「それでも母が好き」MOTHER マザー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
それでも母が好き
誰も救われなく、誰もが傷ついた結末。
タイトルを考えた時、いろいろなフレーズが浮かんできた。
・子供に罪はない
・児童虐待、ネグレクト
・猟奇的な母親の愛?
・洗脳された息子
・凶器のマザー
そして、長澤まさみが大嫌いになる作品・・・等々。
自分も仕事柄、ネグレクト的な親と対峙することも何回かあり、そのガキのような親の言い分や態度に、あきれることもありました。以前は、こうした事案に対して、なかなか腰の上がらなかった行政も、最近は、児童虐待の事件をメデアでも多く取り扱うようになったため、直ぐに、対応するようになり、それによって助かる子供もいるのも確か。
作品としては、最初から最後まで、本当に暗く嫌な気分のままのエンドロール。幼い子供は、母親に逆らえないし、従い、生きるために頼るしかないのである。幼いころから刷り込まれた母親の態度と思いに洗脳され、息子がしてしまった罪はあまりに大きすぎる。だからこそ、親になりきれない親は、親になるべきではない・・・ということを訴えたかったのか?
しかし、最後に少年院で息子が児相の女性に語った、「お母さんが好きなんです」の言葉によって、親を選べない子供にとって、どんな酷い母親でも大好きな、大切な「お母さん」なんだということを痛感した。
阿部サダヲは、様々な役を熟してきているし、今回のチンピラホスト役も、堂に入った演技で安定感を感じました。また、シュウヘイ役の男の子は、どんな場面でも無表情の、心を閉ざした少年役を見事に演じていました。
そして、そして長澤まさみ! これまでのどちらかというと明るいキャラを打ち破り、ホントに嫌な、酷い母親役を熱演。最後に1人残され、脱け殻のように遠くを見詰める母の頬に、一筋の涙を期待したのだが、涙は見せずにエンドロール。
観終わったとき、長澤まさみが、嫌いになりそうでした。(笑)