「長澤まさみが好きな「男」のための映画」MOTHER マザー とくこさんの映画レビュー(感想・評価)
長澤まさみが好きな「男」のための映画
社会派ヒューマンドラマを求めて観たらデスクをかち割りたくなります。
まず、観ていれば監督を知らなくても男性だと分かった。
長尺で男女が無言で近付きいきなり行為が始まる流れのしつこさ。
さすがに初っ端から無言すぎて違和感ある。
女性なら言葉を求めるからこんな演出はしないだろう。
いかにも男が憧れるシチュエーションが随所に見えた。
だらしない女だけど痩せてて美人でなぜか料理はできる。いかにも男がそそられるシングルマザー。
監督は女は生きていれば自然とじゃがいもが剥けるようになるとでも思っているのだろうか?
実家との関係性から察するに家の手伝いもろくにしてこなかったであろう秋子。子供の食事はカップラーメン。なのになんで、じゃがいもの皮がサクサク剥けんねん。
そして、そんな女のために男が都合よく創作した「息子」というキャラクター。
確かに虐待を受けても親を愛している子供はいる。
だが、幼くもない、心配してくれるまともな父親がいて世界に母親しか味方がいない幼少期を過ごしたわけでもない、自分で何も考えないわけでもない、機嫌がいい時は優しくて明るいお母さんになるわけでもない。ひたすら人権を蹂躙され、自由を奪われ、金稼ぎのロボットとしてこき使われるだけ。
なのに一度も怒ることなく母親のマリオネットに甘んじる息子を見て、あくまでもこの作品は長澤まさみの色気を堪能するためのものでしかないことを突きつけられる。
他の男どものように、息子まで女の色香だけで虜になるとでも思っているのか?
殺人までの心情の流れもお粗末極まりない。
犯罪者にさせられても母への愛を口にする息子の姿は、まるで処女営業のキャバ嬢に貢ぐおっさんそのものだ。
阿部サダヲの演技は必見。
あとおしゃれメッシュみたいな白髪はなんとかならなかったのか?