劇場公開日 2021年4月9日

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「観念的な映画だが地方の一軒家の移ろいは感じる」椿の庭 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5観念的な映画だが地方の一軒家の移ろいは感じる

2021年4月18日
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鑑賞方法:映画館

観念的な映画というか、映画はテーマがあるから映画なんだろうけれど、観念から入った映画という感じがした。諸行無常、かたちあるものは流転し移り変わりゆく。宿命のようなものでそれを淡々と映し込んでいる。写真家の監督らしい、地方の海の見える高台の緑のきれいな庭のある一軒家を垣間見るような映画だった。淡々と風景写真がはさまり重なり行く分、セリフは必要最低限の言葉しかない。この点も観念的で、眠ってしまいそうな静かな時間が好きなひとにはうってつけの映画だと思う。

ラストのあたりでその一軒家が取り壊されるシーンがあるが、自分も地方に実家があり定年後は移り住むようになるかもしれず、自分の後は誰も住まないかもしれないと思うと、胸に迫るものはあった。

富司純子は安定の所作の美しさ、品のある言葉遣い、表情。年齢を重ねてもそこは変わりなく続いている。
鈴木京香もその娘らしい品の良さもあるし、シム・ウンギョンはなぜ?と思ったら、外国で生まれた設定だったのね。セリフはほぼなかったけれど静から動に変わる表情の繊細さは感じていい女優だな~と感じた。

菜野 灯