劇場公開日 2020年9月4日

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「エレガンスとテイクオンミー」宇宙でいちばんあかるい屋根 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エレガンスとテイクオンミー

2020年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 社会派映画監督の藤井道人がファンタジックな家族ストーリーを描くとは思わなかった。それでもどこかに社会問題を問題提起いるんじゃないかと目を凝らしていたら、エレガンスやテイクオンミーに目が行ってしまった。DVというのもあったけど・・・

 注目の10代女優清原果耶が主人公で、隣人大学生・亨にほのかな恋心を寄せ、血の繋がらない母親と父の間に子どもができたことで疎外感を味わっていた。学校では誰かのいたずらで掲示板にビッチなどと書かれていたりする悩みもあったつばめ。そんな彼女の前に突如として現れた老婆「星ばあ」に徐々に心を開くようになっていく物語。

 年くったら何でもできるようになるんじゃよ。不思議な婆さんを演ずるのがかつてのセクシー女優桃井かおり。彼女がこんな婆さん役をやるようになるなんて自分も年をとったもんだと感じると同時に、樹木希林の後を継ぐのは彼女しかいないなどとも感じました。

 ほおずき、クラゲ、糸電話、キックボードとえんじ色の屋根。色んな伏線が綺麗に回収され、水墨画のDNAだけは受け継ぐんだと、家族の温かさと同じく気持ちいい涙があふれてきた。そして、血の繋がってない家族だって家族に違いはないという『万引き家族』にも通ずるテーマも隠されていました。

 つばめのひと夏の成長物語。特に他人を思いやる気持ちは素晴らしいほど輝いていた。亨へのリハビリ手伝いや星ばあへの想い、最も泣かされたのは母親への気遣いであり、その坂井真紀の反応にダブルパンチで泣かされる。

kossy
CBさんのコメント
2021年7月4日

> 樹木希林の後を継ぐのは彼女しかいないなどとも感じました
ああ、観てるとそんなこと感じますね。おんなじ部類な感じだし。

CB
ゆり。さんのコメント
2020年9月14日

普通、書道教室のシーンって退屈になりがちなのに、楽しかったです。この映画の言葉選びが好きです。「時間は気持ち良く使いなさい」なんて素敵なセリフもありますが、私的には、教室の女性の「もれちゃうんですぅ~、エレガンスが。」とか、星ばあとつばめの会話「…ねえ、なずな」「つばめです!」なんかがキャラをよく表してていいなあと思いました。

ゆり。
カールⅢ世さんのコメント
2020年9月8日

あっ、イーグルスの曲では、やっぱり
Take It Easy でしょう。間奏にバンジョーが入ります。
ジョー・ウォルシュが入る前はカントリーロックバンドでしたからね。でも、そこがすごくいいですよね。

カールⅢ世
カールⅢ世さんのコメント
2020年9月7日

Kossyさん、
こんばんは。
コメントありがとうございました。
バンジョーの旋律はあまりカントリーらしくもなく、ブルーグラスらしくもなく、よくわかりませんでした。でも、うるさくはなかったです。
やっぱり、大学生のバンジョーはブルーグラスだと思いますが、この映画での旋律からはまったくそれらしいものは感じられませんでした。
アタシのいとこの子どもが大学生になって、音楽サークルに入って、バンジョーを買わされたと法事の時に聞いて、いとこがブルーノートだというので、それはブルーグラスでしょと言ったら、やっぱりおじさん:(故人)とあんたは違うと厳しく裁断されて、イヤーな思いをしたことを思い出してしまいました。どっちが悪いのかはkossyさんに委ねます。
ハードロックの曲をアコースティックギターやドラム、ピアノ、フィドル、コントラバスだけでやるとすごく気持ちいいです。ボーカルが旨いことが前提ですが。
この映画はそれだけじゃなく、いいセリフがいっぱいありました。
星ばあ(桃井かをりねぇさん)が晩節を汚さないで長く映画に出られますようにと祈ります。

カールⅢ世