「川口祖父母殺人事件に寄せて」MOTHER マザー asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
川口祖父母殺人事件に寄せて
モチーフと言うが、大筋でこの事件をなぞっており、映画よりも事実の方がもっと惨たらしいという点において寒気がする。
この事件については「誰もボクを見ていない」という
実際の事件を追った記者のノンフィクション手記もある。
この事件が起こった時に「こう言っちゃなんだが他人を無差別に殺害したよりは幾分かまし」と思った記憶があるが、実際はそんな簡単な話じゃなかった事を後で思い知る。
この映画をNETFLIX で何気に見始めた瞬間
(見ようか迷っていたら勝手に再生が始まった)
あ、これはもしかしたら実話ではないかと思いたち、まさにそうであったと判明したと言う映画知らず者の経緯だった。
このサイトにレビューする人には私のように家にいてちまちま感想を綴る人はあまりいらっしゃらないので甚だ恐縮しつついつも書いているのだが。
作中でも実際でも
この母親がこの殺人事件及び彼の人生を破壊した張本人であるのは間違いのないところ。
最近、誰だったか
子と言うのは親に対し、驚くほどの無償の愛情を持つと言う人がいた。
親とも思えないほど虐待する親に対してさえ、子は親を慕うという。
ネグレクトの場合ほぼ100%に近い子が親を慕い施設にあっても親が自分を迎えに来てくれるのを待つらしい。
そんなひどい親からは離れて暮らすべきだと誰もが思うような案件でさえ子は親を慕うと言うのだと。
実際のこの事件。
作中ではしてないとなっていたが 彼は、控訴している。
自分のような境遇の子が、自分のような目に合わないように
それを目的としての控訴だったと言う。
この事件を裁く大人たちは、みんな一様に彼の母親こそがこの事件の元凶であるという認識をし、なんとか彼の量刑を軽減し母親の主犯の立件に努めた。
だが裁判長は彼の量刑である懲役15年を改める事をしなかった。
それは一見 理不尽に見えて
私の中では、出所する時に30を超えた人間であるならば、彼は彼の意思で生きて行けるだろう、母親に対し、もっと違った対応をするようになるだろう、裁判官はそう考えたのだと思いたい。
法が人を裁く時
彼らの人生の徹底的な部分まで介入する事は出来ない。だとするなら、彼と彼の母親に対する冷却期間としての15年は必要だと私も考える。
長澤まさみの演技に関しては、もはや語るものもないし
息子の奥平君については、彼の演技をここまで引き出した監督にプロの仕事を見た思い。
奥平君は、先日最終回を迎えた 恋する母たち というドラマで 吉田羊さんと 矢作さんの息子役を好演していたのが記憶に新しい。
また事件の話をしてしまうと
この祖父母のように、我が娘がどうしようもないアホであった場合、その子(つまり孫)には罪がないわけで、
血の繋がりがあるならば、いかに迷惑であろうがとんでもない野郎であろうが、なんとか責任を持って更生に努める(例え無理でも)しかないのではないか。
子が親から虐待を受けているなら
その祖父母が、それを救う努力を怠るべきではない。
他人事のように 「可哀想に」
と言っているだけで済ませてはならない。
老年であろうが老体に鞭打って、その子を救い出すべきである。祖父母が虐待の元凶でないのならば、だけれど。
最後に作品の構成についての感想を。
出だしの親子描写は、その先の展開上 非常に有意義だ。
傷を舐める母。
監視員がなんと言おうと飛び込めといって飛び込ませる母。
しばしのネグレクト以降は実話だが、しょっぱなのこの2件の描写でのスタートは無くてはならないものに違いない。
コメントありがとうございます😊
私自身のこと、そんなに人間悪い方ではないと思ってます。人を信じやすいとも言われています。
しかし、この秋子という人物に関しては
裏の裏の裏、を何度もひっくり返してひっくり返して確かめ、最終的に信じない❗️騙されないぞ❗️と結論付けてしまうでしょう。
秋子が改心出来るのは、死刑囚になり、
秋子自身の命が脅かされる状況になって
どう変化するかしないか❓
と思ってしまいます。
きっつい、でしょうか?
それくらい秋子は、後戻りできなくなっているのでは、と。
共感ありがとうございます😊
レビューにあるように、虐待されている子でも虐待する母を信頼していて自身の命尽きるまでそう思って、いく、そうですね。(涙)
仰るように血の繋がった孫をどうにか救う手立てを講じてほしかったですね。
また、周平も祖母から愛情こもった声かけや心遣いを何度か受けていたら、母の命令に躊躇したかもしれませんね。
周平は二十歳ぐらいでしょうか。
物心ついてからの年数と15年とはほぼ同じかもしれませんね。早くに出すと、年齢的も思考もあまり変わらない状態で母に捕まるかもしれません。
そこを考えたのか、
尊属殺人で2人殺害なら、緩い日本の刑罰でもほぼ死刑になるかな、未成年かどうかも、関係しますが。
そこを15年だとだいぶ情状酌量が入っているのでしょうね。母を主犯にしたかったから。
実際の事件と聞き、やはり、親の姿が以前とは違って来ている、と感じました。動物以下ですもの。
実際のその息子があと10年ぐらいで出所して母とは隔絶した生活を送って欲しいものです。
asicaさん、
コメントありがとうございます。
祖母の描き方に明確なメッセージを感じますよね。
あの老夫婦は責任を放棄していました。
ラストシーンの児相職員には、私は無力感に苛まれていたように見えました。
asicaさんへ
コメント、有難うございました!
母親の方は、すでに4年6か月の刑期を終えていますね。当時、殺人教唆を立件できなかった検察の弱体化が口惜しい事件でもありました。定年延長もおじゃんになり、ますます弱体化が進むことを懸念しています....
コメントありがとうございます。
殺人そのものを擁護するつもりはありませんし、そこに同情はありませんが、彼の育った環境を鑑みると、選べる選択肢は限りなく少なかったのかなと思いますし、服役は正に更生というか校正の機会=救いの手なのかなと感じます。
asicaさん、コメントありがとうございます。
いろいろ考えさせられますよね。
虐待されても親をうらむことはなく、大人になってからはじめて気づくこと。
まぁ、母親の共依存は反面教師として考えなければいけませんよね・・・そんな人たちは映画なんて見ないと思うけど・・・