「シリーズものの性か」ワイルド・スピード ジェットブレイク ろびんさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズものの性か
これまで、本シリーズはスーパーコンポ以外は観たことがあり、何度も観直すほど大好きです。
唐突ですが、今作の特徴は以下の4点かと思います。
1.ド派手なカーアクション
2.ドムの過去
3.再登場を果たした懐かしの登場人物たち
4.今後の展開へのつながり
以上の点について自分なりの感想を書いていきたいと思います。
まず、カーアクションについてですが、シリーズを通してもっとも大切な要素だと思います。そんなアクションシーンですが、良く言えば過去作に負けず劣らず観客を興奮させる出来でした。本作には新しく車×磁力や車×宇宙という新しい要素が盛り込まれており、「ワイスピはどこまで行くんだ…?」と思わず思ってしまいました。ただ、裏を返せば過去作以上のクオリティとは言い難く、宇宙に飛び立つというコンセプトも、あくまで「車」を題材とした作品としては飛躍しすぎていてなんだか興醒めでした。そのうち普通に空を飛んでドッグファイトでも始まるのか、と思ってしまう。そんなカーアクションでした。
次に今作のストーリーの根幹となるドムの過去と新キャラクタージェイコブについて
今作にはドムの実の弟という設定でジェイコブというキャラクターが敵役として登場しました。彼のキャラクターとしての背景は良くできていて、ドムとの因縁というストーリー展開もよくできていたと思います。所々に過去の回想が入ることで、ドムとジェイコブそれぞれの視点から出来事を描写してくれたので感情移入しやすく、ストーリーに深みを与えてくれたと思っています。
さて、問題は次の再登場キャラクターについてなのですが…正直残念でした。
今作には3作目「TOKYO DRIFT」に登場したショーンとトゥインキー、そして名前がわからない同級生が出てきました…が、しかし…。
あの時は健康的な青年だったショーンは痩せ細り、髪の毛も後退気味ですし、トゥインキーはぶくぶくとした体型で…シリーズを通して老けを感じさせないドムといると、なんとも言えない。時系列的には3作目はかなり最近の話のはずなのに、たった数年で何が起きたんだ?という感じでした。
また、重要キャラとして復帰したハンですが、「やっぱり生きてました」というのは本当に冷めてしまう。それをアリにしてしまうとあらゆる設定がいらなくなる。実はジゼルも生きてるんじゃないですか?って考えてもいいわけですしね。脚本の一部もハンの再登場を前提として作られている感があり、どことなくチープさを感じてしまった。ドムとジェイコブの話はよくできていただけに、キャラクターありきの脚本がその良さを邪魔していたように思えます。
この手の「キャラクターを再登場させる」というやり方は近年色々な映画で見られますよね。代表例はスターウォーズ新3部作だと思いますが、「昔のキャラを出せば過去作のファンが食いつく」という考え方はシリーズ全体をチープにしているように思います。
最後に今後の展開についてです。ラストシーンではトレット家に集まってバーベキューをするお決まりのシーンがあり、そこにはショーンやトゥインキーをはじめ、サントスもいました(レオはなぜかいない)。これは次回作以降もトーキョードリフト組が続投するということなのかもしれないと思いました。実現したら、是非ショーンのドリフトを観たいですね。
そして、ミアの隣の席に座るためにやってきたのはあのR34でした。GT-Rといえばブライアンです。ブライアンを演じたポール・ウォーカー氏はすでに亡くなっていますが、VFXを駆使して再臨するのか?とわくわくしてしまいました。まぁ、それなら最後に顔を出すはずなのでないですかね…。
長々と書いてしまいましたが、こんなに書けるのもこの作品が今まで積み上げられてきたシリーズの歴史の上に立つ作品であるからだと思っています。長い歴史を持つ作品だからこそ、そこにはファンを惹きつける魅力があるし、私のように「もっとこうしてほしい!」なんてわがままを言うファンもいるわけですよね。いつまでもこのファミリーの物語が続いていくことを願っています。