バルーン 奇蹟の脱出飛行のレビュー・感想・評価
全31件中、1~20件目を表示
恐怖と不安でとても疲れる作品
初めから終わりまでドキドキ、ハラハラしっぱなしでとても疲れました。映画の中に完全に入り込み、亡命を企てる家族の一員にでもなったかのように錯覚しちゃうほどよく作られた映画でした。
・いきなり気球で亡命(脱出)するチャンスがやってくる。そのスタートから失敗までの過程がもう恐怖。さらにその失敗での証拠を数々残してしたまったことへの不安がさらに恐怖を倍加。
・シュタージの包囲網への恐怖と同時に「市民」の視線への恐怖がいいリズムで襲ってくる。とてもヒリヒリする感覚。
・と同時に、物語は一気に加速していく。シュタージから逃れるためにも亡命は不可避。シュタージとの見えない競争に恐怖。
もう、ラストまで恐怖と不安が容赦なくやってきます。
事実をもとにコンパクトにまとめてはありますが、これ、現実の中にいたら自分の精神状態が保てるだろうか?というくらいすごい作品でした。
それから10年後に世界は動いた
東独から西独へ気球を使って脱出を試みる二つの家族の物語。
事実を基にしたお話のようですね。
設定を読んだ時に「絶対に面白い」と想像ができ、実際に「想像通りの面白さ」だった作品です。
序盤での失敗。しかし、社会主義独裁国家への失望、シュタージの追求の恐れも加わり、改めて脱出を試みます。シュタージの追求だけではなく、兵役の期日から時間的な制約も加わり緊迫感を煽ります。
普通の市井の人々の描き方が秀逸ですね。何気ない視線を監視しているかのごとく描き、当時の東独の特殊性を良く現しています。
また、残して行く家族との感傷も上手に散りばめられていて、物語に深みをもたらします。
クライマックスは上手に緊迫感を煽りますが、それでも「バルーン」。スピードも操舵性もなく、映画のラストとしては少し面白みに欠けているように感じたのは残念なところ。
私的評価は4.5にしました。
空飛ぶ鳥に国境がないように
何年か前、トルコで大枚払ってきゃっきゃしながら乗った気球
こんな命懸けの逃避行に使った家族がいたなんて知りませんでした
彼らも10年後に壁がなくなるなんて知ってたら、こんな危険は冒さなかったでしょうに
ただ、子供や青年にとって監視社会で成長するには10年は長すぎるしとり返しがつかないから親として正しかったと思います
1986年頃、西ドイツに住む友人を訪ね、いわゆる緩衝地帯に連れてってもらった経験があるだけにこの実話に基づく作品には感動しました
自由を求める人間の力強さ
この脱出劇、実際に行われたって!?
信じられない、いや、信じられない・・・
って思うほど、壮大なスケールの脱出劇。
映画を観ているだけでも、これだけハラハラドキドキ。
それをこの主人公たちは、まさに命がけで行ったって。
見つかれば命がない、気球での飛行に失敗しても命が危うい。
それを小さな子どもも一緒に家族で飛行するなんて。
家族の信頼がなければ出来ません。
自由を求める人間の力強さに感服しました。
命懸け
やはり実話ということが最初から分かってるから結末が見えているけど、この作品はそのおかげでハラハラドキドキのシーンがそこまでイライラせずに見れて良かったと思う。
自分たちだけでなく、子供を連れての越境は本当に苦しい決断だったと思う。
でもそこまでしても決行する動機の描写がもっとあれば、もっと彼らに感情移入できたし西に着いたシーンも感動できたように思う。
いつの時代の話?と思いながら。
一言「スリリングでドキドキ&ハラハラ!」
予備知識全くなく見ました。
話は簡単。「社会主義の東ドイツから、自由の国・西ドイツへ脱出したい」。
そんな親子2組が、どうやって成功させるか否か(邦題ネタバレしてるけど)。
①バルーンを作って出発したけど、準備不足で落下。
②アメリカ大使館に助けを求めようとしたけど(亡命)、うまくいかない。
では登場人物たちの次の手は。
③もう一度、バルーンの精度を上げて出発する。
もう一回やるんかい!。
①で捨てていったバルーンや遺留物があり。
③の巨大バルーンを作るにも、生地が膨大に必要。
やばいよやばいよ!。
周囲の人が秘密警察に思えたり、反逆者の尻尾を捕まえようと軍が躍起になったり。
音楽も重たい低音で、「実現しっこないよ」感満載。心臓に悪い。
クライマックスシーンは、なんか泣けました。
自由が当たり前じゃなかった時代も、あったんだねって。
でもずっと考えてました。これはいつ頃の話なんだ?。
ラストは10年後。ベルリンの壁崩壊のニュースに涙する夫婦。
つまりたった40年前くらいの話。
エンドロールの証拠写真や、明るい音楽が印象的でした。
ベルリンの壁崩壊を知っている世代に。おすすめです。
クライマックスはもう少し何とかならなかったのか
序盤から中々のハイペースで緊迫した展開を見せてくれる。それ一辺倒にはならずに家族関係の描写がアクセントになっているし、音楽もうまく盛り上げていていい。
