佐々木、イン、マイマインのレビュー・感想・評価
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奇跡みたいな時間が続々と目の前を通り過ぎていく映画。
現代のパートも過去のパートも、決定的な瞬間や事件はほとんど描かれない。どこかからどこかへと向かう途中の時間をすくい上げて、その時間にある豊かさやかけがえのなさ、宙ぶらりんのリアルさなんかをみごとにシーンに昇華させている。終盤はちょっとまとめに入ってしまった気はしたし(ラストはまとめないぞというまとめだとも言える)、映画内で描かれる演劇がダサめなのが気になったりもしたのだが、それにしても、素晴らしい演技と撮影によって緻密に生み出された現実の揺らぎみたいなものが随所で立ち上ってくるので、終始スクリーンから目が離せなかった。贅沢な体験でした。
あと鈴木卓爾。佐々木の父親をあのビジュアルとあの声のトーンで演じたセンスと佇まいに心から震えた。いい演技だらけの映画だけど、とりあえず2020年の助演賞は鈴木卓爾一択でいいんじゃないかと思ったりしました。
爽快感のある熱量
高校の同級生4人組。その中一人、佐々木という
面白く、滑稽な人物像を現在と過去
回想させながら進んでいくストーリー。
佐々木の家庭環境は複雑で母親も居ない。
父親はたまに帰宅するだけ。
強がって生きているし、その寂しさの現実を
忘れる為に面白くしていたようにみえる。
佐々木と悠二の時折見せる表情。
儚くて尊くて寂しいだよね。
佐々木の『できるからやるんじゃないだろ、できないからやるんだろ』は素敵な言葉。
あの4人組が線路沿いを自転車で快走する
シーンは青春。
カラオケでナンパする佐々木も可愛い。
本当に最後を上手に纏めた。
あの佐々木が飛び出し、苗村がクラクションを
鳴らす姿も良かった。素敵な女優さんだと思い
後で調べたら河合優美さん。色々な役をこなして
売れてきて嬉しい限り。
爽快感のある熱量と佐々木コール。
内山拓也監督の才能を感じる映画でした。
友人と久々に再会した時の、お互いの近況を探り合う嫌な感じが見事に表現されている
学生時代の友人と久々に再会した時の、お互いの近況を探り合う嫌な感じが見事に表現されている。私も昔は役者を目指してたのでユウジにめっちゃ感情移入できた。ユウジと住んでる駅まで一緒でビックリ!
「最近何してるの?」久々に会った時の一言が辛いんだよねー。しかもそれが大した仕事もしてなくて独り身だったときは言いにくい...。(今の私がまさにそれ)
全編静かで特に大事件起きるわけでもないのに、台詞、表情、間、すべてがリアルで突き刺さる。面白いとかつまらないとかではなく、不思議な余韻が残る映画だった。
来年新年会で友人たちと集まったときも、「最近何してるの?」って探り合いがはじまるんだろうなぁ。自信を持って今の近況を報告できる友人は何人くらい居るだろうか。
ほんのりと切なく、タバコ臭く、元気をもらえる作品
なあなあで大人になってしまったんだろうなあという主人公の今と、決して華やかではないが仲のいい4人組で過ごした青春時代の回想が交差しながら、作品は終点へと向かっていく。大人の主人公も、回想の中の佐々木も触れたら爆発してしまいそうな、どこか危うい雰囲気を漂わせていた(佐々木は大人になってもだが)。
佐々木が死んで、元カノとのお別れを決意し、まるで爆発したかのようにロンググッドバイのセリフを叫びながら走り出す主人公。そして最後に爆発したかのごとく飛び出す佐々木。それに拍車をかけるようになされる佐々木コール、車のクラクション。最後のシーンが現実なのかフィクションなのか定かではないが、いずれにせよ彼らの心の中にはいつだってどこかに佐々木が、今にも服を脱ぎだしそうな、そんな躍動感のある「いきた」状態で存在していることの表れなのではないかと感じた。
明るく元気でお調子者で、でもどこか心の内に秘めた思いを抱えている佐々木。私が中高生の時にいたお調子者は、本当にただのバカだったのか、それとも…、などと当時を想起しながら、男子特有の青春に淡い憧れを抱いた作品であった。いつか私も自分自身へのさよならへとたどり着けるよう、えらいスピードで進んでいく世界についていけるよう、頑張って生きようと思う。
それにしても主人公がめちゃめちゃ喫煙者。画面越しにタバコのにおいが服に染みついた気がする。
ただ無為に過ぎる時間!!
