劇場公開日 2023年12月22日

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「ハイセンスフォークロア西部劇」ファースト・カウ ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ハイセンスフォークロア西部劇

2023年12月30日
iPhoneアプリから投稿

原作があるんだ。ディテールが面白い映画なのでどこまで原作にあったのだろう。ともかく冒頭の現代に掘り起こされる二体の白骨遺体。時代が一気にとんで、ATGの時代劇的な方法論で西部劇が展開される。ビーバー追ってる男と中国人が出会って、いっしょに暮らし、現れた牛の乳を夜な夜な盗んでドーナツを作って一儲けするが、まさかの牛の持ち主に味が気に入られのこのこ屋敷にケーキを作りに行き、、みたいな展開でアメリカ西部のフォークロアみたいな風味の映画。そうそう、今時らしく、インディアンの言葉はしっかりインディアンの言葉でやっていて、あ!と思ったのはキラーズオブフラワームーンのあのリリーグラッドストーンの笑み。やはり品がある。そこからは一気に逃走劇なのだけど、この監督独特の省略でハラハラ感ヒリヒリ感が漂う。ドーナツを買いたくて買えなかった青年がそこで出てくる。
冒頭の並んだ白骨遺体にたどり着く物語で大振りをして、ドーナツ買えかなった悔しい青年を売ってたかと思うとここへ来るのか。そして最後の最後は何も加えず、その先を想像させる綺麗な綺麗な着地だった。

ONI