「これはアルコール片手にツッコミながら観る映画っすよ」ドクター・デスの遺産 BLACK FILE といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
これはアルコール片手にツッコミながら観る映画っすよ
アマゾンプライムで鑑賞。酷評します。
これを真面目に観る方が間違ってる。劇場に観に行かなくて良かったと心底思う。
昨年(2020年)の年末に公開された映画ですが、多くの映画レビュアーさんから非難囂々の問題作。映画系YouTuberさんなどは「2020年ワースト映画ランキング」という映画ランキングを出す人も多いですが、複数の映画系YouTuberさんがワーストランキングにランクインさせていました。内容はほぼ知らない状態での鑑賞ですが、期待値はめちゃくちゃ低かったです。
早速結論ですが、噂通りの酷い映画でした。ある意味期待通りです。
私はこの映画をアマゾンプライムで鑑賞しましたが、劇場でお金払って鑑賞していたらブチ切れていたかもしれません。途中まで観て「あ、これはダメだな」と真面目に観ることを諦め、一時停止して酒を片手に矛盾点にツッコミいれつつ観たら結構面白かったので、この映画観る時はアルコール片手に観るのが正解かもしれません。
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ある日警察に「父親が殺された」という少年から通報が入る。重い病気を患った父親の元に正体不明の医師が訪れ、その直後に父親が亡くなったという。犬養隼人(綾野剛)と高千穂明日香(北川景子)の刑事バディが捜査に乗り出したところ、終末期の患者に発生する連続不審死事件の裏には、安楽死を請け負う「ドクター・デス」と呼ばれる殺人犯がいることが発覚する。
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矛盾点を挙げればきりがありませんし、不満点を挙げるなら「全部不満」なので、要点を絞ってお話ししますね。
設定は面白いですし、原作の中山七里さんの小説はかなり人気があります。私は原作は観ていませんが、原作を読んだ人のレビューで「原作と全然違う」とか「安楽死についての解釈が陳腐化している」というのを見掛けましたので、「日本映画の悪いところが出ちゃった映画なのかな」と思います。重いテーマを扱った原作の表面的な部分だけを掬い取ってメッセージ性が薄っぺらくなるとか、原作には無いエンタメ要素を蛇足のように継ぎ足しして安っぽいところとか。
特に本作は「安楽死」「尊厳死」という重いテーマを含む作品です。なのに終盤でドクター・デスがただの快楽殺人者になってしまっているのは完全にテーマを理解せずに脚本書いているとしか思えません。原作ファンの方が言うには、原作では終末期の患者が疼痛などの苦しみや介護や治療費で家族に掛かる負担から解放されるために、自ら安楽死を望むという展開になっているそうです。それ故に、劇中に高千穂の言う「この事件に被害者はいるんですか?」という台詞が活きるのです。
それなのに本作では最後には「安楽死ダメ絶対」という安直な結論に収まってしまっているのはいかがなものかと思います。オランダやルクセンブルクなど、最近は安楽死を合法化する国も増えてきている昨今の情勢から鑑みても、「安楽死ダメ絶対」という安直なメッセージは物語のテーマの的を射ていないです。
そしてラストシーンで首筋に注射器を突きつけられて犬養が人質となるシーン。(アルコール片手に鑑賞していれば)一番の爆笑ポイントです。犯人に銃を向けるが「動くと犬養を殺す」と言われて手出しできない高千穂。この絶体絶命の場面をどのように突破するのかと言えば…銃を投げ捨てて犬養もろとも犯人に蹴りを食らわせるという展開。これ笑わない人いるんですか?ギャグシーンであれば最高に面白いんですけど、これはシリアスなラストシーンですので0点ですね。
映画ファンも原作ファンも低評価だし、おそらくターゲット層にしているであろう綾野剛や北川景子などの役者目当ての人たちからもイマイチ評価が低い。「(役者名)さんが見られたから満足」と言いながらも脚本やストーリーにダメ出しするレビュアーさんも見受けられます。
まだまだ文句言いたいところはあるんですけど、このまま続けると全部のシーンに文句言うことになっちゃうんでこのくらいにしておきます。久々に「映画館に観に行かなくてよかった」と思える作品でした。全くオススメできません。