色々な青春があって良いと思いますが、知識や教養への信奉が無くただ無為に過ぎていく青春は自分にとってはしんどいです。ストーリーは起承転結や何かしらの問題解決が無いと、観る人に何を伝えたいのか良く分かりません。グダグダしていたら最後に佐々木が死んで、やっと始まった感じでした。
back to the 青春、それから
男子高校生の青春を佐々木を中心に描きながら、悠二(主人公)の回想という形で物語は進んでいく。
共学の方ならわかると思うのだが、こういう男子(佐々木)いたなぁと思わすシーンが多く、思わずニヤけてしまうシーンが多かった。その一方で青春の瑞々しさと現在の悠二の対比は、大人になれば誰にでも感じる不自由さ、不甲斐なさをよりいっそう際立たせていたと思う。最後の佐々木の死と裕二の劇中のセリフがリンクしてベタだが「生きる」という決意は胸がアツくなった。
しかし、これはあくまで佐々木が過去になっている人向けの映画なんだとも感じた。いいヤツだったが家庭の事情で高卒でフリーターで地元に残る。
視聴者それぞれの「佐々木」が映画のようになっているイメージをもつことでいい映画とされているのではないかと思った。
P.S.佐々木のモデルはまさに佐々木を演じた細川岳さんの実際の友達をモデルにしているとのことです。
学生時代のヒエラルキーでどこに属していたか
この脚本は「桐島、部活やめるってよ」系譜な、学校の主人公じゃない自分達が、話の主人公という設定でした。
学生時代、ヒエラルキーのどこに属していたかによって受け取り側の評価は分かれると思いますし、さらに、ノリが全然違う学生時代だったとなると、全く合わない可能性がありそうです。
登場人物の人達は、とても深堀されていて良かったです。会話が嘘くさくなかったです。なんでってということもありましたが、人生ってそうですよね。
私の友達に、まさに佐々木キャラがいます。
彼の人生も今まさにそんな感じです。見ていて本当に辛さを感じました。最後は自殺の方が話の展開的には良かったんじゃないかなと思いましたね。
かなり心が辛くなりますけど。
それにしても丁寧に作られているな、という印象を受けました。オススメです。
異様なまでの明るさで
佐々木の死は消極的な自殺だ。夢も希望もない暮らしの中で現実を直視するのが恐ろしくて異様なほど明るく振る舞う姿が痛々しい。
赤ん坊を抱くシーンは、消えていく命と新しく生まれる命を目の当たりにした裕司が感情を溢れさせる感動の場面なのであろうが、嫌がる子供をいつまでも抱き続けているのが不自然で、こちらを泣かせようと狙っている感じがしてしまった。
誰しもの記憶の中にいるであろう、明るい笑顔のあの人も、もしかしたら人には言えない孤独を抱えていたのかもしれない。
俺の人生にも佐々木がいたかもしれない
面白い映画を探すときによくYoutubeで映画系ユーチューバーさんが投稿している「今年の映画ベスト5」みたいな動画を参考にするんですけど、本作は「2020年の映画ベスト5」に数名の方が名前を挙げていた作品でした。
めっちゃ見たかったんですけど地元の映画館では上映していなかったため、DVDのレンタルが始まった今のタイミングでの鑑賞になりました。内容に関する事前知識はほとんどありません。YouTubeで本作を紹介している動画をいくつか見ましたが、やはりネタバレを気にしてか内容に関する話をしている人はいませんでしたね。
結論から言えば、かなり私に刺さりました。