ただし終盤のギリギリのところはもう少し工夫の余地があったと思う。途中の追うもの追われるもののの見せ方が上手かっただけに余計に。
1979年の自分は?と考えると・・・・・・
1979年の実話を丁寧に再現した映画で、エンドロールで押収された気球や作製に使われたミシンの写真やふた家族の写真が見られます。ミシン古かった。よくあんなので、気球を縫えたなと感心してしまいます。あんなミシンでは男の力ではないと、気球の丈夫な布は縫えませんね。
東ドイツから西に命懸けで家族で脱出しようとする切羽詰まった気持ちになれない自分がいます。いまいち実感出来ない歯痒さも感じます。映画のせいではなく、多分にわたし自身の問題です。勇気と信念、綿密な準備と実行力でしょうか。おそらく1975年には父親二人は決心を固めていたと思われるので、そのころのアホな自分や日本をつい顧みてしまいます。
登場人物で最も自己投影しやすいのはロン毛の長男です。お父さんは電気技術者なのでラジオやステレオからは西側の流行がわかり、とくに音楽が刺激的でたまらんかったでしょうね。あの当時の音楽は思春期の兄ちゃんには魅力的過ぎますもん。髪型もそれを物語ってました。お父さんについて行く動機としては充分だったに違いありません。お向かいのお嬢さんにちょっかい出したり、出されたりもハラハラさせられました。ドジな中学生役良かったですね。とても面白かった。大佐役の役者さんがリアルだったから余計にスリル感ましましでした。
お向かいのお嬢さん、絶対親にすぐ言いますよね。
中学生の駆け落ち気分?
その辺はフィクションでしょうが、なかなか面白い味付けでした。
あのお嬢さんも載せてたら、また失敗でしたよね。多分。
ハラハラドキドキ
映画が始まってから最後までハラハラしっぱなしでした。事実を元にしているので結果は思っていた通りだとはいえ、そこまでに至る脚本、カメラワーク等かなりレベルが高いと思いました。最近、ヨーロッパ近現代史に興味がある自分にどストライクな作品です。
文句なしに面白い
文句なしに面白い映画である。ストーリーも映像も音楽も言うことなしだ。暗い夜空に明るく浮かぶバルーンは美しくも危険であり、チェロやコントラバスの低音と打楽器の不気味な相乗効果で否が応でも緊迫感が募る。最初から最後までハラハラし通しだった。
強権が国民を抑圧する東ドイツ。ゲシュタポがシュタージに代わっただけで、監視社会はそのままだ。ジョージ・オーウェルの「1984年」の世界である。おまけに全体主義的なパラダイムが支配的で、人々の中には国のためという大義名分で怪しい人間を通報する者も少なからずいる。密告を誇らしい行為だと思いこんでいるフシもある。
反体制的な言葉は身の危険を招くから、本音は心の奥深くにしまっておくしかない。信頼できるのは家族と、ごく少数の知り合いだけだ。息が詰まるような暮らしの中で、ごく当たり前のまっとうな精神性を持った家族たちが主人公だから、自然に感情移入する。
序盤で家族の置かれた息苦しい環境を紹介し、賭けに出た夫婦の失敗からさらに追い詰められていく場面を見せられ、不安に胸を締め付けられながらの鑑賞となる。一方で監視する側、取り締まる側にも焦点を当て、同じように窮屈な思いをしながら取り締まりをしていることも解る。当時の東ドイツは庶民も役人も抑圧されていたのだ。少数の非人間的な指導者のおかげで、誰もが声を上げられないでいた。
互いに不幸な人々が取り締まる側と取り締まられる側に分かれて、緊迫のチェイスを繰り広げる。家族は逃げ切れるのか。そんな中で家族のドラマあり、小さな恋の物語ありという盛り沢山の内容が無理なく詰め込まれていて、とても濃厚な作品になっている。事実に基づく物語であるところも含めて、リアリティはこの上ない。
映像と音響が非常に優れているので、映画館で観ないと損をする作品である。まだ観ていない人は、上映期間が終わらないうちに観たほうがいい。この大変な傑作映画の上映館が少ないのは、映画ファンにとって不運だと思う。
自由を求める家族と追いつめる秘密警察
冷戦真っ只中の東ドイツで、気球を使って西ドイツに逃げようとした家族の物語。
当時の東ドイツがどんな社会だったのかが結構ポイントになる気がする。そういう意味では自由がない中での生きづらさ、窮屈さみたいなものがもう少し描かれてもよかったかも。秘密警察への恐怖や周りの人間に対する不安や不信は結構怖かったけど。
多少強引でも推し進めないといけない計画、じわじわと追い詰めてくる秘密警察の恐怖、予期していないトラブルの発生…。この手の逃走劇には必須の要素がきちんと盛り込まれていて安心できる内容。正直西ドイツについたー!って感動はそこまで味わえなかったが、ラストの雰囲気も含めてじわじわと感動を味わった。いいラストだ。昔観た「遠い夜明け」っぽいシーンだったな。
愛の不時着ならぬ、魂の不時着!
