「大人達の存在意義」17歳の瞳に映る世界 J24さんの映画レビュー(感想・評価)
大人達の存在意義
答えが一つ一つ丁寧に描かれているわけではないけど主人公のオータムの気持ちや彼女の目に映る社会の姿に非常に没入できるとても優しい作品であった。
主人公のオータムは17歳にして妊娠してしまう。彼女の周りの男性は優しいような人はいない。友達は揶揄ってきたり、父は愛情が感じられずバイト先の責任者はセクハラオヤジ。
そんな環境下もあってか妊娠した事を家族にも伝えられず家族に内緒で中絶をする事を決意し、家族に内緒でできるニューヨークへと渡る。
そんな状況を察し一緒の職場で働く同年代のいとこのスカイラーがニューヨークへ一緒に付き添う事となる。このいとこちゃんの存在が非常に優しくて温かい。
オータムも非常にストレスが重なる状況とあって時にはスカイラーに強く当たってしまう事もあるがそれでも寄り添ってくれたり、ニューヨークでも金銭的に困った時に身体を売る形で金銭援助してもらうなどオータムの為に渾身的な姿が映される。形はどうであれ理想の家族愛の形を感じる。
彼女たちよりも一回りも歳を重ねた今の僕視線で言えばもっと賢い選択があるのもまた事実。ただ17歳という年齢で彼女達は彼女達なりの出来ることを必死に選択しそして時には傷つく姿には心打たれる。
もちろんもっと傷つかない選択肢、トラブルの解決の仕方はあったであろう。
だからこそ大切なのは我々大人がもっと子供たちに寄り添ってあげる事なのであろう。
もちろん彼女達の年齢時期は大人と距離を置きたがりそして自分自身で選択をしたくなる年頃でもある。
ただそれに乗じて大人が子供達と距離を置いてしまうと距離は大きくなる一方であり子供達をリスクある状況に追い詰めてしまう。
やはり常に一定の距離を保ち、気にかけそしてコミニュケーションをとっていくことの大切さを改めて感じさせてくれる作品であった。
ただオータムもスカイラーも今作では必要以上に傷つく事が多かったが、彼女達もこの先何年も生きていくうちにこの傷が成長に繋がることになるのではないか。傷ついた時はそう考え次に生かす事が大切である。
17歳という視点で描いた非常にハートフルで没入できるとても美しい作品であった。