高校時代の友人に、本当に佐々木っぽい人がいたので凄い既視感がありましたし、感情移入して観ることができました。果たして彼は本当に「クラスのお調子者」だったのか、「集団心理で道化を演じていた普通の学生」だったのか。今の私にはもう分かりませんが、ふと思い出してしまいました。
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俳優を志して上京したものの全く芽が出ず、仕事も恋愛も上手くいかずに自堕落な日々を送っていた石井悠二(藤原季節)。ある日高校時代の友人である多田(遊屋慎太郎)と再会したことをきっかけに、高校時代にクラスの中心的人物だった友人の佐々木(細川岳)のことを思い出す。悠二は役者の後輩に誘いを受けて舞台に出演することになるが、舞台の内容が高校時代の記憶とリンクし、段々と佐々木との日々を思い出していく。
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完全に余談なんですが、鑑賞中に悠二の元カノとして登場する女の子がめちゃくちゃ可愛くて「どこかで見たことあるな」とずっと気になっていました。鑑賞後に調べてみて分かりましたが、『街の上で』で自主製作映画の監督をしてた映画サークルの女子大生の高橋さんを演じてた女優さんですね。萩原みのりさん、名前覚えました。
高校時代に仲良しだった友人グループの一人に再会したことで高校時代を思い起こすようになった石井。クラスの中心人物で高校時代の友達グループの仲間でもあった佐々木との思い出を思い起こし、それが現在の自堕落な石井に重なっていく。物語の構成が面白かったですね。
作品の雰囲気としては大きな盛り上がりどころは特にない生々しい日常を切り取ったような感じです。先日鑑賞した『街の上で』も似たような雰囲気の作品だったんですけど、『街の上で』はお洒落気取りで独特な雰囲気と全く笑えないのに妙に尺が長いギャグシーンが個人的に全く理解できなくて苦手でした。しかし本作『佐々木インマイマイン』は男子高校生のバカバカしいノリとか意外に繊細な男子高校生のメンタルとか、そういうのが共感できて個人的に刺さりましたね。雰囲気は似ているしレビューサイトでの評価はどちらもかなり高いんですけど、ここまで個人的な評価が違うというのは私自身も驚きです。もしかしたらこの手の作品は、観客のバックグラウンドによって評価が全く異なるんじゃないかと思い知らされました。
非常に面白く、パワーのある作品でした。結構賛否分かれそうな描写もありますが、刺さる人は多いと思います。オススメです!!
期待してただけに…。
よさそうと思いすぎてただけに、ちょっと肩透かし。
こういう感じのストーリーであれば、仲良しだけじゃなくて、異質な暴力に無力になる感じとか、東京に打ちのめされる感じとか、青臭い恋愛とかの要素もあってほしかったかな。
賛否両論かと思うけど、佐々木再登場以降はリアリティに欠けすぎ。
沖縄の話も邪魔。喧嘩のシーンも普通はああいうタックルを受けて、また受けて、みたいなのは無いよね。彼女と一緒に葬式もないし、車が誰のものかもわからんし、走っていける距離に斎場があるのもなんだかな。特にあのラストは無い。最後のあれはもちろんのこと、あの友達の女性の立ち位置がおかしい。なんだかなという印象。ただ、エンドロールは良かった。
ラストに全て持っていかれる作品
今も頭の片隅に佐々木コールとクラクションの音がこびりついている。
