「極上の構図!!」宇宙でいちばんあかるい屋根 フットさんの映画レビュー(感想・評価)
極上の構図!!
予告編をさわったり、タイトルがしかり、これは邦画が得意とするベタなファンタジーだというのは大半の人はわかるハズ。だから「んな・・馬鹿な・・」「絶対ないっしょ・・」はクリアできる人でないと、ただのウザトい映画にしか見えないと思う。一応大手放送局や東宝松竹系フルプロデュースでないんで、ラストまでナンボの綱渡り作風からは逃れられた一品。
原作未読だし、高評価の藤井道人作品も初めてで偉そうなことは言えないが、やはり家族蘇生の話本体は思惑通り退屈。最後もこうなるかな?も2005年設定ではじまった時から、大体読める。朝ドラ除く映画では初主役となる清原果那の台詞回しも驚くほど上手くないし、期待してた久々適役が来た桃井かおりも思ったほど弾けなかった。
でも劇中不思議に涙がぽろぽろ出るんだ、これが・・・・
んん・・・何だろ話に泣かされてる訳でなく、誰が可哀想とかでもなく・・・
一つ一つの「はいスタート」「はいカット」までのワンコマ・ワンコマの構図が絶妙に素晴らしいのである。それも人物のアップの撮り方が最高にいい。だからしゃべらなくても、つばめが大粒の涙をこぼすとき、星バアが悲しい表情を見せるとき、亨がダメな姉をバイクで追うとき、誠がえんじ色の屋根に入るとき・・・・
それぞれのキャラクターの心情を見事に捉えている。
原作があるから大胆な脚色は出来ないが、これなら主人公をしゃべれない設定にして、最後の糸電話を奥深いものにしてほしかったかな・・・・清原果那ちゃんの涙だけで全てを語れますよ、これ。あの病院での、つばめと星バアのシーンは最高に絵になる場面だった。
満点にならないのはせっかく時代設定したのに現在は最高の水墨画家になったとしか描かない部分。もう少し余談だが危ない姉ちゃんの行方とか、書道講師とエレガントの行方とかプチ回収してほしかったかな(笑)
縁があって今日イオン調布の一番大きいウルティラで観れたのは収穫!全国的に100席前後の箱だろうな・・これ。話がもっと「湯を沸かすほどの熱い愛」なら拡大ヒットになるんだろうが・・・・
ま、藤井道人という才能に出会えましたんで、遅かれじこれからNetflixで復習します。(現点で全作観れる!!)