セノーテのレビュー・感想・評価
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水中をゆく魂の浮遊のようなカメラの動きに陶酔感すら覚える
とても不思議な、現実なのか幻なのかわからぬ夢を見ているようだった。これはドキュメンタリーというよりは一つの映像詩と呼ぶべきものかもしれない。かつてマヤ文明の時代より地域住民たちの貴重な水源だった洞窟の泉(セノーテ)。元々は隕石が衝突した後にできたものらしいが、人々は生贄をささげながらこの聖なる場所を大切に受け継いできた。その生贄が深く深く水中に沈んでいく先に、黄泉があり、“あの世”があるのだという。本作の監督は自ら泉に潜ってカメラを回し、天上から光や水滴が注ぐ幻想的な光景を克明に映し出す。これらにあどけない少女たちの言葉が重なると、一連の映像がさながら“魂のさまよい”のように思えてくる。と同時に本作は、マヤの古典的な詩や演劇のテキストを用いることで、この地の歴史や文化に深く寄り添い、その精神性の内部へと深く深く潜りこんでいく試みでもあるのだろう。全く新しい“語り”の手法がそこには存在した。
ひたすら青の世界
ドキュメンタリーということで、地元の人達の日常も出てくると思っていたが、殆んど、ひたすら青いセノーテが延々と続いた。ちょっと単調であったが、あの鮮烈な映像の連続と独特の水中音のミクスチュアは、とても新しく、どこか懐かしく、近年稀に見る貴重な映像体験だった。 観ているうちに、気がついたら頭の中が青いセノーテの水中と同化していた。 あまりに気持ち良くて、途中から睡魔に襲われてしまったが、あの独特の水中音が、かつて胎内にいた頃の記憶とリンクしていたのかもしれない。 途中から登場する地元の人達は、表情のアップだけでなく、何気ない日常の風景もあった方が良かったと思うが、敢えて潔く殆どセノーテの青の世界に集中したことにより、ドキュメンタリーを超えた何か強烈にリリカルな印象を放つ作品になったのかもしれない。 強いて言えば、ラストの方で何か、もう一工夫あれば、もっと良かったと思う。 出来れば、毎晩、寝る前に観たいので、是非ソフト化を期待したいところだ。
地下の世界を体験する映像
小田監督アフタートーク付きにて鑑賞。地下の世界を体験するドキュメンタリーで映画と絵画の融合が素晴らしい。ユカタン半島に点在しているセノーテを見事に映像化していて記録が記憶に変わる神秘的かつ独創性のある作品。 2021-17
セノーテという題材が魅力的過ぎる!が…
セノーテはかつては現世と黄泉をつなぐ場所とされていた。 なるほど確かに。この世のものとは思えない、自然の摂理が重なりあって生まれた神秘的なこの空間はそう言われても納得してしまうほどの美しさだ。 しかし眠すぎる。ずっと幻想的な水の中でカメラを回し、時々入る現地の人々の優しい囁きも相まって心地よすぎる。なので観客は現世と夢の世界を行ったり来たりする体験をすることになる。とにかく眠い。つまらない訳ではなく、興味が湧かないからでもないが、とにかく眠い
自分にはあまり響いてきませんでした
美しいであろう映像の美しさがそれほど画面からは感じられず、外国語の詩としらない固有名詞がたくさんあって、理解するのが難しかったです。あくまで現地の音にこだわったような構成だったように思えましたが、その効果を感じるまでには至らなかったです。
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