劇場公開日 2020年6月20日

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はちどり(2018)のレビュー・感想・評価

全135件中、41~60件目を表示

3.5観終わると不思議な清々しさがある

2020年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 観ていて決して愉快な映画ではない。男尊女卑、学歴偏重、画一的な価値観、封建主義といった韓国の理不尽な面をこれでもかとばかり見せつけられるシーンの連続である。精神的に不自由な人々ばかりの中で、唯一自由な精神性を持っているのが塾の漢文教師ヨンジである。主人公の中学二年生ウニが惹かれるのは当然だ。
 ウニは9階の他人の家のドアチャイムを10階の自分の家と間違えて何度も押すような頭のよくない子供だ。学校では英文がうまく読めないことから、成績が悪くてクラスメイトから蔑まれている。わりかし可愛い方の部類だから不良になる条件は揃っているが、ウニがグレずに済んでいるのは漫画が好きで、描くのに時間を割いているからだ。
 ウニは思春期らしく異性と仲よくしてみたり同性のひとりを親友として付き合うが、結局は恋人である自分、親友である自分という自意識を満たしているに過ぎない。そして誰に対しても優位であろうとする。嫌な感じなのだ。特にキスのあとで唾を吐くシーンは最低だった。思いやりの欠如だが、現実を受け止めきれない弱さも露呈している。
 自分が間違えたことは黙ってやり過ごすが、他人が間違えたせいで機会を損なうと、赤の他人でも面と向かって非難する。ひとつの情報だけで行動を決めてしまう中学生らしい浅薄さと、自分を正当化したい自己愛性パーソナリティ障害の現れである。日本の前首相と同じ病気だ。なんのことはない、理不尽な状況を作り出すのにウニ自身も加担していたのだ。
 救いがない訳ではない。状況が理不尽であることや自分も理不尽のひとつなのだということをウニ自身が自覚しつつあるフシがあるのだ。どんな状況でも自由な精神性を持つことができることはヨンジから学んだ。ヨンジと出逢う前と後では、ウニの表情が違っている。あとは断捨離だ。親友という名の悪友を捨て、彼氏という名のクズ男を捨てる。
 ラストシーンではウニはすでに自意識の束縛から自由になりつつあることがわかる。そしてウニが変わることで家族も変わる。本作品はひとりの中学二年生の女の子の成長物語であると同時に、家族の成長物語であり家族関係の変化の物語でもある。だから英題が「HOUSE OF HUMMINGBIRD」なのだ。一切の美化を排除したシーンづくりは、19世紀の自然主義文学に通じるようなところがあると思う。観ている最中は不愉快で苦しいのに、観終わると不思議な清々しさがある。この作品が高い評価を得ている理由が少し解ったような気がした。

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耶馬英彦

4.5世界中のキム・ボラのための物語

2020年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人は、他者からのまなざしで
自分を意味づける。
だから、だれともつながれないウニは
自分の事が好きになれない。
自分の中に、ただむやみに広がる空洞をかかえる。

ようやくつながれたヨンジ先生をも失うことは
永遠に消えない喪失感を刻み付ける。
先生との関係は突然断たれ、この映画は唐突に終わる。
ある意味、救いのない物語でもある。

だけれど、ウニにかけられる言葉が優しい。
「自分を好きになるには、時間がかかると思う」
ヨンジ先生のこの言葉は
キム・ボラ監督が、12歳だった時の自分に向けた言葉に違いない。
そして、その言葉を発したヨンジ先生は
自分のことを好きになっていく過程でもがく監督自身である
と受け止めることもできる。

監督がウニに向けるまなざしは、
すなわち、12歳の自身に向けるまなざし、でもある。
そのまなざしによって、12歳のキム・ボラは意味づけられ
そして、現在のキム・ボラ自身が意味づけられる。
そのまなざしは、限りなく優しい。
ゆっくり、ゆっくり自分を好きになればいいんだよ。
自分自身を大切にしなきゃダメじゃない、 と。

そのまなざしが、この物語を救いのあるものにしている。
キム・ボラ自身のために、この映画は必要だったのだ。
そして、世界中のキム・ボラたちのために
この映画は、存在しなければならないのだ。