瞼を閉じれば、あの線路脇の道路を駆けていく悠二の姿が浮かびあがる。
この作品の素晴らしさはラストシーンに詰まっていると思う。
佐々木の葬儀の場面からエンドロールまでの一連の流れは、日本の映画史に残ると言っても過言ではない程、胸が張り裂けそうになるような演出だ。悠二が学生だった頃に佐々木、多田、木村と4人で走っていたあの道を、逆走することで前進する姿、走るスピードが増すに連れ、そこに重なるように響くラップのような台詞も次第に力強くなる。彼がようやく過去の自分を消化し、佐々木に言われた言葉を噛みしめ、前を向き走っていく、その姿に胸が熱くなった。
私もクラクションの音にかき消されながら、泣いた。マスクがびしょびしょに濡れた。
最後に、舞台に上がる瞬間の、真っすぐに前を見る悠二の表情が眩しかった。ずっと俯き加減で前髪で顔を隠していた彼が、明らかに成長した姿を描き、朝井リョウ原作の「何者」のエンディングにも通じるものがあった。
「好きな事やれよ、お前は。」
今からだって遅くはない。私達は生きている限り、何でもできるのだ。
地方都市での佐々木なりの葛藤
虐めで脱がされているわけでなく、自ら佐々木コールで楽しそうに裸になって踊る佐々木。自分の存在価値をそこに当てている佐々木は自分の父が亡くなった直後も登校してきて佐々木コールをうながす。切ないくらい不器用な生き方の佐々木みたいな男って確かに学生時代にいたと思います。大人になってもそういう男を心の拠り所として思い出す。地方都市での報われないスパイラルは山内マリコが描きそうな世界だ。
ただハードルを上げすぎて観てしまい、そこまで響くことはなかった。特に役者を目指し上京し売れずにもがき苦しむ藤原季節演じる悠ニは中二病としか思えない描かれかたが惜しい。
粗いとはいえ二十代監督がこんな作品つくるのだから、将来は末恐ろしい気がする。
佐々木のかっこよさ
俳優を目指し上京するもうまくいかず、
同棲中の彼女ともうまくいかず、
何もないままバイトに勤しみ、27歳となった悠二。
そんなある日、高校の友人・多田と再会し、
高校時代ヒーローだった友人・佐々木のことを思い出す。
高校時代いつも一緒にいたのは多田と木村、そして佐々木。
放課後には4人でバッティングセンターに行き、佐々木のゴミ屋敷の家で遊んでいた。
その何気ない日々だが、佐々木との会話を思い出しつつ、舞台出演が決まり、稽古に励む悠二。
佐々木の抱えている悩み、悠二の悩み、舞台稽古など過去と現在がシンクロし、悠二は進み出す。
最後には衝撃の結末が。
佐々木はクラスのお調子者みたいな存在。
オモロいことがあれば、何でもネタにしそうな感じ。
ただそんな奴が案外一番口が固かったり、自分のことよりも家族や友達のことを考えている。
それだけで佐々木の人柄が見えてくる。
これは悠二目線、悠二の回想だからそう見えるのかもしれない。
しかし、他の人の目線で見ても、そう見える気はする。
木村目線で見ても、描かれてないが、実はそうなんじゃないかと思えることも。
佐々木を演じた細川岳が脚本も担当し、高校時代の友人である佐々木という実在の人物をモデルとしつつ、最後はフィクションであるという事実を打ちつけてくる。
佐々木がカッコいいという映画かと思ったら、全く違う想像を超える映画だった。
同い年、同じようなことを思うこともあり、響く映画でした。
佐々木はかわいそう
in my mindという意味を考えると「佐々木について、私が思うこと」というのが訳語になるのかな?
