「ひとつ屋根の下で暮らせば他人も家族」宇宙でいちばんあかるい屋根 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとつ屋根の下で暮らせば他人も家族
血の繋がりは関係ない。「夫婦はもともと他人」当たり前のようでその言葉にはっとさせられた。
少し前に「家族という病」という言葉が流行したように、みんな家族というものにそれぞれの悩みを抱えている。相続における血縁トラブルや一人親家庭の社会問題が広がり、離婚・再婚・事実婚・同性婚と婚姻関係の多様化も進み、拡張家族のように家族のあり方も見直される現代に、本当に大切な人と人のつながりを考えさせてくれる作品。
その家族の象徴が「屋根」なんだよね。同じ時間・空間をともにすることでその絆は築き上げられていく。でもどこが一番ではなく、いろんな色や形がありそれぞれに違った灯りがある。
藤井道人監督は、そんな温かいメッセージの映画を丁寧に優しく紡ぐ。だからこそ、ファンタジーもチープにならずにリアリティのある物語に仕上がっている。
そして「表情」と「間」をとても大事につくられている。この映画においては清原果耶の存在が欠かせない。彼女の顔のアップが印象的につづき、それだけで見事に表現している。
またストーリーの大事なポイントを敢えて描かずスローな展開なのに、突然起こす緩急で最後まで飽きさせない。そして最後に大きく表示されるタイトルがすっしりと腹落ちする。
最後に、桃井かおり演じる星ばあの染み渡る言葉を紹介する。
「やってから後悔しなさい」
「時間を気持ちよく使いなさい」
「本当に大事なものには近づいてはいけない。この距離がいい」
コメントする