「かけがえのない友人に出会う奇跡と人生の賭け」ファースト・カウ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
かけがえのない友人に出会う奇跡と人生の賭け
2020年。ケリー・ライカート監督。西部開拓時代のオレゴン。料理人としてビーバーの狩りグループに同行してきた男は、そこで、中国人の逃亡者を助ける。やがて再会した二人は一緒に暮らし始め、ある日、地域にやってきた最初の牛を目にしたことから、危険な賭けに出ようとするという話。
周囲に蔑まれ、恵まれているとは言えない人生を送っている2人の男たち。最悪の状態で出会った2人がともに暮らすことで、一発逆転のチャンスを見出すストーリー。二人で横たわるラスト(と冒頭)があまりに切ない。
第三者に見られたり、見つけられたりすることで主要人物が画面に導入される「客観性」のある落ち着いた表現。状況のなかの個人のありようを丁寧に描いている。同じところにいても別の価値観で別の世界を生きている先住民族の描き方もそつがない。冬のオレゴンの寒さが伝わってくる。
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