高校の男4人の仲間、佐々木、多田、木村、ユウジ。20代も後半、ユウジは役者を目指すも、鳴かず飛ばずで、別れた女とダラダラ同棲を続ける。多田と偶然出会うことで、高校時代に強烈な印象残した佐々木を思い出す。
佐々木は「佐々木コール」で全裸になり踊り出す、お調子者。昔、クラスに必ず一人はいた「男には絶大な人気があるが女の子には嫌われる」タイプ。リアル死ね死ね団ですね〜。
筋立ては「役者や元カノに未練タラタラでモラトリアムに生きるユウジの青春の終わり」ですね。多田はしがないセールスマン、木村は一児のパパとなり、大人の世界へ踏み出している一方、まだ定まり切らないユウジ。ユウジの心の友であり、モラトリアムの象徴である佐々木を思い出し、佐々木が死ぬことで、前に進む
改めて考えると、佐々木ってのが救いがない。高校時代に仲が良かった父親を亡くし、卒業後はパチプロ。せっかく、気の置けない友達ができたと思えば、ガンで死んでしまう。全くの道化として、死んでしまう訳です。そんな佐々木を「面白いんだけど、ちょっとヤバイ奴」と変に常識ぶって卒業後は疎遠となっていた訳ですね。
佐々木の葬式の前夜、ユウジはそれを後悔して、口にしようとすると、多田から「誰も悪くないんだ」と遮られる。ラストシーンでの「佐々木コール」は、そんな道化としての佐々木、救いのない人生だった佐々木を受け入れて、その死を祝福しよう、って、ちょっと残酷だが、グッとくる。ユウジが役者への道に向き合おうとする姿勢は、佐々木への贖罪な訳ですね。
演者は良かったですよ。ユウジ役の藤原季節は最近、主演クラスが増えてきましたし、来年が楽しみです。ユウジの同棲相手役の萩原みのりは「37セカンズ」以来ですが、この子は美形過ぎるんで、とんがった役かヒロイン級でないと目立ちすぎ。
クラスのマドンナ役の小西桜子は、私の中で今年の新人女優賞ですね。ファンシー、初恋、映像研と大活躍でした。この子は、どんな役でも出来るので、この先が楽しみです。
彼のことどう見てたのかな
観終わった後ザラっとした感触が残った。爽快感を予期していたので意外ではあったが、それをしばらくなぞって味わうのも映画の面白さの一つ。
佐々木がもう少し魅力的な人物だったらなぁ。そこが一番引っかかった。みんな彼のことどこか下に見てたのか?
別れた後も同居を続けるユウジと彼女。そういうズルズルした関係はまぁわかる。けど他に気になる人がいても出て行かなくて佐々木が死んだ時に地元までユウジに同行する彼女ってどうなの?
お互い割り切っているならともかく、男がまだ自分に気持ちが残っていることわかっていてヨリを戻す気が無いならさっさと出て行けよ、って思ってしまった。
苗村さんの行動もよくわからなかった。
急所急所を突いてくる多田には好感。
舞台劇とリンクさせているところや演劇的な演出は好きだし俳優陣の演技は男優女優共にとても良かっただけに設定の軟さ、脚本の甘さが残念。
悪くはないんだけどね。
ラストの〝あれ〟も想像力を大いに掻き立てられます
もの凄く心を動かされて
伝えたくなることがたくさんあるはずなのに
自分の語彙ではうまく表現できず
もどかしくてたまらない。
今年の2月に衝撃を受けた『37セカンズ』の時と同じ感覚で満たされてます。
悠ニも佐々木も訳ありの家庭であることは分かるが、敢えて説明的な描写はしない。今の日本の社会では既に〝普通の家庭〟の一形態である、として監督は捉えているのだと思う。
だから、誰にでも起こり得る養育者(両親とは限らない)との葛藤やそこで生じる鬱屈を解放させる手段として学校や友人関係の前で見せる振る舞いが、決して〝特殊な事情を抱える特定の人の奇異な振る舞い〟ではないことが痛いほど伝わってくる。
おそらく、はき出すことで楽になりたいと思い、後悔の気持ちを分かち合おうとした悠二に対して、機先を制するように多田が言った言葉……「誰も何も悪くない」
多田は居酒屋でも悠ニに言ってました。
「久し振りに会ったオレにそう思われるのって、そもそもどうなの?」(正確ではないけどこんな感じでした)
同期にひとり、漏れなく多田がいて欲しい。
