「これからの日々」43年後のアイ・ラヴ・ユー MARさんの映画レビュー(感想・評価)
これからの日々
昔の恋人がアルツハイマーのため介護施設に入ったことを知った主人公のクロード。自分を思い出してもらいたく、自らもアルツハイマーのフリをして介護施設に入る物語。
本筋じゃないが、初っ端、友人のシェーンとお互いに飲んでいる薬、おススメの薬の話をするクロード。出だしからクスリとさせられるやりとり。
アルツハイマーのフリをして介護施設侵入とは中々大胆なクロード。シェーンとのやり取りからも、毒舌&コミカルな性格だとわかるが、昔の恋人リリィを見つけた時の嬉しそうな表情がとても印象的。
以降、楽しそうに過ごす姿を見ていると、このまま思い出さなくても充分良いんじゃないのとすら思えてしまうが、当人からすればやはり二人の思い出をね…。
「もう〇殺?」などと笑わせてくれるブラックジョークを挟みつつ、クロードの強い想いが感じ取れる展開。こんなに誰かを想えるなんてのはとても幸せなことかもしれませんね。
やっていることは言ってみれば犯罪だけど、入居から退去までのやり口とか地味にうまく作りこまれている本作。
それと同時に、大切なのはこれまでの43年間ではなく…ですよね。シンプルな感想ですけど、そんなことを思わせてくれた作品だった。
欲を言えば、泣かせにくるなら、ホームの他の住人との関わりを深く描いてほしかったかな。
塩のお爺さん、ギターのお爺さん、スパイお婆ちゃん、スタッフ等々…皆良キャラっぽかったので。
また、リリィは勿論、シェーンもクロードにとって非常に大きな存在だなぁと。
長く愛せる想い人もそうだけど、その間にもずっと側でやり合える親友の存在ってでかいですよね。
さらにさらに、嬉しかった出来事が!!
鑑賞前に、偶然家でEmbraceble youの練習をしていたところ、まさかの本作のメインテーマ!!
数あるジャズスタンダードの中、何という偶然だろうか!