「【”我が愛を疑う事なかれ” 男は初恋の女性は幾つになっても忘れない生き物なのである。そんな頑固で偏屈だが、心優しき男をブルース・ダーンが、絶妙に演じています。】」43年後のアイ・ラヴ・ユー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”我が愛を疑う事なかれ” 男は初恋の女性は幾つになっても忘れない生き物なのである。そんな頑固で偏屈だが、心優しき男をブルース・ダーンが、絶妙に演じています。】
■冒頭、妻を亡くし、独り自由に暮らすクロード(ブルース・ダーン)が、タブロイド紙の囲み記事で、「名舞台女優、リリイ、アルツハイマーのため、施設に・・」と言う記事を読んだ際の彼の表情。
- このシーンで、二人の過去の関係が直ぐに分かる。-
■序盤、クスクス笑ったシーン
・クロードが、リリィの施設に入るために、隣人でクスリ競争をしている友人、シェーン(ブライアン・コックス)の協力の基、施設の面接に臨むシーン。
- 良い年をして、おバカである・・。又、二人のクスリ競争(どれだけ、クスリを服用しているか競争・・)も、ラストに絶妙に効いてくる。-
◆巷間で屡、言われているように、歳を重ねても、女性は概ね元気だが、男性はみるみる精気が無くなる人が多い・・、という事は、この二人にはないね!
幾つになっても、何でも言える親友の存在は大切だなあ、とふと、思う。
■印象的なシーン
1.クロードが、漸く会えたリリィを見る優しい眼差し。話しかける際の、柔らかな口調。 入所時のドタバタ騒ぎとは別人である。
又、彼が彼女に無理に過去を思い出せようとしない所も良い。
施設の庭の二人掛けの椅子に座り、昔の写真を見たり、クロードが大切に保管していた手紙をリリィが読む姿を見るクロードの、嬉しそうな顔。
- さりげなく送る百合の花束、お気に入りのCD。リリィが身に纏う、薔薇の花柄が印象的な数々のワンピースも素敵である。-
2.孫娘タニアの協力により、起きた奇跡
イロイロと手を回し、本来慰問に来るはずの劇団をキャンセルさせ、タニアが密かに思いを寄せる青年が主催する劇団を呼び、リリィの且つての十八番であった、シェイクスピアの「冬物語」を演じさせるシーン。女性がセリフに詰まった際に、リリィが”自然に”舞台に立ち、スラスラとセリフを口にする姿を、客席から驚きの表情で観るクロードの姿。
そして、万雷の拍手の中、幕が閉じられ、クロードが舞台に上がり、リリィの鼻先にそっとキスをするシーン。
- リリィには、夫がいる事を施設内で目撃していたクロードは、唇ではなく鼻先にキスをしたのである。紳士である・・。ー
<且つて愛した初恋の女性への想いを、ブルース・ダーンが絶妙な演技で魅せる作品。
序盤はコミカル要素を塗しながら、後半は心に沁みるシーンに移行していく作品構成も良い。
ラスト、クロードが施設を去る際の、人々とハグするシーンや、リリィの夫と交わす会話もとても良い。>
◆クロードの娘セルマの愚かしき夫が、クロードの男としての器の大きさを見せる反面教師として、効果的な存在でもある・・。
■蛇足
・私の初恋の女性は元気かなあ・・。私の転校で、離れ離れになってしまったけれど、夢だと言っていた婦長さんに、なれたのかなあ・・。
等と小学生の時の彼女の事を思い出し、それ故に、クロードのリリィへの優しい眼差しが染みた作品。
30年近く経っても、初恋の女性は忘れ難いのである。
私だけであろうか?