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マツドン

3.5ゆったりとた映画、ちょっと違和感を感じるのは何だろう

2020年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

最近の早口・大声で台詞をまくし立て、短いカットで次々と繰り出すような映画ばかり見ていると、ゆったりと少ない台詞で、表情と身振り手振りで表現し、長回しカットの続くゆったりとした映画が間延びして見えましたが、「映画って、こうだよなあ」と見終わって感じました。

学校の教室の様子や集合住宅の中の様子など、日本とそっくりなのですが、日本と韓国の間には民族的性格や歴史的、文化的、宗教的(?)な基盤が異なっているのでしょう、どうもしっくりいきません。「何で?」と思われるシーンが散在します。

本国では非常に評価が高い映画なのかもしれません。

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PAK UNTIK

3.5子どもと大人の間を描く

2020年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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ミーノ

4.0映像がきれい!

2020年9月26日
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鑑賞方法:映画館

家族や友達、それぞれの複雑な思い、リアリティがあった

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邦画好き

3.0中2

2020年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

お母さん役の人、魅力的だなぁ...。

中2病って言葉があるけど、やっぱ、中2って良いなぁ...。
中1の新しい環境のドキドキが落ち着いてきて、
中3の高校入試の焦りもなく、
いちばん自由なはずなのに、なんかトガってみたりして...。
ポエムとか書いちゃったりして…
と自分の思い出に耽っております。
隣のお姉さんとか憧れたなー。

「たくさんの知り合いの中で心がわかる人」
そうねぇ、年を重ねて、ありがたいことに仕事でもプライベートでも
たくさんの顔見知りができたけど、
今、心の知れた人との交流がいちばん落ち着くなぁ…と思う今日この頃で、
徐々に良い意味での交流範囲を絞っていっている自分がいる。

この作品は、こうやって自分のことを考えたり、振り返ったり出来る作品ですな。

あと、なんか跳び跳ねますよね、若い人って。
トランポリンのシーン観てて、
ピョンピョン跳ねる = キラキラしてるなぁ…と心の中でひとりごちてました。

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hkr21

4.5【UNITED COLORS 】

2020年9月20日
iPhoneアプリから投稿

ウニのバックパックは、ベネトンのやつだ。
懐かしい。

有名だったコピーが、
「UNITED COLORS OF BENETON」

でも、物語が進むうち、これは映画の重要なメッセージではないかと思った。

評論家の人のなかには、何か韓国社会の男尊女卑の暗さとか、こうした格差に似た差別や鬱屈した状況は世界のあちこちにあって…と強調してるものもあるが、僕はそうは思わなかった。

このストーリーは、ウニの一年を見つめ、少女が抱く異性だけでなく同性への甘酸っぱい恋愛感情や、ちょっとしたスリル、友情と裏切り、垣間見る大人の世界、尊敬ともつかない先生への気持ち、事故と死、
そして、これからも、生きていくのだということなどが散りばめられていると思うのだ。

ウニのこの一年は、ある意味、カラフルだ。

多くの色に彩られている。
そう、UNITED COLORS なのだ。

そして、これはウニに限ったことではないはずだ。
皆もカラフルのはずだ。

そして、もう一つ重要なこと。
殴られっぱなしじゃダメ。
ここに別にこめられた、こんな男尊女卑と暴力を絡めた状況は、韓国だけの問題ではないのではないか。

殴られっぱなしじゃダメ。
自分から何か本当にやりたい事を見つけて、頑張りなさいという多くの若者に向けた力強いメッセージのよえうに聞こえる。
やりたい事をやり通すにために抗うことは必要になるのは、多くの人に共通だ。

ウニ、頑張れ。
カラフルな人生は、君自身のものだ。
そして、どんな色で彩るかは、君が考えなくてはならないはずだ。

そして、みんなも僕も頑張れ。

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ワンコ

4.0女子校あるある、病院あるある

2020年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

特に大きな出来事もなく、淡々と続く長尺映画だったが、自分の知らない韓国の歴史や当時の韓国特有の家族関係が興味深かった。
中高一貫女子校の家内によると、下級生が上級生に手紙を渡したりするのは日常茶飯事とのこと。
医者の自分は、大部屋の病室のおばさんが、漬物を病室の患者に配っているのが、昔見た日本の病院っぽくて笑えた(現在は感染予防などの点から厳禁です)。

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hanataro2

4.0タイトルなし

2020年9月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

中学生の気持ちそのままだと思った。
彼女も少し成長したよね?

