまた、八月以降に全国で公開となるようです。こちらのヒットマン監督の筆致も気になります。
時代
回る回るよ!時代は回る・・♪
困難な時代ではあるが、確かに次世代の意識の変化の萌芽はここにあるという感想です。
新鮮さとしては家族をめぐる問題はさっと通り過ぎ、監督の二人の少女にそそぐ優しいまなざしが
気持ちいい位、寄り添い抱きしめている姿が浮かび上がる構成です。(それは意に添わぬ相手にキスされている従妹に手を差し伸べて・・って場面に現れていました)
私的には退屈する場面もあったんですが、17歳という年齢を考えればこんなに世界はシンプルで
過酷ではあるけれど、これから経験する世界のいしずえになる描写は好ましいということに尽きます!
昔ダルデンネ兄弟の「ロゼッタ」という秀作があり、」1999年制作でした。20年程してこんなに社会は成熟したけれど、相変わらず少女達の瞳には過酷さが見えている。現実はきびしい
Never Rarely Sometimes Always
新味あり。支持。
あまり問いたださないで
病院の診察に、カウンセラーが
質問した内容に絶句した
涙でそうだった。
これ以上聞かないって
涙がこぼれかけた女の子
いとこの女の子も、好きでもないおとこと金のためにキスしたりめちゃくちゃだった。
モテすぎだろ。
流産するために、ニューヨークまで、
わずかなおかねで、
何日もまつ
くるしさが耐え難い現実。
バスで、ニューヨークいくことさえ、
遠いのに
頑張った!
女の子。
【彼女の大きな瞳に映ったのは、愚かしき故郷の男達(含む父親)と、都会の厳しさと、不安に苛まれながら中絶手術をする決意をした彼女を支える従妹と優しき女性医師達だった・・。】
ー 高校生のオータム(シドニー・フラニガン:素敵な女優さん見つけた!)は妊娠するが、親の同意がないと中絶できないペンシルベニア州から、長距離バスを乗り継いで、従妹のスカイラー(タリア・ライダー:素敵な女優さん見つけた‼その弐)承諾なしに堕胎できるニューヨークへ・・。ー
■感想
・カメラは、オータムの大きな瞳を、頻繁にクローズアップする。そこには、怒り、悲しみ、不安を見事に表現した“瞳”が映し出されている。
ー フライヤーによると、今作でのシドニー・フラニガンが絶賛されているそうだ。それはそうだろう・・、と鑑賞して納得である。ー
・本作では、オータムの故郷の男達は、徹底的に愚かしく描かれている。長距離バスで出会った若き有色人種の若者はどうだっただろう・・。
ー 彼の最後の行動に、同性としてホッとする・・。
<オータムも、スカイラーも学業と併せ、バイトをしている。だが、その金で浮かれて遊んでいる様は描かれない。きっと、生きていくためだろう。
二人にそんな生き方をさせる周囲の大人(特に、オータムの父親)と社会に責任はないのか!という想いと、大都会で力を合わせて難事をやり遂げたオータムとスカイラーの絆が、沁みた作品。
が、何よりも魅力的だったのは、シドニー・フラニガンの大きな瞳出会った作品でもある。>
原題と女性として生きることの苦しさ
原題の「Never Rarely Sometimes Always」の意味が分かるシーンの演技の神々しさと意味合いの深さに号泣。性暴力のシーンは映さないのにここまで苦しい思いをさせてくれるのか。
妊娠の原因にフォーカスしていくタイプの映画なのかなと思ったが…これはいい裏切り。
若者の危うさも描かれているし、女性としての生きづらさを浮き彫りにしている。でも、女性側も男性側をある意味利用してしまうシーンは若いからと片付けていいのか分からないくらい苦しい。
とにかく苦しい。でも観て良かったし見直したい映画。
青春映画
よかった
詳細が語られないので想像するしかないのだけど、前日に『プロミシング・ヤングウーマン』を見たせいか主人公は性被害で妊娠してしまったように思える。僕は養子縁組や里親の活動をしているのでなるべく中絶はしないで欲しいと言う考えなので、最後まで産む選択をして欲しいと願っていた。大都会に行ってもお金がなく居場所もない感じは、学生の時に高速バスで電車の始発の前に時間を持て余した時を思い出す。その上中絶の手術もあるし、とってもつらい。
いい映画なんだけどおしい!
