「【"痛みのない死は、本当に家族にとって幸せな事なのか・・”「嘱託殺人」「安楽死」という重いテーマをキーにしつつ、”究極の家族愛”をサスペンス要素を絡めて描き出した”エンターテインメント作品”】」ドクター・デスの遺産 BLACK FILE NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"痛みのない死は、本当に家族にとって幸せな事なのか・・”「嘱託殺人」「安楽死」という重いテーマをキーにしつつ、”究極の家族愛”をサスペンス要素を絡めて描き出した”エンターテインメント作品”】
ー元看護士、雛森めぐみを演じた女優さんの序盤の”ボサボサ頭で、養鶏場で働く姿”に最初、誰だか分からず・・。
そして、”か弱き”雛森めぐみと刑事、犬養(綾野剛)との、取調室での遣り取りが、後半のストーリー展開に効いている・・。
実は、レビュータイトルに”美しい”と言う言葉を入れたかったのだが、観る人が見ればネタバレになるので、回避。-
■印象的なシーン且つ物語構成
1.犬養の一人娘、沙耶香が重い腎臓病を患い、ドナー提供を待っておりながらも、病院で、沙耶香の仲良しのオセロの強い少年にズルをする父に少しオシャマに掛ける言葉。
ー犬養が、妻を亡くしている事もさり気なく映し出される・・。犬養がドクター・デスを”薄汚い殺人者”と罵る気持ちが、良く分かる。
が、この言葉が再後半、物語を”大きく”動かしてくるのである・・。-
2.ドクター・デスにより、完治しない病に侵された家族の命を且つて、ドクター・デスに委ねた5人が語るドクター・デスの顔の特長。出来上がった、全く違う5人の初老の男の顔。
ーここから、捜査陣の”人間心理を読み切った”ドクター・デスの本当の顔を探り出していくプロセスが面白い。ー
3.出来上がった似顔絵を見て、”何だ、犯人を演じた役者さんは〇〇さんじゃないか・・。けれど、深川監督がそんなに簡単に、ストーリー展開するわけがないよなあ・・”と思った方は多いのではないかな。(除く、原作既読の方)
4.”真の”ドクター・デスの”厳かな”登場シーン。(ここで、”そんなに綺麗に着飾る程、お金なかったじゃない!”とか言わない・・。)
”痛みのない死は、本当に美しい・・”と、自己陶酔する姿。
-完全に、狂気に侵されている・・。ドクター・デスが、カルト団体の教祖に、一瞬見える。-
5.ドクター・デスが、沙耶香を”マインド・コントロール”しようとするシーン。
-怖い、怖い・・。あの、”美しき微笑み”が逆に相当に怖い。
且つ、”この方って、こんなに凄み有る演技をするのだ!”と、瞠目する。ー
6.けれど、ドクター・デスのマインド・コントロールを沙耶香は、”父を想う気持ち”で何とか、懸命に解く。
-父親としては、沁みるシーンである。そして、ここからのスリリングな展開も面白い。-
<家族の大切な思い出の場所を ”そのような事に使うな!”
と思いつつ、”物語展開、構成の面白さ”に一気に引き込まれた作品。
けれど、一番印象的なのは、真のドクター・デスを演じた方の”美しくも、凄みある、狂気を帯びた顔”であった作品でもある。>
■蛇足1
・東山紀之さん、大丈夫デスか?
■蛇足2 -あるレビュアーの方のレビューに対してのコメントを、敢えて記載ー
今晩は。そして、初めまして。
”最近も安楽死事件があった後だけに考えてしまう。決してこの映画は悪くない。”
同感です。
只、他のこのレビューサイトを牽引している方々が仰っているように、そして、〇〇さんのレビュータイトルにも書かれているように、重いテーマに対する”解”を求める鑑賞側(私も鑑賞前は、そうでした。)には”軽い”と思われるのかな・・”とも思いました。
私は、”ドクターの思想と重い病の子を持つ親との齟齬の物語”として、序盤の後半から鑑賞スタンスをやや変えて観ました。(ズルイかもしれませんが・・。そして、ドクターの思想がキチンと描かれていればとも思いました。)けれど、私はこの作品はとても面白かったと感じました。
【映画とは、観る人の鑑賞前の作品に対する期待や、諸々の事情により、鑑賞感想が変わるという”当たり前の事”を久しぶりに感じた作品でもありました。だから、”映画は面白いのだ”とも思いました。】
では、又。返信不要です。
ー何故、わざわざこのコメントを記載した理由は明確で、”自分の考えに同調しない人を全否定する思想”が、大嫌いだからである。以上。-