そう思わせるいいキャラの男です。
他にも思い出すとジワッとくるシーンやセリフがたくさんありますが、私のお気に入りは、
「やっぱりナンパになるのかな」
「ナンパ…ですよね」
主要な男4人は勿論、女性3人も皆んなそれぞれの魅力が存分に発揮されていて、ストーリー的に停滞しかけそうなところでも、スクリーンへの集中力はいささかも減じません。
たぶん、思い出すたびに追記が増えていくと思いますが、今日のところは取り敢えず。
けっこうよかった
監督が五泉市生まれ亀田育ちで挨拶のムービー付き上映。こうして地元出身の人が頑張っているので応援したい気持ちになる。とてもまっすぐな気持ちが表現されているのだけど、アイディアの面白みが今一つなのと、登場人物が役割以上の個性があまりなくて、色で言えばみんながみんな薄い青みたいな感じだ。佐々木も、ゴミ屋敷で暮らして全裸になって騒ぐばかりで、もう一つか二つ何か魅力を感じさせるものが見たい。絵を描いていたようだけど、それとなく表現されているだけで、もうちょっと掘り下げてもよかったのではないだろうか。
青春って、なんだっけかね。
スーパー久しぶりにこっちにも感想をあげます。。
青春、ってなんだっけかね。
個人的にはとても羨ましいな、と感じる響きの言葉「青春」。もう僕は30歳も超えて、青春なんてもんはとうの昔、15年以上も前の話なんじゃないかと思っていた。
「佐々木、インマイマイン」を見てその考えが少しだけ揺らいでしまった。
佐々木、という男がいる。
共学の高校の男子クラスメイトから人気があるようで、唐突な"佐々木コール"、「佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!オイ!オイ!オイ!オイオイオイ…」と持て囃されると、着ている服を脱ぎ去り素っ裸で机の上で男子生徒に囲まれ踊り狂う。
それはいつでも「佐々木コール」が掛かればすぐに始まる。
女生徒が先生を呼んできてもまっぱのままマッハで逃げる。
こんなクラスメイト、自分の過去にも…いや、誰のどんな人の過去の「青春時代」に居たのではないかなって感じた。
もし自分が同じクラスメイトなら苦手な部類の人間だったろうし、関わろうともしなかったかも知れない。
だけど、いつのまにか見ているうちに、自分が佐々木の1番の親友であろう、「ユウジ」に投影してしまっていた。
ユウジは学生時分から全て後回しにしてしまう。彼にとっては、育った家庭環境、が1番関わっているのかも知れないけど。
自分の家庭が「特殊」、「普通じゃない」ことは社会に出てから気付くけど、そんな人間がうじゃうじゃいる。
逆に安定してる家庭に生まれ育って何不自由ない暮らしをしてきた人間の方が絶対少ないはずだと思う。
僕個人もめんどくさい、適当がいい、と後回しにする節が多いし、買い物は決め切るくせ、人生の判断は迷って迷ってグネグネしっぱなしだ。
だからこそ、ユウジのおばあちゃんの言葉や、佐々木のド直球の、変に根拠のあるようでない、わけわからないけど納得してしまう言葉達が刺さってきた。
ユウジと演劇の演出家との喫煙所の会話。
「一人でいても孤独を感じるけど、誰かといても孤独を感じれる生き物なんじゃないかな?それを表現できると思うんだよ、ユウジ君は」
そのセリフを聞いた瞬間に、森山直太朗の"悲しいんじゃなくて寂しいだけさ"や宮本浩次のカバー集の中の色んな曲が頭にかすってグウッと心を掴まれてしまった。
クラスの中でおちゃらけてはしゃぐ奴も、人気者も、真面目な子も、オタクな子も、まして生徒会長も、心の中で家庭の中でも寂しさ、孤独を感じていたのだろう。それを今、思い返すと甘酸っぱく、「何で自分は同級生のへらへらとした、腐っているように見せていた彼らを、悲観した目で、心で、見ていたのだろうな…」と恥ずかしくなっていた。
この気持ちは忘れてはいけない。忘れられないだろう。ふと感じる悲しさや切なさ、季節で変わる気の持ちようだって。
他愛もない毎日だけど、心の中の"佐々木(同級生)"がいつだってはしゃぎ、心を押してくれる気がする。