17歳の女性をリアルに描いた映画。少女と女性の間をうまく切り撮って、大げさな演出を省いて仕上げた作品。だからか?物足りない、そこは映画なんだからもう少し感情移入させようとするべきでは。ベルリン銀熊賞なので観に行ったが、冠がなければスルーの映画。見所は、中盤で質問の長回しがとても良かった。
全体的な会話もあまり無く、質問や注意事項など事務的な会話は多いのだが従兄弟どうしや家族の会話などほぼ無いに等しい。その演出はリアルで良かった。
タイトルなし
女子は辛いよ。
オータムみごとに愛想ないねー。
これだけ無愛想だと「無愛想選手権ペンシルベニア代表」になれるかも。
そんな彼女でも妊娠してしまうんだよね。相手は誰だ?ってことは問題にされない。ここ大事。
sexは二人でして、興奮や快感も二人で(or男性だけ)感じていたのに、妊娠は女性にだけ降りかかる現実的なアクシデント。
原題が「全くない、稀に、時々、いつも」っていう質問の選択肢になってるけど、ねぇ女子、sexの合意をきちんと確認できていて、間違いない避妊ができていて、安心して幸せなsexがちゃんとできてる?
邦題の「17歳の瞳に写る世界」って原題と比べると弱い感じがするけど、映画の中で度々アップで映る澄んだ瞳は本当に綺麗。
でも17歳で十分美しくない男どもの景色を沢山写してきた瞳なんだね。
スーパーのゲス店長やキモいナンパ男。
あー、ますます男を見る目が冷たくなっちゃう。
AMERICA2021
いや、2020だっけ?
これは良かったです。多数の賞のAWARDも納得の逸品でした。
2016年のフランス映画「あさがくる」を思い出した。ドキュメンタリーを見ているかのような感覚。無演出・無演技的なタッチで描かれるのは、州境を超え、中絶のためにニューヨークを訪れた17歳の女の子の数日間。
NYで訪れた二つ目の病院での問診が辛い。早すぎる初体験。目的が理解できないセックス。おそらくレイプ。望まない妊娠。誰にも頼ろうとしない17歳は、「処置」の場面だけでは付き添いを望む。
観る人によって、受け取るメッセージが異なるであろう、ストーリー性に乏しい乾いた脚本。良い男性(ヒト)を一人も描かない虚無主義。
セクハラの腹いせにレジの金をポケットに押し込んだ「普通の女の子」は、NYでセックスの一部と金を交換する。必要なのは救いであることを忘れ責める人々の集団の恐怖。下司は優しい言葉で誘いを掛けるが少女たちの悩みには興味が無い。
暗く湿った都会から、手に手を取って逃げ出す17歳。
NEVER:決して目にしたくない事は、
Rarely:「めったに起きない事」と高をくくっている間に、
Sometimes:少しづつオオキクなって行き、
Always:最後は常となる
過去を咎めている様でもあり。
今を憂いている様でもあり。
未来を予言している様でもあり。
結構文学的で好き。
良かった。とっても。
原題の意味が深すぎる
#62 女性蔑視社会がうまく表現されている
Never Rarely Sometimes Always というタイトルが冒頭に出たときは、何の意味かわからなかった。
終始静的で事件っぽいことはスーパーでお金を数えるところでしか起きないけど、彼女たちの背景に何があったのか問診時にタイトルと同じ4つの選択肢が出たときに全て明らかになる。
冒頭の学校のステージでの嫌がらせに始まり、居間で家族でTVを観ている時父親のセクハラ発言、スーパーでの露骨なセクハラ、極め付けはバスで出会ったこの映画のなかったらでは比較的好青年と、女性は常に男性からの性的圧力を受けながら生きている。
いとこのようにそれを逆手に取ってうまく世間を渡り歩くことも出来るが、unconfortableなことには変わりはない。
表向きは高校生の女の子が無責任な行動の末妊娠して中絶する話に見えるが、その背景には根深い問題があるのだ。
少女の苦しみ
こう言う問題は少女だけが苦しむのですよね。親にも友達にも言えず、一人で苦しむ。今回は従姉妹が味方になってくれたし、彼女の行動力があった事で何とかはなったけど。色んな意味で非常に危険な事ですね。
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