「救いがない現実を刮目するしかない」MOTHER マザー kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
救いがない現実を刮目するしかない
長澤まさみが毒親を演じたネグレクト系の児童虐待もの。
予告編のミスリードもあるが、事件的なことや殺人がどのように行われたのかそしてなぜ?というミステリー的なことには重きが置かれていないことに少し驚いた。母親がいかにだらしなくて、いかに壊れてて、いかに孤独に弱くて、そしていかに男を魅了するのかが徹底的にスクリーンに映し出されるのだ。
そういう意味では長澤まさみが女優として挑戦してる意欲作と言える(蒼井優に比べるとかなり物足りなく感じるのも正直な感想ではあるが)。この挑戦的な長澤まさみを堪能する映画なのだろう。一方阿部サダヲのミスマッチったらない。売れないとはいえホスト役に違和感しかなかった。
結局最後まで観て、この話をどう受け取ったらいいのか戸惑ってしまう。あまりに救いがない。でも、実際に起きた事件をベースにしているのだからさらに嫌な気分になる。彼らのような母子に正論や常識で責めることは無意味。自分たちはどう考えたらいいのか、何ができるのか考えさせられた。時代を感じる映画だ。
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