「誰も信じちゃあくれねぇぜ。20年前はストリート・カーレース映画だったのに…」ワイルド・スピード ジェットブレイク 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
誰も信じちゃあくれねぇぜ。20年前はストリート・カーレース映画だったのに…
“9台目”となる爆走カーだが、さすがにコロナには勝てず、約1年3ヶ月ほど急停止。
満を持して、アクセル全開スタート!
奇遇にも、シリーズ誕生20年。
恋人レティと息子リトル・ブライアンと共に、人里離れた地で穏やかに暮らすドム。
そんな彼の元へ、お馴染みの仲間とある報せが。それは…
おはよう、ドムくん。今回の任務を伝える。
世界を掌握出来るデジタル装置“アリエス”を空路で輸送中、ミスター・ノーバディが何者かに襲撃され、墜落した。君らにはその装置の回収をお願いしたい。
またこの件には、あのサイファーも裏で関わっているという…。
健闘を祈る。
尚、このメッセージは自動的に…は別にして、
初期のストリート・カーレース感は完全にコースアウト。
今回も世界的陰謀テロにドムらが立ち向かう、“ミッション:インポッシブル”なアクションに。
墜落現場で、装置のパーツを回収。
すると、そこへ軍隊が。追撃や地雷源をくぐり抜け、逃げ切ったドムらの前に現れたのは何と!
ジャン=クロード・ヴァン・ダム!…じゃなくて、ドムの実弟、ジェイコブ!
ドムには弟がいた…!
装置を奪い去ったジェイコブ。彼の目的は…?
ドムへ憎しみすら向けるジェイコブと、複雑な面持ちのドム。
彼ら兄弟の過去に何があったのか…?
ド派手なアクションと並走して、“ファミリーの絆”を描いてきた本シリーズ。
今回は尚更。
ドムと初登場ジェイコブの実兄弟。
その過去…。
レーサーだった父。そのメカニック担当だったドムとジェイコブ。
あるレース中、目の前で父が事故死…。
てっきりライバルレーサーに妨害され…と思っていたが、実はその死には、ジェイコブが関与していて…。
以来断絶した筈の兄弟(ファミリー)の絆。
それが思わぬ形で立ち塞がる。
同じ血を分けた兄弟。肉親同士、話し合いで解決…は、どうやら無理そう。
拳と拳でガチンコ対決!
ジェイコブを演じるは、人気プロレスラーで近年は俳優としても活躍するジョン・シナ。
その体格、タフガイっぷりはヴィン・ディーゼルと並んでも全く見劣りせず。
『ワイスピ』は肉弾戦も魅力。vsドウェイン、vsステイサムに続き、vsシナもド迫力!
シリーズお馴染み、新顔、そしてまさかのカムバック!
愛し、信頼し合うドムとレティ。
いつもながらのコメディ・リリーフのローマン。遂には自分らを、“不死身”とまで…!?
世界の危機であり、ドム兄弟の危機でもある。ドム兄弟の事を知る助っ人として、妹ミアがカムバック!
ヘレン・ミレンもデッカード・ママ役で前作に続き出演。出演シーンはまるで、“クィーン”?
前作未決着の敵、シャーリズ・セロン演じるサイファーも再び。ジェイコブ、某国独裁者の息子で秘密工作員のオットーと組んで、ドムらと再戦。
しかし今回、最大のサプライズなのが…
6作目『~EURO MISSION』でデッカードに殺されたかと思ったハンのカムバック!!
以前にも死んだと思われていたレティが生きていた!…なんて事があったが、他にも見せ掛け死亡はすっかりこのシリーズの定番。ご都合主義、こじつけ、無理矢理感はあるが、それでもやっぱり嬉しいサプライズ。
そんな彼と行動を共にする謎のアジア系少女、エル。彼女こそ、アリエスの“鍵”を握る…。日系女優アンナ・サワイが大抜擢。
他にもシリーズカムバック組(監督ジャスティン・リンも)、カート・ラッセルのとある新撮映像、ガル・ギャドットの過去映像、エンディングにはあの人物登場…回を重ねるにつれ、どんどんキャラと輪が拡がっていく。
だけどやっぱり、アクション!
序盤からいきなりスパイ任務のようなドムたち。
でも…、充分迫力はあるが、序盤~中盤はちと物足りなかった。ドムの過去にフォーカスとは言え、それほど深くは無く、全体的な話はいつもと同じ、ダラダラ長さを感じ、新味にも欠けた。
1年3ヶ月の間に埃を被っちまったか…?
しかし! クライマックスのアクションで魅せてくれた。
ジェイコブとオットーは遂にアリエスを手に入れ、エディンバラの街中を巨大装甲車で移動しながら起動。しかもアリエスは、ある場所から発動する。そこは…。
世界を股に駆けて来た本シリーズ。今回も違和感ありまくりの日本を始め各地を走り、時には空を走り、氷上も走って来た。
前作のレビューで、次はいよいよ宇宙じゃね?…なんて、冗談で書いたけど、ハイ、その通りです。
アリエス発動の衛星を止める為、テズとよりによってローマンが宇宙へ! さて、どうやって行くかは、内緒。まあ勿論、ぶっ飛んだ方法。
にしても、ストリート・カーレースが宇宙に…。誰も信じちゃあくれねぇぜ。
地上で装甲車を食い止めるカーアクションは、一転して重厚感ある一番の見せ場。
市街地チェイス、クラッシュの連続、車上で繰り広げられる肉弾戦、強力磁石を利用した車の引き寄せ…毎度毎度、見せ場とアイデア尽きない。
そんな危機でも確固たる“ファミリーの絆”で挑むドムたち。
が、敵の方で決裂が…。ジェイコブは端から棄て駒。
そんな彼の手を離さなかったのは、言うまでもない。
はっきり言って、こういう展開になる事は分かり切っている。
先述したが、ドラマは深くない。が、熱いのだ!
それこそ『ワイスピ』の魅力だろう。
ド迫力のカーアクション! 『ダークナイト』を超える装甲車のひっくり返し!
荒唐無稽! やり過ぎ感! 宇宙にまで行っちゃった!
単純明快! でも、痛快! スカッと魅せてくれる!
お約束の“昨日の敵は今日の友”。今回は訳が違う。兄弟(ファミリー)の絆が再び…。彼もまた、シリーズ参戦してくれるだろう。
闘い終えてのバーベキュー。あの空席は、域な計らい。
『ワイスピ』は10作目となる次がいよいよラスト。
サイファーとの決着。
エンディングで、カムバックしたあの人物とシークレット出演のあの人物の対面!
監督やキャストの続投。
2部構成。
様々な布石を張り巡らして、ラストレースからまだまだ目が離せねーぜ!
おはよう、ドムくん。今回の任務を伝える。
↑ほんと、それ!上手い、上手い(笑)
本作は酷評しちゃいましたが、とりあえず本日、ファイヤーブースト観てくる予定ですw