「これが諜報活動のリアル」ジョーンの秘密 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
これが諜報活動のリアル
事実をベースにしているせいか、物語は淡々と進行し、007やMission: Impossibleのような起死回生の展開や大どんでん返しは存在しない。
しかし、これがリアルの諜報の世界。
第二次世界大戦の収束への水面下での丁々発止や、列強のパワーバランスとsuper bombの開発競争を知るうえでもとても参考になる。
いまの感覚で考えると、「ソ連に機密情報を提供するなんて、彼女の行為はバカげている」、と思うだろう。しかし、当時の知識人は共産主義国家に現実の世界で実現されるユートピアをみていたし、西側陣営でも戦後の世界平和にソ連の貢献を期待する人も多かったはず。
当時の時代背景や思想を理解すれば、Joanの行動やその理由がみえてくる。
相互確証破壊による核抑止の理論は、暴力的な思考であり一歩間違えば世界の破滅を招きかねない。
しかし、現実の結果だけをみれば相互確証破壊は「機能」してきたともいえる。
劇中で彼女は「私は平和主義者だ」と胸を張って発言しているのが印象的だ。
色恋による調略は、カネ絡みと並んで古今東西の諜報活動にはつきもの。Joanも巧妙な罠にまんまとかかってしまう。工作員がターゲットの暮らしに「潜入」し、時間をかけてじっくりと信頼関係を築いていくプロセスにあらためて驚かされる。
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こころさんのコメント
2020年10月31日
h.h.atsuさん
コメントへの返信有難うごさいます。
平和の為の軍事力、本当に難しいですね。。この作品のジョーンさんの行いも、個人的には軽はずみな判断だと言い切れないと感じています。