ベルリンの壁の崩壊をニュースで見ていた世代には、
特に観て欲しい秀作!!
西への憧れ、命がけの飛行、家族愛、
全てが絶妙なテンポで疾走します。
ヨーロッパ映画はなんか退屈で不条理で苦手、、
な人にも、おすすめな社会派エンタメ!
家族を追い込む秘密警察のリーダーを
演じた俳優、トーマスクレッチマンが、
旧東ドイツ出身でハンガリーなどを経由して
西ドイツへ脱出していたことが感慨深い。。
@東宝日比谷シャンテ
平和であることの幸せをあらためて実感。
現代日本に生きる私たちには、命を掛けてまで行う「亡命」に走る彼等の想いは、到底想像すら出来ない。
作品は、バルーンで飛ぶ当日から始まる。
なぜこの家族は2年も掛けて危険を犯しながら準備を始めたのか、それは語られていないが、幼い息子に「真実すら自由に言うことが出来ない。それがこの国なのよ。」と語る言葉に生活の不自由さが伝わってくる。
ただ、一度目の失敗の際、白い布で作られた気球の明るいこと!夜空に明るく浮かび上がる姿に絶対見つかるだろう^_^;と思ったら、別の理由で失敗に終わった。
捜査の手が忍び寄るなか、二度目(最後)のフライト。
所々に、えっ、それはまずいでしょ!と突っ込みたくなることも多く、、実話ならではの素人感が出てて、それがまたハラハラさせてくれる。
・・・物語の10年後に東西統一、ベルリンの壁が崩壊。それがどれだけ多くの方達に待ち望まれていたことか、あらためて理解できた気がする。
先々週の土曜日に鑑賞 この日は、 新宿シネマート→恵比寿ガ...
先々週の土曜日に鑑賞
この日は、
新宿シネマート→恵比寿ガーデンシネマ→WHITE CINE QUINTO→渋谷HUMAXシネマと4つの映画館をはしごしたせいか、ラストの本作品を観る前に疲労感が、、、
だったんですが、本作品が予想以上に面白く(時代背景や実話ベースということを考えると面白いという表現は語弊があるんでしょうけど)125分間全く飽きず、観終えたときには疲労感が爽快感に!
1989年にドイツ分断の象徴とも言えるベルリンの壁が崩壊し、翌年1990年に東西ドイツ再統一を果たすわけですが、
本作品はドイツがまだ分断していた1979年の東ドイツのお話し。
国境を越えようとして失敗すれば国境警備隊に射殺され、生活も一見自由さもありそうに見えてもシュタージと呼ばれる秘密警察や密告の目が光る時代。
同じ日に観た「マルモイ」もそうでしたけど、監視体制の下で生きてゆくことの不自由さは今では計り知れないものがあったんでしょうね。
と、少し重苦しく書きましたが、本作の主軸は別のところにあって、主軸となる部分の描き方がなかなかしびれる展開なので気負わず観られました。
決して派手さは無いんですけど、堅実な作りの中にドキドキするようなシーンが盛り込まれていて緊迫感があるんですよね。
幼稚園の先生とかホテルの部屋とか、、
後半はある意味競争でハラハラです。競い合う相手が相手だけに緊張感もあるんですよね。この相手となる方、どこかで見覚えがあると思ったら「タクシー運転手 約束は海を越えて」のドイツ人記者役を演じたトーマス・クレッチマンさんでした。
邦題イマイチ感ありますが、もう少し上映館を増やしてもいいのにと思える良作でした。
手堅い
ドイツ制作らしい真面目な映画です。笑いの要素は全くありません。気球ものの映画は偶然なのか、去年から今年にかけて数作、上映されてますが、この映画は東ドイツの国境越えと言う、当時では見つかったら最後、殺されるという事実を元に作られてるので、なかなかの緊迫感が有ります。それぞれのキャラもいかされており、なかなかよくできた映画でした。
全31件中、1~20件目を表示