劇場公開日 2023年12月22日

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「案の定、人は容易に幸せになれない」ファースト・カウ フクメンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0案の定、人は容易に幸せになれない

2023年12月31日
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鑑賞方法:映画館

いまいち謎なタンカーの長回しから始まる作品。多分監督に意図はある。
1820年代のアメリカ、西部開拓時代より少し前の時代、オレゴン・カントリー(オレゴン州ではない)での話。
料理の腕は確かだが、機会に恵まれないフィゴウィッツは、料理人として狩猟の一団と行動をともにする中で、謎の中国人キング・ルーと出会うことで人生の転換点となる。それはけっしていい意味ではないのだが。
時代がそうさせたのか、一攫千金を狙い土地の有力者が手に入れてきた雌牛の乳を闇夜に紛れて搾り、盗み取って極上の菓子を作ることとした。狭い土地でのこと、悪事は程なく見破られる。彼らはその後ある結末を迎えることとなる。

冒頭とリンクする切なくなる結末。果たしてあれは誰が、何が、どのようにしてもたらしたものなのか。そこは大きな見どころだと思う。

なお、ちょうど100年後くらいを舞台にした『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でも登場したリリー・グラッドストーンが、またしても先住民族の女性として出演している。本作がアメリカで公開されたのは数年前だが、日本では今となったので、同じ年のうちに2回同じようなキャラクターとして姿を見せたのは、偶然ながら面白かったですね。

フクメン