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らっこおやじ

4.5美しい映像

2020年9月6日
iPhoneアプリから投稿

1994年ごろの韓国の日常を淡々と描く作品です。

監督の自伝的作品とのことですが、とても美しい映像で主人公の14歳少女を描きます。当時、父権の強い典型的な男性社会の韓国の社会的背景の中で、少しずつ思春期の女の子が内面から「訳のわからない思春期の悶々としたエネルギー」が徐々に湧き出てきます。

全体を通してとても透明感のある映像美。男女問わず思春期の悶々とした感じを自分に重ねあわせることができるかも。そして「ラストシーン」これは是非映画館で観てほしい作品です。

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まさ

4.0掃き溜めにパク・ジフ

2020年9月1日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

萌える

2020年映画館鑑賞68作品目

韓国の平凡な家庭で育った平凡な女子中学生の平凡な日常
にもかかわらず飽きない
特に笑えるところはないが面白い
俳優の皆さんは決して下手ではないが特筆するほどうまくもない
パク・ジフがずば抜けてルックスがいいからではない
それも少しはあるだろうが監督が天才だからだ
平凡な内容だが作品としては非凡

夜遊びした娘に「野垂れ死になれクソアマ」と罵る父親
妹を殴って鼓膜を破る兄
「カラオケに行かないでソウル大学に行こう」と生徒みんなに言わせる熱血先生
みんな嫌だ

漢文の先生がもっと感心する話をするのかと思ったらそうでもなかった

ウニの姉も友達も後輩も同じ顔に見えるのは自分だけだろうか

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野川新栄

3.5みんな楽しく生きようよ

2020年8月30日
Androidアプリから投稿

丹念に少女と家族、また憧れの女性教師とのやり取りには、瑞々しさを感じた。
韓国映画にはこういった人間の内面の変化を環境や社会情勢とからめて圧倒的な描写で押し切る秀作は多いと思う。
しかし心になにか余韻が残らない!
それが何が原因かは上手くいえないないんやけど・・
レビューはしなかったけれど、「君が世界の始まり」って最近の日本映画と比べてそれがはっきりした。よくも悪くも国と国民の関係の成熟の度合いに齟齬が激しい。
楽しく生きたいが、閉塞感っていう化け物がはっきり映し出されたって感じですね

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ソルト

4.0これが長編デビュー作って凄い

2020年8月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

パラサイトの大ヒットから韓国映画の上映がまた少しづつ増えてきた。ソウルオリンピック直前のバブル真っ最中のソウルを舞台とした思春期の女子中学生の物語。勝手な想像だけど岩井俊二にこの監督影響うけたんじゃないのかな〜。イチャンドンにも影響うけてるなー思春期特有の少女の感情の起伏や韓国特有の父家長制度、当時の世の中の空気。いろいろなことが凝縮されている。
凄くいい映画だけど人に説明しにくい。ただ見た人どおしで語り合える作品。深堀できるエピソード豊富で、これが長編デビュー作のキムボラ監督はちょっと凄すぎるなぁ。

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トシくん

4.0「あり得た自分」

2020年8月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

南海キャンディーズの山里亮太氏が奥さんの蒼井優さんと観に行ったらハマれなかった映画「はちどり」。ようやく鑑賞。
1994年のソウルが舞台。監督のキム・ボラは私と同年であり、監督の分身たる主人公ウニも当然の如く、過去の私と同年代である。
キム・ウニの疎外感と鬱屈に共感できるかどうかで評価が変わるのかもしれない。私はウニを「あり得た自分」としてずっと観ていた。
日本と韓国ではやはり社会事情も少し違う。さり気なくも明らかな家父長制と男尊女卑、超学歴社会。期待へのストレスから妹を殴る兄。毎夜出かける姉。「82年生まれ、キム・ジヨン」を思い出した。ウニはキム・ジヨンと同年代である。
恐らく94年当時の私よりウニは抑圧されていて、その分行動も派手だ。でも彼女の鬱屈が手に取るように分かる。ただただままならないのだ。家族も、恋人も、友達も、おまけに自分の身体さえも。そしてそれをどうにかする方法も知らない。なんとなく反抗して。
彼女がヨンジ先生に惹かれるのは、先生が教え導く存在だからではなくて、同じ「ままならなさ」を感じ取ったからだと思う。
1994年の実際の出来事も巧みに取り込まれている。北朝鮮の金日成国家主席が亡くなり、そして聖水(ソンス)大橋崩落事故が起こる。前者はウニにとってどこか他人事だが、後者は大きく深い衝撃を与える。
母の表情、父と兄の号泣、大喧嘩の後の小康状態。唐突に見えてリアル。家族全員どこかで抑圧されている、という生々しさ。
そして映画として、どのカットも美しかった。あの繊細なカットの積み重ねが映画の力だと思えた。全ての画に意味がある。
大きな物語の起伏がない上にやや長尺なので、確かに退屈と思われる側面もありそうだけれど、どのシーンも目が離せない映画だった。

