「クッキーだけどドーナツ」ファースト・カウ ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
クッキーだけどドーナツ
カウは出てくるけどカウボーイは出てこないアメリカ西部開拓時代の裏話的作品。冒頭のシーン通り、まさに昔話が掘り出されるというのがうまい。
牛に声をかけながら乳を搾るほどの心優しいクッキーと、未開拓の地でイッパツ当てたろかな人種的マイノリティの野心家リーとの静かな友情が、ブロークバックなマウンテンへ向かうのかと思いきやそんなことはなく(とも言い切れないが)、また、裕福な商人の男たちは酒に浸るのではなくあま〜いドーナツをうまうまと頬張るという、ハズし感があった。激しいシーンはほとんどなく終始たんたんと展開するので、暗めの画面と相まってこっちも少し寝静まりたくなった。
製作は2020年で、キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのリリー・グラッドストーンが出てる作品としてやはり掘り出したという感じ? 劇中のドーナツを見ていたら、子供時代にお袋がホットケーキミックスで揚げてくれた焦げ気味でカチカチの手作りドーナツの記憶も蘇った。牛乳入ってたのだろうか(個人的感傷)。
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