劇場公開日 2022年4月8日

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「事実通りだが映画的娯楽性がある」潜水艦クルスクの生存者たち つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0事実通りだが映画的娯楽性がある

2025年6月5日
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鑑賞方法:VOD

ロシアの潜水艦が沈んで〜という映画はフィクションも含めて結構ある。どんだけ沈んでんだよと思うし、ほぼ毎回整備不良的なものが原因だし、ほぼ毎回自国ではどうにも出来ない展開になる。
極論を言えば、人命か機密かの二択を迫られる内容ということだ。

世界大戦のときに始まり割と近年まで、おそらくこれからも、ずっと同じことを繰り返し続けて、それがある意味で「普通」になっていることにおののく。

もう世界を二分するほどの力はないのに、領土に対する尽きない野心のせいで無駄な命を散らすのだろう。
ロシアの仕事をロシアが映画に出来ないことからもみても自省する気もない。
まあそんな映画をそもそも上映出来ないだろうし、作るためには命をかけねばならない。

本作は概ね事実に基づいているようだ。調べると詳細が分かる。
事実に基づく作品は退屈になりがちだけど、この作品に関しては妙なドラマチックさがあって映画として楽しめるものだった(内容的に「楽しめる」は語弊があるが)。

ラストのかささやかな反抗が肝心のロシアには届かないんだろうなと思うと切ない気持ちになる。
そもそも自分たちと同じような感覚(人命を優先するとか)を有してないのかもしれないけれど。

つとみ