「二人の周平がうまい。」MOTHER マザー はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の周平がうまい。
実際にあった殺人事件をモチーフにしていてストーリーは濃厚。
全く働きもせず親戚や知人から金をせびってはその金をギャンブルや男につぎ込む母、秋子。
そして学校にも行かせてもらえずそんな母と転々としながらその日暮らしの生活を送る息子、周平。
しかもいつからか秋子は周平に金の工面をさせるようになる。
長澤まさみが初の汚れ役ということで話題になってますが、正直秋子には雰囲気が合ってなかったかな、と思います。
もっと深く秋子の心情を見せてほしかった。
阿部サダヲも演技力は申し分ないですけど、この二人のキャスティングはちょっと狙い過ぎだったかも。
逆に息子の周平を演じた二人は素晴らしかった!本当に最近の10代の役者さんの演技は妙にリアルでドキッとしてしまう。
「その女、聖女か怪物か。」
いや、どっちでもないただの自堕落な最低の女です。それでもそんな母への愛を語る息子。結局息子なしでは生きられない母。歪んだ関係ですけど確かにそこに愛情はあったのだと思う。
けれどそんな生活もやがて限界を迎える。起こってしまった悲し過ぎる殺人。
でもそれは年齢を重ねる毎に普通の生活への圧倒的な憧れを抱いた周平にとって、母の呪縛から解放される最悪の手段だったのかもしれない。
実話がベースなんて考えたくないけどこれが紛れもない現実。日本の片隅では今日も、沢山の周平が助けを求めている。
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