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andhyphen

4.0自分の居場所を探し求める少女の姿

2020年8月22日
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不器用で大人しい少女が、自分の居場所を探し求めながら成長していく姿が丁寧に描かれている。複雑で繊細な少女の心情がひしひしと伝わり、じわりと心に滲みる感動を受け、観賞後もその感覚がしばらく残った。ラストシーンは一歩間違えればありきたりで物足りないものになりそうなものだが詩的で美しく、心地よい余韻を残す秀品。

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tf27

5.0普通の少女が社会の病巣と静かに戦う様を見つめる力強いドラマ

2020年8月19日
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鑑賞方法:映画館

舞台は1994年のソウル。14歳のウニは餅屋を経営する父母、兄姉と5人で団地に暮らすごく普通の中学生。ちょっとした悪戯に興じたり、授業中に居眠りしたり、放課後に彼氏とデートしたりとごく普通の生活を送っているが、兄に過大な期待を寄せる父、妹に対して常に高圧的な兄、そんな二人に献身的な母、そんな家庭に絶望し夜遊びに興じる姉との関係に疲弊し孤独感を募らせていた。そんな折ウニが嫌々ながら通っていた漢文塾に新しい先生ヨンジが現れる。正面からウニに向き合い話を聞いてくれるヨンジにウニは少しずつ心を開いていくが、ある日突然ヨンジが姿を消してしまう。

ナラティブな説明もなく淡々と物語が進む中でウニが抱える悩みが少しずつ浮き彫りになっていくドラマ。その描写に押し付けがましいところが一切ないが故に、ウニの悩みの根源が父や教師、彼氏の母、友人らがこぼす言葉が暗に示している閉塞的な社会の病巣に繋がっていて、どうしようもない絶望感が鮮明になっています。ウニの体に起こる小さな異変が家族が向き合うきっかけになるもののそれも運命的なものに遮られ引き裂かれ、「こんな私の人生もいつか輝きますか?」と静かに問うウニが居間で思わず取る行動にこの映画のタイトルの意味を見ました。

本作が長編デビューとなるキム・ボラ監督自身の体験が元になっているそうで、非常にリアルな質感を持った作品。ヒリヒリするような思春期の日々と格闘するウニを力強く演じたパク・ジフの透明感のある美しさも印象的でした。

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よね

3.0平凡

2020年8月18日
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鑑賞方法:映画館

思春期の少女の揺れ動く思いを繊細に描いた物語。思春期を題材にした作品は多々あるが他作品と比較してこの作品が抜けているようには思えず1990年代の舞台設定にも疑問府が付いた。全体的に平凡過ぎる印象。
2020-146

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隣組

4.0容姿が及ぼす影響力

2020年8月16日
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パンティ

4.0未だ青い少女達への応援歌・・・監督の優しい眼差しに溢れた作品

2020年8月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

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こころ

3.5金日成が死んだ年(1994年)のソウルで生きる14歳の少女を描きながら、万国共通の思春期の悩み・揺らぎ・家族との葛藤を描き出すことに成功している佳作。

2020年8月14日
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鑑賞方法:映画館

①男の子供が優先されるとはさすが儒教の国、韓国。②この頃から受験地獄の国だったのですね。③一人の少女の内面を映像で描く映画らしい映画。④一家で囲む食卓の韓国家庭料理、美味しそう。

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もーさん