馬鹿やってるやつだって悩みがたくさんある。
家庭環境うまくいってないかも知れない。
それでも、自分の幸せをなんとか手に入れようとしていた。
俺なんかが普通の仕事なんかできないって!と言い、パチプロになっていた佐々木。
佐々木が言う通り、「役者」になったはいいが泣かず飛ばずでよくわからない工場で石鹸の外箱を作る末端な仕事をしているユウジ。
毎日は続くけど、なんとかして暮らしている二人が何となくつながって見えた。
佐々木だって、ユウジだって、元カノのユキだって、多田だって、孤独の真っ只中なんだなぁ。
正直、ここのところコロナ禍の影響で相次ぐハリウッド作の延期の数々、自粛、そして自分自身の体調や仕事面での苛つきもあったりで
邦画やアニメばかりの公開作品がもうウンザリしだしていた。
もっとハリウッドの何も考えないでもスッと入ってくるような素晴らしいスターがスクリーンで燦々と輝く作品が見たいんだよ!
と思っていた。
だからって、アニメも邦画も大好きなんですが。
侮っていた。侮りまくっていた。
前情報何も入れず、ただただ、Twitter上の映画垢の色んな人が良作だ、見て良かった、と口を揃えていたものだから。
こういう口コミは大抵、いや、9割当たりなんだ。
まんまとしてやられました。
ありがとうございます。
今の自分にとてもとても必要な作品でした。
鑑賞してもう2日経ってますが、余韻が続いています。
自分の青春は、自分で勝手に終わらせてしまっていたのかも知れない。
まだまだいけるはず、だ。
そのコールがあればまた立ち上がる。そう信じてしまう。そんな「変な納得させる力」がある佐々木という奴。そんな奴がみんなの心にいるのかも、だからこその「イン、マイ、マイン」なんだろうな。
珍しく感想が長くなりました。
わかりやすい、自分が「興に乗ると筆が走る」のがw
圧倒的熱量。
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売れない俳優で別れた元恋人と同居中の悠二が高校の同級生と出会ったことからかつての親友佐々木との日々を思い起こす話。
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こういう話は私は女なので『mid90's』みたいにあんまり感情移入できないかなと思って見たんだけど、圧倒的な佐々木のパワーと音響でこっちの心の奥をガンガン揺すってくるのでなんとも言えない気持ちになった。あ、これたぶん『ミッドナイトスワン』みたいに語彙力なくなるやつだ、と(笑).
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女子からしたらあの佐々木たちの馬鹿騒ぎは何が楽しいか分からないのかもしれないけど、幸か不幸か私は女子校に通っていたのでそれに近いものの楽しさは知っている。(まぁ全裸になる人はいないけど笑)
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なんであんなにギャーギャー大声で騒ぎたかったのか、の答えを佐々木が教えてくれた気がした。
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そして佐々木の言葉一つ一つがとにかく心にくる。私は「パチ屋に朝から並んでおっさんと会話してると、俺もこのおっさんみたいになるのかと思うと死にたくなる」ってセリフが1番うわあってなった。
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そして佐々木のあの陳腐な死に様。かつて父親を待ち続けたあの家で1人で死んでいくその時どんな気持ちだったんだろう。クソみたいな人生でも、佐々木は悠二のヒーローだった、それだけで佐々木の人生は勝ち組だよ。自分にもヒーローがいて、自分も誰かのヒーローでありたいと思った。
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